'21年3月16日 更新
世界を混乱の渦に巻き込んだ新型コロナウイルスの最初の感染者が確認されてから、一年以上が経過しました。感染症に対しては、さまざまな対応策がとられ、ワクチン接種も始まっています。一時期に比べて感染者の数は減少していますが、それでも油断はできません。感染された方、そのご家族、関係者の方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、困難な状況下において、社会生活を支えて下さっている方々に、心からの敬意と謝意を表します。
同志社大学は、昨春の政府の緊急事態宣言を受け、2020年度春学期の授業を、原則ネット配信といたしました。急遽ネット配信授業を実施したために、当初は混乱した場面もありましたが、その後、情報環境の整備といった大学の対応に加え、何よりも学生の皆さんの理解と教職員の努力によって、適切な授業運営ができました。
秋学期にはネット配信、対面の2形態で授業を実施し、春学期末に実施した授業アンケートの結果などを踏まえて、それぞれの長所を生かした教育を提供してまいりました。
困難な中で学びを継続してきた学生の皆さんと教職員の不断の努力に敬意を表し、衷心より感謝いたします。
従来、本学の授業は、多くの大学と同様、対面形式がほとんどでしたが、コロナ禍の経験をへて、ネット配信授業にも、さまざまなメリットを見出すことができました。たとえば、距離と時間の制約から自由になれること、大規模講義において発言や質問がしやすいこと、反復学習ができること、大人数の集団が苦手な学生さんにとって落ち着いた学習環境が確保できること、などです。
他方で、視覚と聴覚を使うだけのネット配信授業に対して、実験・実習・実技科目や課題解決型科目に顕著にみられるように、五感すべてを活用できるのは対面授業の大きな利点です。障がいのある学生さんの中にはネット配信授業への対応が難しい方もおられ、対面授業の機会によって、問題の解決につながる場合もあります。また、本学の位置する京都を学びのフィールドとし、地域に貢献するということも大学としての重要なミッションです。
さらに、大学教育とは専門的知識を教授することだけがすべてではありません。授業の場以外においても、ラーニング・コモンズなどでの学生同士の白熱した議論の場を設けることも、あるいは、正課との両輪である課外活動の場を提供することも、大学の重要な役割だと考えています。
本学の創立者・新島襄は、幕末動乱のさなか、国禁をおかしてアメリカにわたり、帰国後の1875年、同志社英学校を設立しました。『同志社大学設立の旨意』の中で新島は、ただ普通の英学を教えることだけではなく、「其徳性を涵養し、其品行を高尚ならしめ、其精神を正大ならしめんことを勉め、独り技芸才能ある人物を教育するに止まらず、所謂る良心を手腕に運用するの人物を出さんことを勉めたりき」と述べて、キリスト教主義に基づいた徳育の重要性を強調しています。新島が志した「良心を手腕に運用するの人物」を育てるためには、人と人が空間を共有して深く交流し、さまざまな経験を通して成長できる場を提供しなければならないと強く思っています。
新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にあるものの、変異株の感染拡大の報道もある中、従来通りの生活、学習環境を取り戻すことは、いまだ想定しにくい状況です。しかし、このような状況においても、教育研究機関として、教育の提供を止めないことは最優先課題であると考えています。
2021年度、本学は、コロナ禍での経験を活かしてネット配信授業を有効に活用し、感染拡大防止に留意しながら対面授業をできるだけ多く実施していきます。基礎疾患等で通学することが叶わない学生さんへの配慮も引き続き行ってまいります。
学びにおいて最先端のICTを活用できるよう、2020年度に引き続き、2021年度もさらに情報環境の整備を計画しています。高度なICT活用と並行して、本学の美しいキャンパスに集い、友人と語り合い、教員から直接に指導を受けることにより、人格を磨き、良心の充満した人として生きる――本学の伝統を踏まえた、学びのかたちの新展開を目指します。
新学期、本学キャンパスに学生の皆さんが通ってきてくださることを心待ちにしている一方で、感染拡大に対する心配も打ち消すことはできません。本学では、感染拡大防止策を徹底し、2020年度秋学期には、授業におけるクラスターの発生事例はありませんでした。学生の皆さん、教職員の努力に、改めまして心から感謝いたします。しかし、キャンパス外での、飲食を伴う大人数の会合の場などから、感染者が出ている事例は散見されます。皆さんが学生生活を心から謳歌できず、窮屈な日々を送らなければならないことには胸が痛みますが、一人一人の行動が、大学の対面授業継続、施設利用継続に大きな影響を与えるとともに、ご家族や社会全体にも影響を及ぼす可能性があることを忘れないでください。
