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「手話で広がる世界」 〜手話サークル「もみの木」〜(前編)
先天的あるいは後天的な原因により、耳が聞こえない、また聞こえづらいという、聴覚に障がいがあり、リハビリを必要とする方の数は全世界で4億3,000万人(※)といわれ、割合にすると世界人口の5%以上となります。聴覚に障がいを持つ方とのコミュニケーション手段としてもっとも有名なのが「手話」ですが、普段の生活の中で、手話について詳しく知る機会も意外と少ないのではないでしょうか。今回は、同志社大学手話サークル「もみの木」のお二人にお話を伺いました(所属は取材当時)。

手話サークル「もみの木」について

「もみの木」は2014年にできた手話サークルで、現在およそ80名のメンバーがおり、週に2回活動をしています。メンバーのほとんどは初心者からのスタートで、まずは自己紹介や挨拶など基本的な表現の練習からスタートします。日々の活動の中ではゲームなどの企画を通して、手話でコミュニケーションが取れるようになることを目指しています。その他、サークルメンバーが通っている地域のろう者やゲストを招いて講演を行っていただく機会もあり、幅広い経験を積むことができます。
手話も学べば学ぶほど新しい発見があります。たとえばアメリカとイギリスでは口語だと同じ英語を話しますが、手話になると全然表現が違ったり、日本のなかでも関西と関東では表現が違ったりします。「やばい」などのいわゆる若者言葉すらあるのです。
サークルの様々な活動に参加する中で、手話そのものを学ぶことができるのはもちろんなのですが、ろう者についての知識も身についていきます。普段暮らしている中では気付くことが難しい、ろう者ならではの苦労や不便なことに気づいたり、その文化について学んだりすることができます。たとえば、手話の中では「はっきり言う」「結論から言う」といった文化があります。日本語は曖昧な表現が多い言語なので、語尾に「~と思う」をつけることも多いと思いますが、手話の世界ではそれすら不要だとよく指摘されます。
スチューデントダイバーシティ・アクセシビリティ(SDA)支援室のサポートスタッフとしては、「ランチタイム手話」という活動も行っています。お昼休みの時間を利用して有志が集まり、自己紹介や好きな色・スポーツを言うといった基本的な手話を学んでいます。ランチタイム手話をきっかけにもみの木に興味をもち、入会してくれたメンバーもたくさんおり、こうした機会も大切にしたいと思います。
活動の広がり 幅広く
サークルメンバーは学習意欲の高い人が多く、毎年10月と2月に開催される全国手話検定試験(2月はインターネット試験)に挑戦しているメンバーが多数います。サークルでは、検定に挑戦するメンバーを支えようと、通常の活動に加え、毎週の活動後や長期休みを活用して対策を行なっています。その他、SDA室からのお声がけもあり、入学式の手話通訳をもみの木のメンバーが担当する機会もいただいています。こうした活動の機会をいただけるのは大変ありがたく、学校行事を軸に、今後も活動の幅を広げていけたらと考えています。
2023年度は民放ドラマの影響もあり、入会する新入生の数が激増しました(笑)。今年に入って、テレビアニメ「ゆびさきと恋々」の建物や施設描写の参考に同志社大学が選ばれていることや、京田辺キャンパスにも「手話サークル 想」というサークルができたことなどもあり、手話というものを身近に感じていただいて、興味をもってくれる学生が増えたら嬉しいと思います。