学長挨拶

同志社大学テュービンゲンEUキャンパスについて

同志社大学学長 植木 朝子

同志社大学
学長 植木 朝子

2017年度より同志社大学にとっての初めての海外キャンパスとなるEUキャンパス(正式名称:同志社大学テュービンゲンEUキャンパス、英語名称:Doshisha EU Campus at Tübingen University)を、ドイツのテュービンゲン大学構内に開設しています。開設に、またその後のEUキャンパスでの活動にあたり、多方面でご尽力いただいておりますテュービンゲン大学の関係者の皆さまに心よりお礼申し上げます。

本学とテュービンゲン大学の関わりは、1990年の学生交換協定の締結に始まり、1993年には本学今出川校地内にテュービンゲン大学同志社日本語センター(現:テュービンゲン大学同志社日本研究センター)が設立されました。それから約30年に渡り、テュービンゲン大学人文科学部日本学科から毎年約25名の学生が、本学のキャンパスで学んでいます。また教育の分野だけでなく、人文社会科学を中心とする研究者同士の交流も脈々と続いており、教育・研究分野における豊かな交流実績があります。

テュービンゲン大学内にあるEUキャンパスを拠点として、2019年度からは、ドイツ語学習を中心としたセメスタープログラムへの本学学生の派遣をスタートした他、教員交換や研究交流などを本格的に展開しています。また2020年度からは、テュービンゲン大学生との共修科目であるInternational & European Studies(IES)科目及び本学学部科目で構成するプログラムも新たに構築し、これにより年間を通じて教育プログラムを提供する体制が整いました。EUキャンパスの活用は、「同志社大学ビジョン2025」にも掲げている「『国際主義』の更なる深化」の重要な柱のひとつでもあり、本学として、以下のとおりEUキャンパス活用の方向性を定めております。

  1. EUキャンパスでは、日本とドイツ・ヨーロッパとの比較研究の推進のみならず、神学、哲学、倫理学、歴史学、文学、教育学、良心学、心理学、社会学、人類学、考古学、法学、政治学、経済学、商学、医生命科学、理工学、文化情報学、スポーツ健康科学、グローバル・スタディーズ、コンフリクト・スタディーズなどあらゆる分野で旺盛な学術交流と教育活動を展開していくことを目指します。
  2. EUキャンパスでは、テュービンゲン大学との交流はもとより、EU域内全体を視野に入れて、ヨーロッパにある多様で優秀な大学や研究機関との交流を進めるという役割も担います。
  3. そのために、本学の研究者情報や教育内容について英語による情報発信をより強化していくことが重要であると考えます。
  4. EUキャンパスにおける本学学生の教育環境を充実させます。そのために、テュービンゲン大学同志社日本研究センターへ留学した学生をはじめ、テュービンゲン大学で学ぶ学生との共修環境の構築を目指します。

とりわけ、私たち同志社人にとって最も重要なポイントは、新島襄が掲げた「建学の精神」をEUキャンパスにおいても実現しようと努力しなければならないということです。「良心を手腕に運用する人物」を育てるという意識を常に持ちながら教育と研究を行うことが大切です。今後EUキャンパスで行われる多様なプログラムに、学生・院生や教職員の皆さんが積極的に参加されることを期待しています。また受験生の皆さまにおかれましても、入学後にEUキャンパスに留学する機会が用意されていることを念頭において、人生設計をされてみてはいかがでしょうか。

挨拶の結びとして、本学の卒業生・校友会の皆さんはもちろん、テュービンゲン大学から同志社に留学した卒業生の皆さまが、一同に介して相互に交流を深める機会を、ぜひ実現させたいと考えております。今後とも、EUキャンパスの活動に御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。