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【新島塾】 合宿で鍛える知的基礎体力(1日目)

'20年9月14日 更新
合宿で鍛える知的基礎体力1日目

 2020年9月5日~6日の日程で、同志社大学今出川校地良心館において「同志社大学新島塾 合宿で鍛える知的基礎体力」が開催されました。今年度の「合宿で鍛える知的基礎体力」は新型コロナウイルス感染症の影響により開催が危ぶまれましたが、宿泊を伴わない通学方式、通学が困難な参加者はオンラインでの参加も認めるという形態で実施いたしました。参加者は新島塾第1期生と第2期生の27名です。事前に健康観察票の記録や体温測定を行うだけでなく、手指のアルコール消毒、室内換気の励行、人が密集しない広い空間を会場に設定する等、感染拡大を防止するために入念な対策を取り、充実した学びの2日間となりました。

 今年度のテーマは、「危機的状況下での学問‐新型コロナウイルス禍を学問的な視点でどう捉えるか‐」です。塾生は事前に課題図書として提示された『職業としての学問』(マックス・ウェーバー著、尾高 邦雄訳、岩波文庫)を精読し、小グループ単位で勉強会を行った上で、合宿2日目にグループ発表を行います。
 合宿1日目は「2020年大学で学ぶということ」をテーマに、まず植木朝子 新島塾塾長(同志社大学長)、続いて佐藤優 講師(同志社大学特別顧問・神学部客員教授)によるオープニングトークが行われました。
 植木塾長は、冒頭で「科学技術の進展が人々に幸せをもたらすとは限らない。困難な状況の今こそ多様な価値観を認め、その違いを新たな創造の力として未来のあり方を模索しなくてはならない。」と話されました。続いてご自身の専門分野である中世歌謡を取り上げ、文学の力、歴史に学ぶことの重要性を主題に挙げられました。
 いくつかの小歌を例示し「読みの多様性は、曲解して恣意的に都合の良いように捉えることではない」「テキストの内容を正しく解釈することが、他者の考え方を正しく理解することに繋がる。その上で物事を広く見て深く考えることが人間社会の基本である」、「性別により固定化された思考、価値観、先入観から脱却することが重要である」とダイバーシティ、ジェンダーの観点からも幅広くお話しになりました。
 塾長のメッセージに続いてお話しいただいた佐藤講師は塾生に「高校までと大学までの勉強は何が違うのか」と問いかけられました。「大学での学びには、正解があるものと正解がないもの、正解が複数あるものが混在する。ある人にとっての絶対的な正解が別のある人にとっての絶対的な正解とならず、絶対的な正解が複数存在する。その意味で学長のいうダイバーシティは学問においてとても重要である。」「学問においては『正しく理解する』『批判する』『表現する』という3つの知的プロセスが特に重要であり、新島塾の塾生に求められているものだ。そして現在のコロナ禍においていわゆる自粛警察などに見られる顕在化・加速化した日本のパターナリズム的文化に触れ、「現代社会で起きている事象と学知をつないでいく力を身につけてもらいたい」という力強いメッセージを送られました。
 続いて谷村智輝 新島塾コーディネーター(経済学部教授)の司会で、春学期に開催された「読書から始まる知の探究セッション」の担当教員4名による対談が行われました。それぞれのセッションの内容とねらいをご紹介いただく中で、「ダイバーシティとは学びのモザイクである」「主張する時は必ず『聞き手』『読み手』を意識しよう」(文学部・新(あたらし)教授)、「皆さんには同志社人として、考え続ける人、行動し続ける人、観察し続ける人、また立ち止まり続ける人であってほしい」「『置かれた場所で咲きなさい』という有名な言葉にもあるとおり、自分を活かしてほしい」(社会学部・小山教授)、「災害等の緊急時にどうすれば良いのか、マニュアルは用意されていない」「みんながあたりまえに思っていることをあたりまえに思わず『本当にそうなのか?』と常に自問し続けてほしい」(政策学部・服部教授)、「どんな状況であっても皆さんと夢をみていきたい」「窮地に陥った時は視点を変えてみよう」(理工学部・後藤教授)といった、数多くの印象的なメッセージが塾生に対して寄せられました。対談中は、塾生にもいくつかの問いが投げかけられました。読書セッションを受講した自己評価として、ある塾生からは「自分が専攻している学問と他の学問をどう繋げていけばよいのかが分からなくて新島塾に入塾したが、これまで自身にとって関心が薄かった環境問題や復興等について書かれた本をたくさん読むことで、様々な分野の学問にスイッチする力が身についたと思う」、別の塾生からは「コロナ禍にあっても経済や社会の問題を考え続ける必要があり、新島塾で学びの場を継続してもらえたことがありがたい」、「ただレポートを書いて終わる自己完結ではなく、様々な分野の本を読み、他の塾生とグループ討論を行う中で多様な考え方に触れることや、担当の先生からフィードバックをもらうことで、自分の知識の足りない部分が見えてきた」といった言葉が聞かれました。
 対談の終了後には、植木塾長と佐藤講師が再度登壇され、クロージングトークを実施いただきました。植木塾長からは「新島塾で学んだことを実践していってほしい」、佐藤講師からは「自分を愛する人、隣人を愛する人であってほしい」という言葉を締めくくりとして、合宿1日目は終了しました。

