大谷 実
専任教員紹介
大谷 実 OTANI Minoru
研究テーマ | 近現代ドイツ社会経済史 |
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研究室 | 良心館364号室 |
演習(ゼミ)紹介 | 周縁から捉える社会と経済:歴史・現在・未来 |
詳細 | 研究者データベース(オリジナルサイト) |
(問題関心:近現代ドイツ史とマイノリティについて)
近現代ドイツの歴史は、ナチス・ドイツという抜き差しならない、深刻な問題を私たちに投げかけています。ナチス時代に起きたホロコーストは、ユダヤ人を始めとした多種多様なマイノリティに対する前代未聞の迫害であり、シンティ・ロマ(かつて「ジプシー」と呼ばれた人びと。中世からヨーロッパ各地で暮らしている。放浪生活を送っていたが、現在はほとんど定住している)もその対象となっていました。
ナチス時代、シンティ・ロマは、「劣等人種」あるいは「反社会的分子」として、ドイツ社会にとって危険で有害な集団とみなされ、強制収容所や絶滅収容所に移送され、多くの人びとが犠牲となりました。収容所の入口に、「労働は自由をもたらす Arbeit macht frei」と標語が掲げられていたのはあまりにも有名な話ですが、「マイノリティ迫害と強制労働」がセットとなり、大規模に展開していたことは、当時のドイツ社会のあり方を考える上で示唆に富んでいます。そしてそれは、「過去との対話」によって現代を生きる私たち自身にも反省を促すとともに、今後いかなる未来を指向すべきか、立ち止まって考える契機にもなりうるのではないか。そう考えています。
(専門分野について)
近現代ドイツ社会経済史を専門としています。当時の史料(新聞・雑誌・書籍といった刊行物や、官公庁等の作成した未刊行公文書館史料)を用いた実証研究に従事しており、とくに19世紀末から20世紀のドイツ社会におけるマイノリティの境遇を分析することによって、近現代ドイツ社会の特徴を捉えようとしています。博士後期課程では、博士論文執筆のためにミュンヘン大学に留学しました。
分析では、焦点を絞り、できる限り多面的な視点から論じることが求められます。そこで、これまで私は、先述の問題関心からシンティ・ロマに着目し、とりわけドイツ南部バイエルンにおける状況について、未刊行公文書館史料を含む史資料を用いて研究してきました。
現在は、バイエルンに隣接したバーデン・ヴュルテンベルクに対象地域を拡大し、調査研究を継続しています。これにより、ドイツやヨーロッパといった国家的・超国家的次元に加え、それぞれの地域が直面していた諸問題といった地域的次元も視野に収めることができ、一面的でない、重層的な議論が可能となります。
演習(ゼミ)
演習テーマ:周縁から捉える社会と経済:歴史・現在・未来
(キーワード:マイノリティ、移民、難民、ジェンダー、ヨーロッパ、ドイツ、歴史研究)
現在の日本社会において、移民、難民、外国人、少数民族、あるいはジェンダーなどといったテーマについて知見を深め、将来を構想していくことは、ますます重要となってきています。本演習では、これらのキーワードに関連した勉強(文献や視聴覚資料の読解と議論)をしながら、各自で研究活動に取り組みます。授業では、「発表・読解・議論」を軸とし、歴史的な視点から現代の社会・経済について考察するトレーニングを積みます。
担当教員の専門は、ドイツ近現代社会経済史ですから、歴史研究、外国史研究の知見に基づいて、学生の研究活動を支援・指導していくことになります。ただし、各自の研究テーマは、私の専門分野に限定されません。各々相談しつつ、研究テーマを設定・調整していきます。
2年次演習 |
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・教員の用意したテキストや視聴覚資料を用いて、発表・読解・議論をおこなう。 [履修条件] (マイノリティ、移民、難民、ジェンダー、ヨーロッパ、ドイツ、歴史研究) |
3年次演習 |
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・教員の用意したテキストを用いて、発表・読解・議論をおこなう。 ・各自の研究課題について、発表・議論する。 [履修条件] (マイノリティ、移民、難民、ジェンダー、ヨーロッパ、ドイツ、歴史研究) *「3年次演習」から履修を希望する場合:「2年次演習」の履修状況によって履修制限することはありません。ただし、研究テーマに関する新書等を自分で読んでくること。 |
卒業研究 |
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[履修条件] |