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【新島塾】読書から始まる知の探究服部教授セッション 第4回活動-1

'21年9月15日 更新
8月12日(木)に「読書から始まる知の探究」服部篤子教授(政策学部)によるセッション(1期生・2期生合同)のフィールドワークが福岡県大牟田市と本学今出川校地を結びオンラインで開催されました。
福岡県大牟田市は、福祉・認知症ケアの領域において先駆的な取り組みを行っている一方、37.1%という日本有数の高齢化率の高さから、日本社会の10年、20年先の将来像を描いていると言われています。「認知症フレンドリー社会」とも言われる大牟田市の取り組みと実態を目にすることで、これまでに学習したことが正しいのか知り、感じ取ることを目的にフィールドワークを実施しました。残念ながら、福岡県の感染状況や京都にもまん延防止措置が発令されたことを受け、フィールドワーク実施直前に大牟田市の訪問を取り止め、オンラインでの実施に切り替えることとなりました。オンラインで実施可能な講演とリレートーク、Zoomの機能を用いたディスカッション、討論という内容に組み替えられました。

「認知症にやさしい地域づくりへ-大牟田市の挑戦-」として、商店街会長への事前インタビューをはじめ、医療福祉事業所、地元商店街、居住支援協議会、医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センターなど実際に大牟田市で活躍されている7名のご協力を得て講演、討論を行いました。
当日の大牟田市は、災害級の豪雨に見舞われました。朝から災害・避難情報が何度も鳴り、途中で何名もの方が現場に急行されました。その様子は、豪雨災害がテレビの向こうの出来事ではなく、今、現実に起こっていることなのだと思い知るには十分すぎるほどでした。
フィールドワークの様子を、いくつかの記事に分けてご紹介します。

1.事前インタビュー「商店街ができる認知症にやさしい地域への取り組み」

大牟田よかもん商店街の代表である松永様にインタビューしました。特徴的な取り組みである出張商店街事業の経緯を伺うとともに当初の困難をどのように乗り越えて今に至るのか、どのように認知症を抱えた人と向き合っているのか、地域で商売を営む方の声をお聞きしました。
「平成22年に『商店街ができる認知症にやさしい地域の取組』として、地域の買い物弱者支援として始めた出張商店街事業は、『認知症サポーターのいる商店街マップ』を作成するなどの活動が認められ、福岡県から地域貢献部門で表彰されるまでになった。しかし、最初から順調だったわけではない。市からは『商業の部局には福祉のことは分からない。福祉の部局からは商業のことは分からない。前例がないからできない。』と断られ、商業と福祉業界の間の壁もあってどうしたらいいかわからない状態だった。どこにも答えがなく手探りの中、福祉の専門家である猿渡さんと繋がることで変わった。異業種にも理解を示し、柔軟に受け入れてくれた。
 福祉業界と商業者に接点が生まれ始めたことは商店街にとってチャンスで、出張商店街は無理なく持続できる仕組みである。大牟田特有のものではなく、他の地域でもきっとできる。
 何より大事なことは、お互いにWin-Winの関係となるよう相手のことをよく知ることである。高齢者施設が商店街を招く意義、商店街が施設に出張する意義について「本音で」分かり合うことで、ボランティア精神だけでは長続きしないと気付いた。
 認知症サポーターの活動としては、特別なことは何もしていない。自分の祖父母と接するときのようにあたりまえのことをあたりまえにしているだけ。商店街は、認知症の有無に関係なく、高齢者にとっては居場所であり、安心して買い物ができる馴染みの場所であり、家族との思い出が詰まった大事なコミュニティである。」というお話しでした。
 商業者として商いの場を広げたいという想いも当然ですが、その根底にはかつて活気に溢れていた、自分が生まれ育った商店街と地域を守っていきたいという強い想いを感じました。