 塾生たちはこの後、2日目に行うグループ発表の最終準備にとりかかりました。2日目のグループ発表では、「2020年大学で学ぶということ」をテーマに各グループに30分のプレゼンテーションと20分の質疑応答が課せられました。塾生はオンラインで発表の構成等を検討し、各自が分担しながら準備を進めてきましたが、佐藤講師による発表原稿のチェックでは「論旨が分からない」「記載が当たり前のことすぎて学術的な問題設定となっていない」などと厳しい指摘がいくつも入りました。サイエンスコミュニケータの必要性について発表するグループが、野口範子・生命医科学部教授に直接指導を受けるなど前日に発表原稿や資料を再構築するグループも見られ、塾生は限られた時間の中で課題図書での学びを基に現代的な問題に取り組むという難しい課題に挑みました。
 今年度の新島塾の活動において、この合宿に至るまでの春学期の活動はすべてオンラインで実施してきました。そのため、1期生と2期生の塾生が顔を合わせるのは今日が初めてです。最初はぎこちない様子も目につきましたが、塾生たちは共に最終準備に取り組む中で次第に打ち解けていったようです。終盤にかけてグループ内での議論や作業が白熱し、予定していた会場閉鎖の時間を延長するほどでした。

 現下の状況で、合宿を対面形式で実施することの難しさは相当にありました。しかし、難しい課題を目の前に、異なる学年や学部の塾生が膝を突き合わせ、答えがただ一つではない問題に取り組む様子や、これまでに蓄積した知識を基に様々な角度から多様な意見を交わす様子からは、緊迫感の中にも充実感が垣間見えました。この時間や空間を共有して学ぶ環境と知的な交流こそが塾生が求めているものであり、必要とされているものであったのではないかという想いを新たに持ちました。

新島塾塾生による活動記録は、同志社大学新島塾【公式】Facebookに掲載しています。
こちらも是非ご確認ください。
(事務局・高等研究教育院事務室)
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合宿で鍛える知的基礎体力1日目

 2020年9月5日~6日の日程で、同志社大学今出川校地良心館において「同志社大学新島塾 合宿で鍛える知的基礎体力」が開催されました。今年度の「合宿で鍛える知的基礎体力」は新型コロナウイルス感染症の影響により開催が危ぶまれましたが、宿泊を伴わない通学方式、通学が困難な参加者はオンラインでの参加も認めるという形態で実施いたしました。参加者は新島塾第1期生と第2期生の27名です。事前に健康観察票の記録や体温測定を行うだけでなく、手指のアルコール消毒、室内換気の励行、人が密集しない広い空間を会場に設定する等、感染拡大を防止するために入念な対策を取り、充実した学びの2日間となりました。

