こちらに共通ヘッダが追加されます。
  1. 教育改革支援プログラムホーム
  2.  > 文部科学省「大学及び大学院教育改革支援」プログラム
  3.  > 活動報告
  4.  > 文部科学省「大学教育・学生支援推進事業(大学教育推進プログラム)」に関わるお知らせ

文部科学省「大学教育・学生支援推進事業(大学教育推進プログラム)」に関わるお知らせ

プロジェクト・リテラシーと新しい教養教育
「第3弾 学びの原点 プロジェクト型教育の挑戦!―誰が何をいかに評価するのか?―」【2012年2月18日開催】

開催報告

2012年2月18日(土)、今出川キャンパス明徳館1番教室にて、 PBL推進支援センター(オリジナルサイト) 主催の文部科学省大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラムの取組のひとつとしてシンポジウムを開催した。PBL(Project-Based Learning)に対する関心は年々高まっており、大学を中心とした教育研究機関関係者、企業関係者や大学生など、156人の参加( シンポジウム参加内訳 [PDF 348KB] )があった。
プロジェクト・リテラシーと新しい教養教育 「第3弾 学びの原点 プロジェクト型教育の挑戦!―誰が何をいかに評価するのか?―」(1)
シンポジウムは土田道夫副学長の挨拶、山田和人PBL推進支援センター長の趣旨説明の後、まず、京都大学高等教育研究開発推進センター准教授溝上慎一氏の基調講演「評価とは何かの基本に戻ってPBLの評価を考える」で、PBLにおける評価をめぐる問題点について提言をいただいた。「目標をどの程度達成しているか」「評価によって授業/プロジェクトが変わる、修正されるという観点は入っているか」「授業のPDC/プロジェクトのPDCAサイクルは回っているか」「カリキュラムの中で位置付いているか」。そして、「知識構造を深化させることこそが究極の学習評価」であり、パフォーマンス評価の視点や学習の深度をコンセプトマップやポートフォリオ、ルーブリックをもって可視化することの重要性を提案された。プロジェクトが自己満足的な達成感に止まっていないか、それが大学教育における学びの問題としてどこまで意識的に行われているか、検証していく必要があるという趣旨であった。現代の大学教育の抱えている問題を率直明快に指摘すると共に、一つの学びをそれだけに終わらせないようにするカリキュラム編成が必要だと提案しており、コンセプトマップやルーブリックについて参加者からも参考になったという感想が多く寄せられた。
続く学生報告では、2011年度プロジェクト科目受講生の川崎裕未さん(社会学部3年次生)、金丸誠克さん(経済学部3年次生)より、『 心ぬくもる「絵本」に出会う絵本ソムリエ・プロジェクト 』と、田中菜月さん(文学部3年次生)と西川久美子さん(社会学部3年次生)、平城奈津子さん(政策学部2年次生)より『 京都の織物文化活性化計画!~織物の伝統技術について考えよう~ 』についての事例報告が行われた。それぞれの授業を通して、絵本や錦織物についての理解を深めるとともに、それらへの愛着をもとにした課題解決のための模索と工夫の過程を具体的に指摘し、自らの取り組みについて明快にプレゼンテーションを行うことができていた点は、高く評価された。
プロジェクト・リテラシーと新しい教養教育 「第3弾 学びの原点 プロジェクト型教育の挑戦!―誰が何をいかに評価するのか?―」(2)
休憩を挟み、パネルディスカッション「誰が何をいかに評価するのか?」では、東京電機大学情報環境学部・専修大学ネットワーク情報学部におけるPBL型授業の評価について、それぞれ情報環境学部准教授土肥紳一氏、ネットワーク情報学部教授飯田周作氏に、15分程度の報告をお願いした。その後、溝上慎一氏、土肥紳一氏、飯田周作氏の三人に加えて、2011年度プロジェクト科目受講生である川崎裕未さん、金丸誠克さん、西川久美子さん、田中菜月さんとともに、PBL型授業の評価について議論を深めることができた。パネルディスカッションの司会・コーディネーターは、PBL推進支援センター長・プロジェクト科目検討部会長山田和人氏が務めた。