2.講演「福祉と住宅をつなぐ-暮らしを真ん中に-」

 大牟田市居住支援協議会事務局長の牧嶋様に「福祉と住宅をつなぐ-暮らしを真ん中に-」というタイトルで、市役所職員として福祉部局と住宅部局の双方で住宅施策に携わった経歴に裏打ちされた現場経験を事例紹介とともにお話しいただきました。
 冒頭の「地域の課題は認知症だけではない。昨年の豪雨災害で、実際に多くの人が家を失ったが、高齢である、保証人がいない、転居費用がないなどを理由に不動産会社から家を借りられない人がいる。これはたしかに住まいの問題ではあるが、確保だけではなくその周りの支援が必要で、大牟田が取り組む「認知症ケア」だけでなく「地域づくりや暮らし」により着目する必要がある。」というお言葉が特に印象的でした。

お話しの中で出てきた
  • 問題は複雑・高度化している。自身で解決できればよいが、様々な壁もある。、できない理由より、どうしたらできるのか考えることが大事である。
  • それぞれの分野のプロである専門家へ「つなぐ」ことが解決の糸口になりえるのではないか。
  • 「つなぐこと」の第一歩は、「知ること」であり、時間と空間を共有して「知ろうと努力すること」である。
  • 「何事も課題を抽出するだけでは進まない。誰がやるのか。それには顔の見える連携が大事である。」
  • 問題解決の答えは現場にあり、「知る」ためにもっと現場の声を聴く機会が必要。
というどれもが実体験に基づくもので、塾生一同に非常に重く響きました。

講演後、塾生からあった質問といただいた回答をいくつか抜粋して掲載します。
Q1.
地域の人の悩みを聞き出すための工夫について
A1.
「聴く」しかない。傾聴して受け止めて、フィードバックすること。いかに相手の立場に自分がなれるか。もし、明日、自分が相手の立場になったらどうするか考えて取り組んでいる。対応が難しいことには、今の市ではこれはできるが、これには時間がかかると返答している。
Q2.
どのようにして他の人を巻き込んだのか
A2.
現場で困っている人たちをどうすれば助けられるのか考えただけ。役所だけなく、民間事業者にも仲間がいた。人によって温度差は激しく、最初は役所の中で営業をしていた感じ。最初から断らず、自分できることを受け止め、役所内でも困っている人に手を差し伸べていたら理解者がだんだん増えた。
と、塾生に多くのことを伝えようと長時間対応いただきました。ありがとうございました。

(その2.へつづく)

(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が主に作成しました。
新島塾第2期塾生 西澤さん(生命医科学部)
新島塾第2期塾生 小林さん(文化情報学部)
新島塾第3期塾生 山本さん(生命医科学部)
8月12日(木)に「読書から始まる知の探究」服部篤子教授(政策学部)によるセッション(1期生・2期生合同)のフィールドワークが福岡県大牟田市と本学今出川校地を結びオンラインで開催されました。
福岡県大牟田市は、福祉・認知症ケアの領域において先駆的な取り組みを行っている一方、37.1%という日本有数の高齢化率の高さから、日本社会の10年、20年先の将来像を描いていると言われています。「認知症フレンドリー社会」とも言われる大牟田市の取り組みと実態を目にすることで、これまでに学習したことが正しいのか知り、感じ取ることを目的にフィールドワークを実施しました。残念ながら、福岡県の感染状況や京都にもまん延防止措置が発令されたことを受け、フィールドワーク実施直前に大牟田市の訪問を取り止め、オンラインでの実施に切り替えることとなりました。オンラインで実施可能な講演とリレートーク、Zoomの機能を用いたディスカッション、討論という内容に組み替えられました。

「認知症にやさしい地域づくりへ-大牟田市の挑戦-」として、商店街会長への事前インタビューをはじめ、医療福祉事業所、地元商店街、居住支援協議会、医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センターなど実際に大牟田市で活躍されている7名のご協力を得て講演、討論を行いました。
当日の大牟田市は、災害級の豪雨に見舞われました。朝から災害・避難情報が何度も鳴り、途中で何名もの方が現場に急行されました。その様子は、豪雨災害がテレビの向こうの出来事ではなく、今、現実に起こっていることなのだと思い知るには十分すぎるほどでした。
フィールドワークの様子を、いくつかの記事に分けてご紹介します。