感染症への慣れ、自粛疲れなども指摘されるところですが、新学期開始にあたって、気を引き締めていただきたく思います。キャンパスへの入構に際しては、「同志社大学版新型コロナウイルス感染症拡大予防のためのガイドライン」記載の基本事項を遵守してくださるようお願いします。もちろん、感染の可能性は誰にでもあります。感染自体は責められるべきことではありません。もし感染してしまった場合は、「出校可否についてのフローチャート」に沿って、速やかに大学に連絡し、自身の行動については専門家の指示に従ってください。繰り返しのお願いになりますが、感染予防のみならず、感染してしまった場合も含めて、同志社大学生にふさわしく振る舞ってくださることを強く期待いたします。
本学は良心教育を建学の精神とし、「徳の共同体」を基礎とした「知の共同体」の構築を目指してきた点で唯一無二の大学であり、これからもまたそうあり続けなければなりません。学生の皆さんの学びのために、教職員一同は最大限の努力をしてまいります。大学が知の共同体としてあり続けるために、教職員も学生の皆さんとともに学び続けます。
新年度には、桜咲くキャンパスで、皆さんにお目にかかれることを楽しみにしています。
同志社大学は、昨春の政府の緊急事態宣言を受け、2020年度春学期の授業を、原則ネット配信といたしました。急遽ネット配信授業を実施したために、当初は混乱した場面もありましたが、その後、情報環境の整備といった大学の対応に加え、何よりも学生の皆さんの理解と教職員の努力によって、適切な授業運営ができました。
秋学期にはネット配信、対面の2形態で授業を実施し、春学期末に実施した授業アンケートの結果などを踏まえて、それぞれの長所を生かした教育を提供してまいりました。
困難な中で学びを継続してきた学生の皆さんと教職員の不断の努力に敬意を表し、衷心より感謝いたします。
従来、本学の授業は、多くの大学と同様、対面形式がほとんどでしたが、コロナ禍の経験をへて、ネット配信授業にも、さまざまなメリットを見出すことができました。たとえば、距離と時間の制約から自由になれること、大規模講義において発言や質問がしやすいこと、反復学習ができること、大人数の集団が苦手な学生さんにとって落ち着いた学習環境が確保できること、などです。
他方で、視覚と聴覚を使うだけのネット配信授業に対して、実験・実習・実技科目や課題解決型科目に顕著にみられるように、五感すべてを活用できるのは対面授業の大きな利点です。障がいのある学生さんの中にはネット配信授業への対応が難しい方もおられ、対面授業の機会によって、問題の解決につながる場合もあります。また、本学の位置する京都を学びのフィールドとし、地域に貢献するということも大学としての重要なミッションです。
さらに、大学教育とは専門的知識を教授することだけがすべてではありません。授業の場以外においても、ラーニング・コモンズなどでの学生同士の白熱した議論の場を設けることも、あるいは、正課との両輪である課外活動の場を提供することも、大学の重要な役割だと考えています。
本学の創立者・新島襄は、幕末動乱のさなか、国禁をおかしてアメリカにわたり、帰国後の1875年、同志社英学校を設立しました。『同志社大学設立の旨意』の中で新島は、ただ普通の英学を教えることだけではなく、「其徳性を涵養し、其品行を高尚ならしめ、其精神を正大ならしめんことを勉め、独り技芸才能ある人物を教育するに止まらず、所謂る良心を手腕に運用するの人物を出さんことを勉めたりき」と述べて、キリスト教主義に基づいた徳育の重要性を強調しています。新島が志した「良心を手腕に運用するの人物」を育てるためには、人と人が空間を共有して深く交流し、さまざまな経験を通して成長できる場を提供しなければならないと強く思っています。
新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にあるものの、変異株の感染拡大の報道もある中、従来通りの生活、学習環境を取り戻すことは、いまだ想定しにくい状況です。しかし、このような状況においても、教育研究機関として、教育の提供を止めないことは最優先課題であると考えています。
2021年度、本学は、コロナ禍での経験を活かしてネット配信授業を有効に活用し、感染拡大防止に留意しながら対面授業をできるだけ多く実施していきます。基礎疾患等で通学することが叶わない学生さんへの配慮も引き続き行ってまいります。
