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Cyber学長室

学長へのご質問・ご提言

一般教育科目の再活性化について

2008年11月更新
最近、就職活動支援の一環として資格取得が奨励されるようになる一方で、一般教育系の講座・科目が軽視されつつある傾向が各大学(特に中小の私大)で見受けられますが、神学部卒業後、他大学の大学院で米国の宗教史を博士後期課程まで研究した小生にとって、斯様な傾向が強まることには憂慮の念を禁じ得ません。
一般教育科目の主目的は、各自の専門分野の垣根を越えた幅広い知識を蓄え、もって豊かな人格と見識を養うということにあります。
今こそ大学界全体が一般教育科目の価値を再認識すべき時と思われますが、リベラルアーツ教育を標榜する同志社こそ、こうした一般教育科目の再活性化におけるリーダーとしての役目を担うべきであると考えます。
以上について、八田学長はどの様なお考えをお持ちでしょうか。お聞かせ頂ければ幸いです。

学長からの回答

本学の教育に関して、貴重なご提言をいただきお礼申し上げます。
高等教育の最大の目的の一つが人間性の涵養にあるというご意見に私も心から賛同いたします。とりわけ、リベラルアーツ教育の伝統に立脚しつつ、「良心教育」を建学の精神に掲げる本学におきましては、大規模総合大学の利点を最大限に活用して、専門分野の垣根を越えた幅広い教養を学ぶことができる教育プログラムを整備することが学長の重要な使命であると考えております。
そこで、学長就任以来、「キリスト教主義」、「自由主義(自治自立の精神)」、「国際主義」という本学の教育理念を実現し続けるために、教養教育の充実に関して、全学的な検討作業を推進してまいりました。本学が実施してきた教養教育改革は、2006年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」に選定された「公募制のプロジェクト科目による地域活性化」、2007年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」に選定された「アクションプラン主導型発見的キャリア教育」、2008年度「大学教育の国際化加速プログラム(国際共同・連携支援(交流プログラム開発型))」に選定された「外国語教育の質保証と国際交流推進」などの関連教育プログラムに既に結実しており、現代社会における大学教養教育の方向性を示す取組として、学外でも高い評価を得ております。
これまでの実績に安住することなく、今後もさらなる教養教育改革を継続するために、2007年度から全学共通教養教育センターを設置しました。4000に近い設置クラス数を誇る全学共通教養教育科目は、本学に学ぶすべての学生が学部の垣根を越えて履修できる教育リソースであり、不断のカリキュラム自己点検・評価と改善を実施する必要があることを強く認識しています。以下に、現在の全学共通教養教育の概略を簡単に説明させていただきます。
ご指摘のように、幅広い領域に知的関心を広げることが教養教育の原点ですので、「人文・社会・自然科学系科目」(330クラス)を設置して、専門外の分野に触れる学びの機会を十分に保障するように努めています。さらに、専門分野の垣根を越えることを学生に奨励するために、「学際科目」(35クラス)も合わせて設置しています。また、知徳体の全人格的教育を推進するために、「保健体育科目」(324クラス)の充実も忘れてはおりません。さらに、少人数クラスにおける学生と教員の人間的出会いを促進する「教養演習科目」(8クラス)を設置して、ともするとマスプロ教育の代名詞のように思われていた教養教育の既成概念を打ち破る試みもしています。
本学の建学精神を学生に学んでもらう科目としては、「同志社科目」(54クラス)を2005年度から設置しています。選択必修科目とする学部も出てきておりますので、今後も一層の充実と普及に向けて特段の努力をする所存です。
座学からの脱却とともに、ジェネリック・スキル(汎用的能力)の育成を求める近年の教養教育論を踏まえて、「プロジェクト科目」(26クラス)も設置しています。「知識から知恵へ」をモットーに掲げ、学生一人ひとりの問題解決能力の養成を教育目標に掲げています。科目担当者を広く実社会から募る斬新な運営形態と、教養教育におけるPBL(Project Based Learning)の導入は、新たな教養教育の在り方として専門家からも高い評価をいただいております。
現在の教養教育論において、大きな注目を集めている問題解決能力を育成する科目として、2009年度から、関連科目を「キャリア形成支援科目」として整備する予定です。特定の職業訓練ではなく、若い学生の職業観の形成と人間性の涵養を教育目標としています
本学の教育理念の一つである「国際主義」をさらに充実させるために、「外国語教育科目」(8言語3143クラス)も設置されており、全国有数の豊かな科目数を誇っております。国際社会で通用する人物を育成することは、本学の最大の教育的使命の一つです。2009年度から、関連国際教養科目と統合した「国際教養科目」として再編成して、留学プログラムとも積極的に連携させながら、さらなる充実方策の実施を予定しています。
このように、本学でも「教養教育の再活性化」のための全学的検討作業が軌道に乗り、成果が結実し始めたことを学長として心から喜んでいます。創立者新島襄の遺志を継いで、教養豊かで良心に満ちたイ周儻不羈なる人材を育成するために、教養教育の充実は、今後も本学の最も重要な教育的課題であると自覚しております。今後とも温かいご鞭撻とご理解をよろしくお願いいたします。