シンポジウムの成果

今回のシンポジウムのテーマは、「誰が何をいかに評価するのか?」という教育評価のあり方に関わる問題提起であり、それを基調講演、同志社大学プロジェクト科目受講生の事例報告、先進的なPBL実践校の報告などを通して、評価する側と評価される側の両面から、評価について考えるのがねらいであった。その点では、パネルディスカッションのなかで、「評価は何のためにするのか?」という学生の発問は興味深かった。この発言に象徴されるように、評価は教員による一方的なものになりがちだが、学生が次のステップを目指せるよう方向性を示すべきだという視点を共有できたことは大きな収穫であった。PBLにおいては、評価も学生と教員による双方向的なものになることが望ましく、評価そのものが学生の成長を促すものであるべきだというのは当然と言えば当然なのだが、それが果たしてどこまで実現できているのか、我々が常に問い直していかなければならない課題であろう。PBLの特性に即して、当日の議論を簡単に振り返ってまとめておきたい。

PBLの場合は、最終ゴールや目標も時々刻々に変化する状況の中で常に指導者と学習者の間で共有されなければ進めることができない。その点では、不断にゴール・目標を再構築しつつ、それを共有していくことが求められる。さらに、評価もまた、現在進行形の形成的な評価が必要になる。それは、指導者と学習者が課題を共有し、常にフィードバックとリフレクションを繰り返していく学習過程において獲得されていくリテラシーである。
こうしたPBLの特性を正しく理解し、プロジェクトを推進していくことができれば、そのプロセスで学習者は自ら課題を設定し直し、目標や方向性を再検討し、直面している課題を解決するために、文献検索を行い、情報を収集し、現地・フィールドとの往還を重視するように学習態度が変化していく。こうしたプロジェクトの変化や修正を通して、調査・研究の成果を自ら設定した目標に向かって再定義しようとする態度が身につくようになる。これこそが、PBLにおける、「知識構造の変化」をもたらす重要な要因と言える。この問い直しのプロセスにおいて、プロジェクトは自ずと目標・方法・計画の修正・変更を行うために常に自己点検・検証を繰り返していくことになる。ここでは、こうした学習のサイクルをまわしているのは、主体的に学ぶ学習者とそれをともに支える指導者であり、両者の信頼と承認によって、相互批判的な見地に立つことが求められる。こうしたサイクルは、学習者自身の従来の「常識」の殻を破らなければ獲得できないものであり、すぐれたプロジェクトは、既成概念を否定することができるだけの、知識・技能を学習者自身、指導者自身が獲得し、必要に応じて駆使することで、共有された目標を実現していこうとする志向性を持つことになる。こうした強い意識付けに基づいた教育力が、PBLのなかには内在していると言えよう。うまくいかないプロジェクトは、PBLに内在するこの学習サイクルを作り上げることができなかった場合が多い。
プロジェクトのアウトプットに、それは典型的に現れる。ひとつのものを作り上げる歓びは、等しく利害を超えた人間関係の構築とともにあり、学生の場合は、フラットな人間関係の中で新しい関係をゼロベースで築いてプロジェクト学習を進めていくことにある。それがプロジェクトの多様な価値観との出会いと新しい知識との出会いをもたらしている。ただし、それ故に集団活動としての充実感や達成感だけに止まってしまう危険性も確かにある。しかし、それを否定してしまうと、PBLは成り立たないだろう。集団的・社会的な学びというPBLから見れば、そうした充実感や達成感を共有した集団活動をベースにプロジェクトが進められるはずだからである。しかし、問題は、単なる充実感や達成感を味わうレベルにとどまり、学習者自身が、何を学習できたのか、何を自ら習得できたのかが、曖昧なまま終わってしまうと、せっかく時間を費やして取り組んできた成果が自らの学習の中に正しく位置づけられないのではないかというPBLの課題に逢着することになる。
プロジェクト・リテラシーと新しい教養教育 「第3弾 学びの原点 プロジェクト型教育の挑戦!―誰が何をいかに評価するのか?―」(3)