学びにおいて最先端のICTを活用できるよう、2020年度に引き続き、2021年度もさらに情報環境の整備を計画しています。高度なICT活用と並行して、本学の美しいキャンパスに集い、友人と語り合い、教員から直接に指導を受けることにより、人格を磨き、良心の充満した人として生きる――本学の伝統を踏まえた、学びのかたちの新展開を目指します。
新学期、本学キャンパスに学生の皆さんが通ってきてくださることを心待ちにしている一方で、感染拡大に対する心配も打ち消すことはできません。本学では、感染拡大防止策を徹底し、2020年度秋学期には、授業におけるクラスターの発生事例はありませんでした。学生の皆さん、教職員の努力に、改めまして心から感謝いたします。しかし、キャンパス外での、飲食を伴う大人数の会合の場などから、感染者が出ている事例は散見されます。皆さんが学生生活を心から謳歌できず、窮屈な日々を送らなければならないことには胸が痛みますが、一人一人の行動が、大学の対面授業継続、施設利用継続に大きな影響を与えるとともに、ご家族や社会全体にも影響を及ぼす可能性があることを忘れないでください。
感染症への慣れ、自粛疲れなども指摘されるところですが、新学期開始にあたって、気を引き締めていただきたく思います。キャンパスへの入構に際しては、「同志社大学版新型コロナウイルス感染症拡大予防のためのガイドライン」記載の基本事項を遵守してくださるようお願いします。もちろん、感染の可能性は誰にでもあります。感染自体は責められるべきことではありません。もし感染してしまった場合は、「出校可否についてのフローチャート」に沿って、速やかに大学に連絡し、自身の行動については専門家の指示に従ってください。繰り返しのお願いになりますが、感染予防のみならず、感染してしまった場合も含めて、同志社大学生にふさわしく振る舞ってくださることを強く期待いたします。
本学は良心教育を建学の精神とし、「徳の共同体」を基礎とした「知の共同体」の構築を目指してきた点で唯一無二の大学であり、これからもまたそうあり続けなければなりません。学生の皆さんの学びのために、教職員一同は最大限の努力をしてまいります。大学が知の共同体としてあり続けるために、教職員も学生の皆さんとともに学び続けます。
新年度には、桜咲くキャンパスで、皆さんにお目にかかれることを楽しみにしています。
世界を混乱の渦に巻き込んだ新型コロナウイルスの最初の感染者が確認されてから、一年以上が経過しました。感染症に対しては、さまざまな対応策がとられ、ワクチン接種も始まっています。一時期に比べて感染者の数は減少していますが、それでも油断はできません。感染された方、そのご家族、関係者の方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、困難な状況下において、社会生活を支えて下さっている方々に、心からの敬意と謝意を表します。
同志社大学は、昨春の政府の緊急事態宣言を受け、2020年度春学期の授業を、原則ネット配信といたしました。急遽ネット配信授業を実施したために、当初は混乱した場面もありましたが、その後、情報環境の整備といった大学の対応に加え、何よりも学生の皆さんの理解と教職員の努力によって、適切な授業運営ができました。
秋学期にはネット配信、対面の2形態で授業を実施し、春学期末に実施した授業アンケートの結果などを踏まえて、それぞれの長所を生かした教育を提供してまいりました。
困難な中で学びを継続してきた学生の皆さんと教職員の不断の努力に敬意を表し、衷心より感謝いたします。
従来、本学の授業は、多くの大学と同様、対面形式がほとんどでしたが、コロナ禍の経験をへて、ネット配信授業にも、さまざまなメリットを見出すことができました。たとえば、距離と時間の制約から自由になれること、大規模講義において発言や質問がしやすいこと、反復学習ができること、大人数の集団が苦手な学生さんにとって落ち着いた学習環境が確保できること、などです。
他方で、視覚と聴覚を使うだけのネット配信授業に対して、実験・実習・実技科目や課題解決型科目に顕著にみられるように、五感すべてを活用できるのは対面授業の大きな利点です。障がいのある学生さんの中にはネット配信授業への対応が難しい方もおられ、対面授業の機会によって、問題の解決につながる場合もあります。また、本学の位置する京都を学びのフィールドとし、地域に貢献するということも大学としての重要なミッションです。
さらに、大学教育とは専門的知識を教授することだけがすべてではありません。授業の場以外においても、ラーニング・コモンズなどでの学生同士の白熱した議論の場を設けることも、あるいは、正課との両輪である課外活動の場を提供することも、大学の重要な役割だと考えています。