 今年度のテーマは、「危機的状況下での学問‐新型コロナウイルス禍を学問的な視点でどう捉えるか‐」です。塾生は事前に課題図書として提示された『職業としての学問』(マックス・ウェーバー著、尾高 邦雄訳、岩波文庫)を精読し、小グループ単位で勉強会を行った上で、合宿2日目にグループ発表を行います。
 合宿1日目は「2020年大学で学ぶということ」をテーマに、まず植木朝子 新島塾塾長(同志社大学長)、続いて佐藤優 講師(同志社大学特別顧問・神学部客員教授)によるオープニングトークが行われました。
 植木塾長は、冒頭で「科学技術の進展が人々に幸せをもたらすとは限らない。困難な状況の今こそ多様な価値観を認め、その違いを新たな創造の力として未来のあり方を模索しなくてはならない。」と話されました。続いてご自身の専門分野である中世歌謡を取り上げ、文学の力、歴史に学ぶことの重要性を主題に挙げられました。
 いくつかの小歌を例示し「読みの多様性は、曲解して恣意的に都合の良いように捉えることではない」「テキストの内容を正しく解釈することが、他者の考え方を正しく理解することに繋がる。その上で物事を広く見て深く考えることが人間社会の基本である」、「性別により固定化された思考、価値観、先入観から脱却することが重要である」とダイバーシティ、ジェンダーの観点からも幅広くお話しになりました。
 塾長のメッセージに続いてお話しいただいた佐藤講師は塾生に「高校までと大学までの勉強は何が違うのか」と問いかけられました。「大学での学びには、正解があるものと正解がないもの、正解が複数あるものが混在する。ある人にとっての絶対的な正解が別のある人にとっての絶対的な正解とならず、絶対的な正解が複数存在する。その意味で学長のいうダイバーシティは学問においてとても重要である。」「学問においては『正しく理解する』『批判する』『表現する』という3つの知的プロセスが特に重要であり、新島塾の塾生に求められているものだ。そして現在のコロナ禍においていわゆる自粛警察などに見られる顕在化・加速化した日本のパターナリズム的文化に触れ、「現代社会で起きている事象と学知をつないでいく力を身につけてもらいたい」という力強いメッセージを送られました。
 続いて谷村智輝 新島塾コーディネーター(経済学部教授)の司会で、春学期に開催された「読書から始まる知の探究セッション」の担当教員4名による対談が行われました。それぞれのセッションの内容とねらいをご紹介いただく中で、「ダイバーシティとは学びのモザイクである」「主張する時は必ず『聞き手』『読み手』を意識しよう」(文学部・新(あたらし)教授)、「皆さんには同志社人として、考え続ける人、行動し続ける人、観察し続ける人、また立ち止まり続ける人であってほしい」「『置かれた場所で咲きなさい』という有名な言葉にもあるとおり、自分を活かしてほしい」(社会学部・小山教授)、「災害等の緊急時にどうすれば良いのか、マニュアルは用意されていない」「みんながあたりまえに思っていることをあたりまえに思わず『本当にそうなのか?』と常に自問し続けてほしい」(政策学部・服部教授)、「どんな状況であっても皆さんと夢をみていきたい」「窮地に陥った時は視点を変えてみよう」(理工学部・後藤教授)といった、数多くの印象的なメッセージが塾生に対して寄せられました。対談中は、塾生にもいくつかの問いが投げかけられました。読書セッションを受講した自己評価として、ある塾生からは「自分が専攻している学問と他の学問をどう繋げていけばよいのかが分からなくて新島塾に入塾したが、これまで自身にとって関心が薄かった環境問題や復興等について書かれた本をたくさん読むことで、様々な分野の学問にスイッチする力が身についたと思う」、別の塾生からは「コロナ禍にあっても経済や社会の問題を考え続ける必要があり、新島塾で学びの場を継続してもらえたことがありがたい」、「ただレポートを書いて終わる自己完結ではなく、様々な分野の本を読み、他の塾生とグループ討論を行う中で多様な考え方に触れることや、担当の先生からフィードバックをもらうことで、自分の知識の足りない部分が見えてきた」といった言葉が聞かれました。
 対談の終了後には、植木塾長と佐藤講師が再度登壇され、クロージングトークを実施いただきました。植木塾長からは「新島塾で学んだことを実践していってほしい」、佐藤講師からは「自分を愛する人、隣人を愛する人であってほしい」という言葉を締めくくりとして、合宿1日目は終了しました。

 塾生たちはこの後、2日目に行うグループ発表の最終準備にとりかかりました。2日目のグループ発表では、「2020年大学で学ぶということ」をテーマに各グループに30分のプレゼンテーションと20分の質疑応答が課せられました。塾生はオンラインで発表の構成等を検討し、各自が分担しながら準備を進めてきましたが、佐藤講師による発表原稿のチェックでは「論旨が分からない」「記載が当たり前のことすぎて学術的な問題設定となっていない」などと厳しい指摘がいくつも入りました。サイエンスコミュニケータの必要性について発表するグループが、野口範子・生命医科学部教授に直接指導を受けるなど前日に発表原稿や資料を再構築するグループも見られ、塾生は限られた時間の中で課題図書での学びを基に現代的な問題に取り組むという難しい課題に挑みました。
 今年度の新島塾の活動において、この合宿に至るまでの春学期の活動はすべてオンラインで実施してきました。そのため、1期生と2期生の塾生が顔を合わせるのは今日が初めてです。最初はぎこちない様子も目につきましたが、塾生たちは共に最終準備に取り組む中で次第に打ち解けていったようです。終盤にかけてグループ内での議論や作業が白熱し、予定していた会場閉鎖の時間を延長するほどでした。

 現下の状況で、合宿を対面形式で実施することの難しさは相当にありました。しかし、難しい課題を目の前に、異なる学年や学部の塾生が膝を突き合わせ、答えがただ一つではない問題に取り組む様子や、これまでに蓄積した知識を基に様々な角度から多様な意見を交わす様子からは、緊迫感の中にも充実感が垣間見えました。この時間や空間を共有して学ぶ環境と知的な交流こそが塾生が求めているものであり、必要とされているものであったのではないかという想いを新たに持ちました。

新島塾塾生による活動記録は、同志社大学新島塾【公式】Facebookに掲載しています。
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関連情報
お問い合わせ先
同志社大学新島塾(事務局 高等研究教育院事務室)
TEL:075-251-3259
FAX:075-251-3152
E-mail:ji-ktken@mail.doshisha.ac.jp
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