先述したように、PBLの評価は常に現在進行形でなされるものであり、現状認識を常に共有しながら進んでいく学習プロセスに対応していなければならない。学習者側から言えば、そのプロセスにおける評価が自分たちの活動の中にフィードバックされることを期待している。指導者は、そうしたプロセスに立ち会い、そこでの問題点について自らの目標と方針・ヴィジョンを示し、学習の深度が深まっていくように適切で臨機応変な指導が求められることになる。なおかつ、指導者が設定したテーマや目標と学習者のプロジェクト活動とのせめぎ合いの中から、一定水準の成果を導き出さなければならない。PBLが、成果をできるだけ客観的に評価する場を設けられる必要があるのは、プロセスと同時にアウトプットを求められる学習だからであり、そこでは、学習者・指導者、学習者同士・指導者同士の自己評価・相互評価の場が、プロジェクトの活動期間の中に組み込まれている必要がある。それがしっかりと複数のプロジェクト群の中で根づいていることが重要であり、そうした授業設計の基本理念を共有する場を設けることが求められる。そして、自らの活動を定期的に検証する場を設定し、年間サイクルの中に定着させておく必要がある。こうした仕組み作りを通して、プロジェクト間の交流や相互批判などの評価活動が行われるような環境や条件を整備していくことが、PBLの場合はきわめて重要と言える。
また、PBLにおいて、学生は往々にして最初は手近なところで課題に取り組もうとするが、すぐにその課題が限られた狭い価値観、世界観に基づいていることを思い知らされることになる。こうした気づきがPBLの基本であり、主体的な課題探究学習としての教育効果といえる。このことがプロジェクトを担っている学習者と指導者の間で共有されていなければならない。その上でさらにレベルの高い学習を行わなければ、目の前にある課題を解決することはできない。そこでの議論は、狭い範囲の知識や与えられた情報だけでは解決することができない。学習者は自ずと視野を広げ、自らの活動を客観的に評価し、そこから自分たちにできることをもう一度見直していくというプロセスを繰り返していく。この繰り返しによって、学習の深度はさらに深まっていく。うまく行かないプロジェクトは、ここでの課題の共有や、学習者自身のなかに自らコミットしていく意識付けや動機付けが希薄な場合が多い。そして、そうした一人ひとりの関心や興味が共有されていないことが多い。これをできるだけ小さくしていくための工夫は授業改善の問題として取り組むべきであろう。
同じようなテーマであっても、プロジェクトに参加する学習者が異なれば当然のことながら、プロジェクトは変わる。そのために、毎年PBLを支援するための環境や条件の整備・見直し作業を行う必要があり、アンケートや直接の聞き取り(懇談会や講習会・協議会など)を通して、学習者と指導者と運営事務局がともに解決のための具体的な検討を重ねていくことになる。これがPBLの大きな学習サイクルの再構築を促していると言える。
こうしたPBLの特性を、専門科目・教養教育科目、必修科目・選択科目、正課と課外と異なる実施形態で行った場合、そこで実施されるプロジェクトもその性格を大きく変化させる。しかしながら、上記のような学習の深化を目指したさまざまな工夫が不可欠であることは、PBLに関わる関係者の間で徐々に認識されつつある。PBLは学習者と指導者が目標や課題、方向性や問題点を共有し、合意形成をしながら、日々学習活動に取り組んでおり、ここでは学習者は、評価される側の存在だけではなく、むしろ、学習者自身がプロジェクトを推進していくプロセスで、自らを振り返り自己評価を行うと同時に相互評価を行っている。
ここで、学習者は、すでに評価される側から評価する側へ、いやそこでは学習者と指導者がともに評価する立場に立っている。いわば、評価のプロセスを内在させた学習としてPBLをとらえるべきであり、ここでは学習者の学び方のパラダイムシフトが起こっていることを認識し、「評価は何のためにするのか?」という問いかけの意味をしっかりと受け止める必要があるだろう。