本学の創立者・新島襄は、幕末動乱のさなか、国禁をおかしてアメリカにわたり、帰国後の1875年、同志社英学校を設立しました。『同志社大学設立の旨意』の中で新島は、ただ普通の英学を教えることだけではなく、「其徳性を涵養し、其品行を高尚ならしめ、其精神を正大ならしめんことを勉め、独り技芸才能ある人物を教育するに止まらず、所謂る良心を手腕に運用するの人物を出さんことを勉めたりき」と述べて、キリスト教主義に基づいた徳育の重要性を強調しています。新島が志した「良心を手腕に運用するの人物」を育てるためには、人と人が空間を共有して深く交流し、さまざまな経験を通して成長できる場を提供しなければならないと強く思っています。
新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にあるものの、変異株の感染拡大の報道もある中、従来通りの生活、学習環境を取り戻すことは、いまだ想定しにくい状況です。しかし、このような状況においても、教育研究機関として、教育の提供を止めないことは最優先課題であると考えています。
2021年度、本学は、コロナ禍での経験を活かしてネット配信授業を有効に活用し、感染拡大防止に留意しながら対面授業をできるだけ多く実施していきます。基礎疾患等で通学することが叶わない学生さんへの配慮も引き続き行ってまいります。
学びにおいて最先端のICTを活用できるよう、2020年度に引き続き、2021年度もさらに情報環境の整備を計画しています。高度なICT活用と並行して、本学の美しいキャンパスに集い、友人と語り合い、教員から直接に指導を受けることにより、人格を磨き、良心の充満した人として生きる――本学の伝統を踏まえた、学びのかたちの新展開を目指します。
新学期、本学キャンパスに学生の皆さんが通ってきてくださることを心待ちにしている一方で、感染拡大に対する心配も打ち消すことはできません。本学では、感染拡大防止策を徹底し、2020年度秋学期には、授業におけるクラスターの発生事例はありませんでした。学生の皆さん、教職員の努力に、改めまして心から感謝いたします。しかし、キャンパス外での、飲食を伴う大人数の会合の場などから、感染者が出ている事例は散見されます。皆さんが学生生活を心から謳歌できず、窮屈な日々を送らなければならないことには胸が痛みますが、一人一人の行動が、大学の対面授業継続、施設利用継続に大きな影響を与えるとともに、ご家族や社会全体にも影響を及ぼす可能性があることを忘れないでください。
感染症への慣れ、自粛疲れなども指摘されるところですが、新学期開始にあたって、気を引き締めていただきたく思います。キャンパスへの入構に際しては、「同志社大学版新型コロナウイルス感染症拡大予防のためのガイドライン」記載の基本事項を遵守してくださるようお願いします。もちろん、感染の可能性は誰にでもあります。感染自体は責められるべきことではありません。もし感染してしまった場合は、「出校可否についてのフローチャート」に沿って、速やかに大学に連絡し、自身の行動については専門家の指示に従ってください。繰り返しのお願いになりますが、感染予防のみならず、感染してしまった場合も含めて、同志社大学生にふさわしく振る舞ってくださることを強く期待いたします。
本学は良心教育を建学の精神とし、「徳の共同体」を基礎とした「知の共同体」の構築を目指してきた点で唯一無二の大学であり、これからもまたそうあり続けなければなりません。学生の皆さんの学びのために、教職員一同は最大限の努力をしてまいります。大学が知の共同体としてあり続けるために、教職員も学生の皆さんとともに学び続けます。
新年度には、桜咲くキャンパスで、皆さんにお目にかかれることを楽しみにしています。
同志社大学は、昨春の政府の緊急事態宣言を受け、2020年度春学期の授業を、原則ネット配信といたしました。急遽ネット配信授業を実施したために、当初は混乱した場面もありましたが、その後、情報環境の整備といった大学の対応に加え、何よりも学生の皆さんの理解と教職員の努力によって、適切な授業運営ができました。
秋学期にはネット配信、対面の2形態で授業を実施し、春学期末に実施した授業アンケートの結果などを踏まえて、それぞれの長所を生かした教育を提供してまいりました。
困難な中で学びを継続してきた学生の皆さんと教職員の不断の努力に敬意を表し、衷心より感謝いたします。
従来、本学の授業は、多くの大学と同様、対面形式がほとんどでしたが、コロナ禍の経験をへて、ネット配信授業にも、さまざまなメリットを見出すことができました。たとえば、距離と時間の制約から自由になれること、大規模講義において発言や質問がしやすいこと、反復学習ができること、大人数の集団が苦手な学生さんにとって落ち着いた学習環境が確保できること、などです。
