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はじめに

卒業生メッセージ:門井慶喜さん

門井慶喜さん

え? 大学のキャンパスが新しくなるんですか。
新しい設備もできるし、敷地面積もふえるとか。
うーん、複雑な気持ちだなあ。どうせなら20年前にやってほしかった。20年前なら、私もまだ現役の学生だったから、恩恵にあずかれたのに。でもまあ、こればっかりは仕方ありませんね。
あのころ私は文学部の学生でした。1・2年次生のときは京田辺キャンパス(当時は田辺キャンパス)で勉強したんです。決して悪い環境ではなかったし、いい思い出もいろいろあるけれど、まわりに大きな本屋さんや古本屋さんが少なかったのが物足りなかったおぼえがあります。
3年次生になって、キャンパスが京都市内の今出川に移って、ようやくほっとしました。本屋めぐり古本屋めぐりが便利になったし、京都のさまざまなお寺や神社や美術館や博物館へも行きやすくなったからです。少なくとも文系の勉強に関するかぎりは、やっぱり今出川のほうが環境がいいのではないでしょうか。
その点、これからの文系の学生はいいですね。四年間今出川。入学から卒業まで京都市内。これは福音だと思います。

そこでひとつ気がかりなのが、今出川の図書館です。
母校だからほめるわけじゃないけれど、いい施設だと思いますよ。蔵書数は多いし、サービスも充実している。開架閉架のシステムもきっちりしている。とても多機能なんですが、しかし多機能なだけに、入学したばかりの1年次生にはちょっと敷居が高いかもしれません。
もちろん図書館のスタッフは、20年前そうだったように、いまも丁寧に指導しておられるはずです。私もとても助かりました。が、こうなると、今後はよりいっそう丁寧にするほうがいいかもしれませんね。ほとんど一から教えるつもりで。大学図書館は、やはり市立とか県立とかの公共図書館とはいろいろ違うところが多いですから。
逆に言うと、それだけの手間をかけてでも、学生さんには図書館をぞんぶんに使いこなしてもらいたいんです。せっかく入学したんだから、学術的な研究をしたい人はもちろん、そうでない人も、いっぱい利用してほしい。
なぜなら私たちは、将来どんな仕事に就くにしろ「知らないことは自分で調べる」という習慣はかならず持たなければなりません。インターネットや電子辞書だけでは手も足も出なくなる日がきっと来るんです。その日のために、いまのうちから図書館で本をさがしたり、ふだん読まない文献にぶつかったりするのは役に立つ。いい訓練になる。一種の予行練習です。
正直、本を読むのは気が重いときもあるけれど、そこをひとつ、がんばってみましょう。
私も応援しています。

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