'20年2月25日 更新
2020年1月24日〜25日、東京慈恵医科大学で開催された日本ポリアミン学会 第11回年会において、西尾天志さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 生命物理科学研究室所属)が、学生口頭発表・優秀賞を受賞しました。
ノルスペルミジン(NSPD)はスペルミジン(SPD)の構造類似体であり、抗腫瘍活性を有することで知られているが、その作用機序については不明な点も多い。
本研究では、これらのポリアミンが遺伝子発現の亢進と抑制の二面性を示し、亢進作用に関してはSPDが、抑制作用に関してはNSPDがより強い活性を示すことを見出した。
本研究では、NSPDとSPDの遺伝子活性に対する影響はそれぞれのポリアミンが導くDNA高次構造と密接に関わっていると考え、原子間力顕微鏡、蛍光顕微鏡によるDNA一分子計測を行い、NSPDがSPDに比べて強いDNA凝縮力を有することを明らかにした。これらの結果から、ポリアミンが誘導するDNAの高次構造転移が遺伝子発現活性の制御に直接関与している事が示された。
加えて、1H NMRを用いた結合親和性の評価や、モンテカルロシミュレーションによる理論的考察から、NSPDとSPDのDNAへの結合様式の違いが高次構造に関して特異的な変化をひき起こしていることが明らかとなった。
本研究で明らかとなった、遺伝子機能とDNA高次構造に対するNSPDの特異的な作用は、NSPDの有する抗腫瘍活性のメカニズムに関わっている可能性が高い。
Chewen-Yang Shew(ニューヨーク市立大学 教授)
吉川 研一(生命医科学部 医情報学科 客員教授)
Takashi Nishio, Yuko Yoshikawa, Chwen-Yang Shew, Naoki Umezawa, Tsunehiko Higuchi and KenichiYoshikawa, Scientific Reports, 2019, 9: 14971
ノルスペルミジン(NSPD)はスペルミジン(SPD)の構造類似体であり、抗腫瘍活性を有することで知られているが、その作用機序については不明な点も多い。
本研究では、これらのポリアミンが遺伝子発現の亢進と抑制の二面性を示し、亢進作用に関してはSPDが、抑制作用に関してはNSPDがより強い活性を示すことを見出した。
本研究では、NSPDとSPDの遺伝子活性に対する影響はそれぞれのポリアミンが導くDNA高次構造と密接に関わっていると考え、原子間力顕微鏡、蛍光顕微鏡によるDNA一分子計測を行い、NSPDがSPDに比べて強いDNA凝縮力を有することを明らかにした。これらの結果から、ポリアミンが誘導するDNAの高次構造転移が遺伝子発現活性の制御に直接関与している事が示された。
加えて、1H NMRを用いた結合親和性の評価や、モンテカルロシミュレーションによる理論的考察から、NSPDとSPDのDNAへの結合様式の違いが高次構造に関して特異的な変化をひき起こしていることが明らかとなった。
本研究で明らかとなった、遺伝子機能とDNA高次構造に対するNSPDの特異的な作用は、NSPDの有する抗腫瘍活性のメカニズムに関わっている可能性が高い。
発表題目:
抗腫瘍活性を有するノルスペルミジンのDNA高次構造・遺伝子活性に対する特異的作用発表者(受賞者):
西尾 天志(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(後期課程))連名者:
吉川 祐子(生命医科学部 ナノバイオ研究所研究員)Chewen-Yang Shew(ニューヨーク市立大学 教授)
吉川 研一(生命医科学部 医情報学科 客員教授)
参考文献
“Specifc efects of antitumor active norspermidine on the structure and function of DNA”Takashi Nishio, Yuko Yoshikawa, Chwen-Yang Shew, Naoki Umezawa, Tsunehiko Higuchi and KenichiYoshikawa, Scientific Reports, 2019, 9: 14971
2020年1月24日〜25日、東京慈恵医科大学で開催された日本ポリアミン学会 第11回年会において、西尾天志さん(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 生命物理科学研究室所属)が、学生口頭発表・優秀賞を受賞しました。
ノルスペルミジン(NSPD)はスペルミジン(SPD)の構造類似体であり、抗腫瘍活性を有することで知られているが、その作用機序については不明な点も多い。
本研究では、これらのポリアミンが遺伝子発現の亢進と抑制の二面性を示し、亢進作用に関してはSPDが、抑制作用に関してはNSPDがより強い活性を示すことを見出した。
本研究では、NSPDとSPDの遺伝子活性に対する影響はそれぞれのポリアミンが導くDNA高次構造と密接に関わっていると考え、原子間力顕微鏡、蛍光顕微鏡によるDNA一分子計測を行い、NSPDがSPDに比べて強いDNA凝縮力を有することを明らかにした。これらの結果から、ポリアミンが誘導するDNAの高次構造転移が遺伝子発現活性の制御に直接関与している事が示された。
加えて、1H NMRを用いた結合親和性の評価や、モンテカルロシミュレーションによる理論的考察から、NSPDとSPDのDNAへの結合様式の違いが高次構造に関して特異的な変化をひき起こしていることが明らかとなった。
本研究で明らかとなった、遺伝子機能とDNA高次構造に対するNSPDの特異的な作用は、NSPDの有する抗腫瘍活性のメカニズムに関わっている可能性が高い。
Chewen-Yang Shew(ニューヨーク市立大学 教授)
吉川 研一(生命医科学部 医情報学科 客員教授)
Takashi Nishio, Yuko Yoshikawa, Chwen-Yang Shew, Naoki Umezawa, Tsunehiko Higuchi and KenichiYoshikawa, Scientific Reports, 2019, 9: 14971
ノルスペルミジン(NSPD)はスペルミジン(SPD)の構造類似体であり、抗腫瘍活性を有することで知られているが、その作用機序については不明な点も多い。
本研究では、これらのポリアミンが遺伝子発現の亢進と抑制の二面性を示し、亢進作用に関してはSPDが、抑制作用に関してはNSPDがより強い活性を示すことを見出した。
本研究では、NSPDとSPDの遺伝子活性に対する影響はそれぞれのポリアミンが導くDNA高次構造と密接に関わっていると考え、原子間力顕微鏡、蛍光顕微鏡によるDNA一分子計測を行い、NSPDがSPDに比べて強いDNA凝縮力を有することを明らかにした。これらの結果から、ポリアミンが誘導するDNAの高次構造転移が遺伝子発現活性の制御に直接関与している事が示された。
加えて、1H NMRを用いた結合親和性の評価や、モンテカルロシミュレーションによる理論的考察から、NSPDとSPDのDNAへの結合様式の違いが高次構造に関して特異的な変化をひき起こしていることが明らかとなった。
本研究で明らかとなった、遺伝子機能とDNA高次構造に対するNSPDの特異的な作用は、NSPDの有する抗腫瘍活性のメカニズムに関わっている可能性が高い。
発表題目:
抗腫瘍活性を有するノルスペルミジンのDNA高次構造・遺伝子活性に対する特異的作用発表者(受賞者):
西尾 天志(生命医科学研究科 医工学・医情報学専攻 博士課程(後期課程))連名者:
吉川 祐子(生命医科学部 ナノバイオ研究所研究員)Chewen-Yang Shew(ニューヨーク市立大学 教授)
吉川 研一(生命医科学部 医情報学科 客員教授)
参考文献
“Specifc efects of antitumor active norspermidine on the structure and function of DNA”Takashi Nishio, Yuko Yoshikawa, Chwen-Yang Shew, Naoki Umezawa, Tsunehiko Higuchi and KenichiYoshikawa, Scientific Reports, 2019, 9: 14971