今後の事業への反映

大学教育・学生支援推進事業の最終年度の取り組みとして、PBLの評価について検討していく上で、従来の評価観を見直すとともに、大学教育の学びの拡がりのなかでPBLの教育効果や教育内容について再検討することが求められているという認識を共有できたことと、その方向性を得られたのは大きな成果であった。PBLについての関心が高まる中で、学生の学習意欲を引き出していくとともに、学生自身の活動がアカデミックなコミュニケーションとプレゼンテーションの力を獲得することができる場として、大学教育の学びの幅をさらに拡げるとともに、深化させていくことができるような工夫と取り組みを続けていきたい。今回のシンポジウムとパネルディスカッションの詳細については「 シンポジウム・レポート 」をご参照いただきたい。なお、本事業の成果を踏まえて、PBL推進支援センターの事業とプロジェクト科目の運営については、大学の事業として継続していくことが決定しており、引き続き、PBLの教育効果や教育方法についての検討及び問題提起を行っていくとともに、学内外のPBL実施機関とのネットワークをさらに拡げ、PBLの研究、推進・支援に努めていきたい。

アンケート結果について [PDF 348KB]

同志社大学PBL推進支援センター 2011年度シンポジウム<終了しました>

2011年度シンポジウム(ポスター) [PDF 439KB]

文部科学省「大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム」に採択されました「プロジェクト・リテラシーと新しい教養教」に係るシンポジウムを開催します。

参加ご希望の方は、2012年2月13日(月)までに、e-mailまたはFAXにより、下記問い合せ先へお知らせください。
日時2012年2月18日(土)13:00~16:40
場所同志社大学 今出川校地 明徳館1番教室
(京都市営地下鉄烏丸線今出川駅下車)
交通アクセス(今出川キャンパス)
キャンパスマップ(明徳館)
参加費無料
テーマ「第3弾 学びの原点 プロジェクト型教育の挑戦!-誰が何をいかに評価するのか?-」
プログラム<挨拶>
同志社大学教育支援機構長・法学部教授 土田 道夫
同志社大学PBL推進支援センター長・文学部教授 山田 和人

<基調講演>
「教育とは何かの基本に戻ってPBLの評価を考える」
京都大学高等教育研究開発推進センター准教授 溝上 慎一

<発表>
同志社大学2011年度プロジェクト科目 学生報告1 学生報告2

<報告>
「東京電機大学情報環境学部におけるPBL型授業の評価について」
東京電機大学情報環境学部准教授 土肥 紳一
「専修大学ネットワーク情報学部におけるPBL型授業の評価について」
専修大学ネットワーク情報学部教授 飯田 周作

<パネルディスカッション>
テーマ「誰が何をいかに評価するのか?」
京都大学高等教育研究開発推進センター  溝上 慎一
東京電機大学情報環境学部 土肥 紳一
専修大学ネットワーク情報学部 飯田 周作
同志社大学2011年度プロジェクト科目履修生
(司会)同志社大学PBL推進支援センター長 山田 和人
主催PBL推進支援センター
申込方法参加申込書をこちらからダウンロードし、ご記入のうえ、2012年2月13日(月)までに教務課へお申し込みください(メールまたはFAXにて受付いたします)。
※先着150名受付

申込書 [PDF 439KB]
※プリントアウトしてお使い下さい。
お問い合わせ先同志社大学教務課
TEL:075-251-4630
FAX:075-251-3064
E-mail:ji-pbl@mail.doshisha.ac.jp

『プロジェクト・リテラシーと新しい教養教育』については 大学教育・学生支援推進事業大学教育推進プログラム をご覧ください。
※プロジェクト科目の詳細な取組については プロジェクト科目(オリジナルサイト) でご案内しています。