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機能有機化学研究室

教員

北岸 宏亮(教授)Hiroaki KITAGISHI

DB

研究分野 超分子化学、生物無機化学
研究室 SC-423
TEL 0774-65-7442
FAX  
研究室のHP https://kitagishi-lab.doshisha.ac.jp/
E-mail hkitagis@mail.doshisha.ac.jp
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小寺 政人 (教授) Masahito KODERA

DB

研究分野 錯体化学、有機合成化学
研究室 SC-323
TEL 0774-65-6652
FAX  
研究室のHP
E-mail mkodera@mail.doshisha.ac.jp

研究内容

超分子化学に関する研究

複数の分子が非共有結合で寄り集まって分子集合体をつくり、その集合体が元の分子とは異なった機能を発揮するとき、この集合体を超分子と呼んでいます。機能有機化学研究室では、この超分子化学を様々なスケールでとらえて研究を展開しています。

タンパク質超分子の化学

生体内では、生命活動を維持するために実に多くのタンパク質が機能しています。その中にはタンパク質が単独で機能するものもありますが、生体に存在するほとんどのタンパク質は、非共有結合性の相互作用によって同種あるいは異種タンパク質が集まって複合体(超分子錯体)を形成し、その複合化によってはじめて必要な機能を発揮します。つまり、自然界では共有結合ではなく、非共有結合性の弱い相互作用を巧みに利用することによって、状況に応じてタンパク質の複合化を可逆的にコントロールしているのです。
超分子化学は、1987年にノーベル化学賞を受賞したJean-Marie Lehnらがその概念を提唱して以来、クラウンエーテルやシクロデキストリンといった合成小分子を用いることによって発展しました。現在でも多くの研究者が超分子に魅了され、研究され続けています。機能有機化学研究室では、タンパク質などの巨大生体分子をひとつの超分子のユニットとして着目し、体内で起こるさまざまな分子の集合過程を、我々の手で化学的にコントロールすることに挑戦しています。生体内で起こっているようなタンパク質間相互作用による機能制御を、人工的にコントロールすることができれば、これまでにない医薬的応用が期待できます。さらに、生体適合性の高いナノ材料を、タンパク質、核酸、細胞などを素材に用いて、超分子化学をベースとして作ることを考えています。
当研究室における最近の成果
当研究室におけるタンパク質を題材とした研究は、現在、同志社女子大学薬学部との共同研究によって大きく発展してきており、今後の展開が期待できる研究テーマです。

ポルフィリン-シクロデキストリン超分子の化学

シクロデキストリン(CD)はグルコピラノースが環状につながった筒状の構造を持つ分子で、グルコピラノースが6個、7個、8個のものがあり、それぞれα-CD,β-CD,γ-CDと呼ばれています。その空洞内には様々な分子を非共有結合的に取り込む(包接する)ことができるため、CDは超分子化学の先駆け的な存在として有名な分子となりました。水に溶けたCDの内部は、水中にもかかわらず、かなり疎水的な空間となっており、水中で分子を包接すると、均一な水溶液中では起こりえないような現象が次々と起こります。このようなCDによって制限された環境のもとで、様々な興味深い超分子が見いだされてきました。
ポルフィリン(porphyrin)とは、天然に多く含まれる色素成分を構成する大きなπ共役系化合物の総称であり、その中心には様々な金属イオンを配位することができ、その金属の種類によって多様な機能を発揮します。我々の体内では、血液中のヘモグロビンの補酵素として含まれることでよく知られています。
ポルフィリン-シクロデキストリン超分子の化学
我々の研究室で発見した面白い超分子の一つとして、すべての水酸基をメチル化したβ-CD(TMe-β-CD)と、4つのスルホナトフェニル基を有するアニオン性のポルフィリン(TPPS)とによって形成する1:2の包接錯体があります。この包接錯体は非常に安定で、その結合定数は測定できないくらいに大きなものでした。当研究室で所持するミクロ熱量計による実験から、この包接錯体は形成の際に大きな負のエンタルピー変化を示したことから、van der waals相互作用が主な駆動力として、大きな安定性をもたらすことがあるということを証明しました。
ポルフィリン-シクロデキストリン超分子の化学
さて、この包接錯体はただ安定というだけでなく、TPPSを水から完全に遮断するという大きな特徴も有しております。この“ポルフィリンを水から隔離する”という作用は、ヘモグロビンやミオグロビンのグロビンタンパク質がポルフィリン鉄錯体(ヘム)を外水相から隔離しているように、実は自然界では当たり前のように行われている現象だったのです。したがって、我々はTMe-β-CDがグロビンタンパク質部分の代替物質になり得るのではないかという予想を立てました。この仮説をもとに、ヘモグロビンやミオグロビンの構造を参考にしながら、シクロデキストリンを使ったタンパク質モデルの合成に取りかかりました。具体的には、2つのTMe-β-CDをピリジン環で連結し、窒素原子がTPPSの中心金属に配位するという分子、Py3CDを設計し、当研究室で合成しました。
Py3CD
このPy3CDを水中でFe(III)TPPSと混合し、還元剤によってFe(II)へと還元すると、中心のFe(II)へ水中の酸素分子が可逆的に結合することがわかりました。このような機能は、ヘモグロビンやミオグロビンと非常に類似しています。通常、水中では水の触媒作用によって、酸素分子によるFe(II)からFe(III)への酸化反応が進行し、酸素結合能を失ってしまうのですが、Py3CDの包接によってFe(II)への水の近接が著しく妨げられ、見事に水中で酸素分子を吸脱着することを実現したのです。このように水中で酸素を結合できる錯体は、過去に例がありません。我々はこの超分子錯体に対して、hemoCDという名前を付けました。水中で酸素を捕まえるということは、人工血液として働くための基本的機能を備えているということになります。現在、機能有機化学研究室では、このhemoCDを用いて、実際に人工血液や酸素貯蔵物質としての応用を視野に入れた研究に取り組んでいます。
ポルフィリン-シクロデキストリン超分子の化学