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「エクオール×太極拳」で健康長寿への貢献を目指す ~同志社大学 若き研究者の挑戦~(後編)

2024年11月27日 更新
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支援金を検査キットの調達に充て、十分なデータを確保

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プロジェクトの存在は研究室の先輩を通じて知りました。先輩がすでに採択を受けており、研究のために自分で研究費をはじめとした支援を獲得する姿を見て「私もそうなりたい」と思い、応募しました。 採択を受けたことによるメリットとして、まず挙げられるのが研究費の支援です。データ収集のために使っている測定キットは比較的高額で、それを300人分用意するとなると負担は大きかったです。被験者には、大豆イソフラボンのサプリも摂取してもらっています。それらを調達する費用に、プロジェクトで支援される研究費を充てることができました。

海外での活動を後押ししてくれることも、プロジェクトのありがたい点です。2023年にはシンガポールで行われた国際学会に参加し、私はポスター発表を行いました。発表を見てくれた研究者との意見交換ができたことは、非常に良い経験になりました。学会では、「ミーティング」と呼ばれるテーマ別の発表やディスカッションも行われています。私はサルコペニアという、加齢による筋肉量の減少や筋力低下に関するミーティングに参加しました。日本ではなかなか味わうことができない、誰もが積極的に自分の意見を発表するという雰囲気がとても心地よかったです。私もつたない英語ながら発表しました。そのとき、みんながしっかりと耳を傾け、私の意見を聞こうとしてくれました。英語で伝えることの楽しさや大切さを実感でき、以来、英語学習へのモチベーションが高まりました。

2024年はタイとオーストラリアで行われる学会に参加する予定です。今後は口頭発表にも挑戦したいと考えています。その準備もかねて、プロジェクトの能力開発支援メニューの1つである英語アカデミックプレゼンテーション研修を受講します。英語プレゼンテーションならではのスキルを学ぶ研修なので、今から楽しみです。

他分野の大学院生と交流できることもプロジェクトの魅力的な点です。研究の進め方や試薬の使い方など、これまではまったく知らなかったアイデアや工夫を教えてもらえることもあります。何よりも、同じ世代の研究者が頑張っている姿を間近に見ると、「私も頑張ろう!」と気持ちを新たにすることができます。

プロジェクトの担当教員や博士キャリアコーディネーターの方には、定期的にキャリアに関する面談の場を設けてもらっています。相談に乗ってもらえる相手が研究室の指導教員以外にも広がったことで、これまで以上に多彩なアドバイスをもらえるようになりました。違った視点からの助言や考え方は刺激にもなり、私にとって頼もしい存在になっています。

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博士後期課程を修了後は、大学教員を目指したいです。太極拳では指導をすることもあり、教えることや人を育てることに興味があります。ですから、研究もしながら、しっかりと学生の成長をサポートできる先生になることが目標です。理想は自分の研究、学生の指導、太極拳の指導のいずれでもプロフェッショナルになることを目指して努力しています。

現在はエクオールに着目した研究をしていますが、大きな意味では、健康寿命を延ばすことや人間が健康に生きていくことに貢献するというのが私の研究テーマです。エクオールにめどがついたら、違うテーマに取り組むかもしれません。高齢者や幼児を対象にした研究にもチャレンジしてみたいと考えています。

太極拳はこれからももちろん続けていきます。2024年の全日本大会は5位に終わったため、世界大会に出場することはできませんでした。「次こそは!」という気持ちで、日々、練習を重ねています。

大会で結果を残すには、現状の課題を分析して対策を立て、実行していくというPDCAが欠かせません。それは研究と同じ考え方です。研究者であることが、アスリートとしての競技力向上に役立っているのです。武術太極拳は美しさや武術らしさを競う競技です。姿勢や手足の使い方、目線の配り方などが成績を左右します。それらはすべて、プレゼンの際に役立つ技術でもあります。太極拳と研究の相乗効果を発揮し、高いレベルで両立させることが目標です。

その先に見つめるのは、女性研究者として第一線で活躍する将来像です。「女性研究者といえば花野さん」と言われる存在になりたいです。

スポーツにまつわる様々な角度からの学びと研究が可能

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スポーツ健康科学部は学びがとても多彩で、なおかつ自由です。競技としてのスポーツはもちろんのこと、健康へのアプローチとしてのスポーツ、町づくりの核としてのスポーツなど、スポーツを様々な方面から学び、研究することができます。しかもそれを入学後に決めることができます。「スポーツが好き」「スポーツに興味がある」という気持ちを入り口にして、一人ひとりにマッチした目標と出会える環境だといえます。学んでいる学生も多様ですから視野が広がりますし、たくさんの刺激をもらうことができます。

研究者を目指すうえで同志社大学は、支援が充実していて恵まれた環境だと感じています。研究だけでなく教育に力を注いでいる先生もたくさんおられ、私にとってはロールモデルになってくれています。

博士後期課程やその前段階として大学院へ進むかどうか悩む人もいると思います。私も悩みましたが、「プロフェッショナルになりたい」という気持ちで博士後期課程への進学を決めました。ここでいうプロフェッショナルとは、幅広く何でもできる人のことではなく、「これが得意です」と言い切れる強みを持った人のことです。特に海外ではそういう人材への期待が高いと感じていたので、進学することにしました。

学部や修士で「やり切った」と思えるかどうかも、進学か就職かを決めるポイントだと思います。「もっと知りたい」「まだ追究の途中なのに」という気持ちがあるなら、進学して研究を続けると良いように思います。 私が実感しているように、同志社大学は博士後期課程の学生に対する支援が手厚いです。安心して研究に打ち込むことができます。興味がある人は、ぜひチャレンジしてください。