他方で、視覚と聴覚を使うだけのネット配信授業に対して、実験・実習・実技科目や課題解決型科目に顕著にみられるように、五感すべてを活用できるのは対面授業の大きな利点です。障がいのある学生さんの中にはネット配信授業への対応が難しい方もおられ、対面授業の機会によって、問題の解決につながる場合もあります。また、本学の位置する京都を学びのフィールドとし、地域に貢献するということも大学としての重要なミッションです。
さらに、大学教育とは専門的知識を教授することだけがすべてではありません。授業の場以外においても、ラーニング・コモンズなどでの学生同士の白熱した議論の場を設けることも、あるいは、正課との両輪である課外活動の場を提供することも、大学の重要な役割だと考えています。
本学の創立者・新島襄は、幕末動乱のさなか、国禁をおかしてアメリカにわたり、帰国後の1875年、同志社英学校を設立しました。『同志社大学設立の旨意』の中で新島は、ただ普通の英学を教えることだけではなく、「其徳性を涵養し、其品行を高尚ならしめ、其精神を正大ならしめんことを勉め、独り技芸才能ある人物を教育するに止まらず、所謂る良心を手腕に運用するの人物を出さんことを勉めたりき」と述べて、キリスト教主義に基づいた徳育の重要性を強調しています。新島が志した「良心を手腕に運用するの人物」を育てるためには、人と人が空間を共有して深く交流し、さまざまな経験を通して成長できる場を提供しなければならないと強く思っています。
新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にあるものの、変異株の感染拡大の報道もある中、従来通りの生活、学習環境を取り戻すことは、いまだ想定しにくい状況です。しかし、このような状況においても、教育研究機関として、教育の提供を止めないことは最優先課題であると考えています。
2021年度、本学は、コロナ禍での経験を活かしてネット配信授業を有効に活用し、感染拡大防止に留意しながら対面授業をできるだけ多く実施していきます。基礎疾患等で通学することが叶わない学生さんへの配慮も引き続き行ってまいります。
学びにおいて最先端のICTを活用できるよう、2020年度に引き続き、2021年度もさらに情報環境の整備を計画しています。高度なICT活用と並行して、本学の美しいキャンパスに集い、友人と語り合い、教員から直接に指導を受けることにより、人格を磨き、良心の充満した人として生きる――本学の伝統を踏まえた、学びのかたちの新展開を目指します。
新学期、本学キャンパスに学生の皆さんが通ってきてくださることを心待ちにしている一方で、感染拡大に対する心配も打ち消すことはできません。本学では、感染拡大防止策を徹底し、2020年度秋学期には、授業におけるクラスターの発生事例はありませんでした。学生の皆さん、教職員の努力に、改めまして心から感謝いたします。しかし、キャンパス外での、飲食を伴う大人数の会合の場などから、感染者が出ている事例は散見されます。皆さんが学生生活を心から謳歌できず、窮屈な日々を送らなければならないことには胸が痛みますが、一人一人の行動が、大学の対面授業継続、施設利用継続に大きな影響を与えるとともに、ご家族や社会全体にも影響を及ぼす可能性があることを忘れないでください。
感染症への慣れ、自粛疲れなども指摘されるところですが、新学期開始にあたって、気を引き締めていただきたく思います。キャンパスへの入構に際しては、「同志社大学版新型コロナウイルス感染症拡大予防のためのガイドライン」記載の基本事項を遵守してくださるようお願いします。もちろん、感染の可能性は誰にでもあります。感染自体は責められるべきことではありません。もし感染してしまった場合は、「出校可否についてのフローチャート」に沿って、速やかに大学に連絡し、自身の行動については専門家の指示に従ってください。繰り返しのお願いになりますが、感染予防のみならず、感染してしまった場合も含めて、同志社大学生にふさわしく振る舞ってくださることを強く期待いたします。
本学は良心教育を建学の精神とし、「徳の共同体」を基礎とした「知の共同体」の構築を目指してきた点で唯一無二の大学であり、これからもまたそうあり続けなければなりません。学生の皆さんの学びのために、教職員一同は最大限の努力をしてまいります。大学が知の共同体としてあり続けるために、教職員も学生の皆さんとともに学び続けます。
新年度には、桜咲くキャンパスで、皆さんにお目にかかれることを楽しみにしています。