1.事前インタビュー「商店街ができる認知症にやさしい地域への取り組み」

大牟田よかもん商店街の代表である松永様にインタビューしました。特徴的な取り組みである出張商店街事業の経緯を伺うとともに当初の困難をどのように乗り越えて今に至るのか、どのように認知症を抱えた人と向き合っているのか、地域で商売を営む方の声をお聞きしました。
「平成22年に『商店街ができる認知症にやさしい地域の取組』として、地域の買い物弱者支援として始めた出張商店街事業は、『認知症サポーターのいる商店街マップ』を作成するなどの活動が認められ、福岡県から地域貢献部門で表彰されるまでになった。しかし、最初から順調だったわけではない。市からは『商業の部局には福祉のことは分からない。福祉の部局からは商業のことは分からない。前例がないからできない。』と断られ、商業と福祉業界の間の壁もあってどうしたらいいかわからない状態だった。どこにも答えがなく手探りの中、福祉の専門家である猿渡さんと繋がることで変わった。異業種にも理解を示し、柔軟に受け入れてくれた。
 福祉業界と商業者に接点が生まれ始めたことは商店街にとってチャンスで、出張商店街は無理なく持続できる仕組みである。大牟田特有のものではなく、他の地域でもきっとできる。
 何より大事なことは、お互いにWin-Winの関係となるよう相手のことをよく知ることである。高齢者施設が商店街を招く意義、商店街が施設に出張する意義について「本音で」分かり合うことで、ボランティア精神だけでは長続きしないと気付いた。
 認知症サポーターの活動としては、特別なことは何もしていない。自分の祖父母と接するときのようにあたりまえのことをあたりまえにしているだけ。商店街は、認知症の有無に関係なく、高齢者にとっては居場所であり、安心して買い物ができる馴染みの場所であり、家族との思い出が詰まった大事なコミュニティである。」というお話しでした。
 商業者として商いの場を広げたいという想いも当然ですが、その根底にはかつて活気に溢れていた、自分が生まれ育った商店街と地域を守っていきたいという強い想いを感じました。

2.講演「福祉と住宅をつなぐ-暮らしを真ん中に-」

 大牟田市居住支援協議会事務局長の牧嶋様に「福祉と住宅をつなぐ-暮らしを真ん中に-」というタイトルで、市役所職員として福祉部局と住宅部局の双方で住宅施策に携わった経歴に裏打ちされた現場経験を事例紹介とともにお話しいただきました。
 冒頭の「地域の課題は認知症だけではない。昨年の豪雨災害で、実際に多くの人が家を失ったが、高齢である、保証人がいない、転居費用がないなどを理由に不動産会社から家を借りられない人がいる。これはたしかに住まいの問題ではあるが、確保だけではなくその周りの支援が必要で、大牟田が取り組む「認知症ケア」だけでなく「地域づくりや暮らし」により着目する必要がある。」というお言葉が特に印象的でした。

お話しの中で出てきた
  • 問題は複雑・高度化している。自身で解決できればよいが、様々な壁もある。、できない理由より、どうしたらできるのか考えることが大事である。
  • それぞれの分野のプロである専門家へ「つなぐ」ことが解決の糸口になりえるのではないか。
  • 「つなぐこと」の第一歩は、「知ること」であり、時間と空間を共有して「知ろうと努力すること」である。
  • 「何事も課題を抽出するだけでは進まない。誰がやるのか。それには顔の見える連携が大事である。」
  • 問題解決の答えは現場にあり、「知る」ためにもっと現場の声を聴く機会が必要。
というどれもが実体験に基づくもので、塾生一同に非常に重く響きました。

講演後、塾生からあった質問といただいた回答をいくつか抜粋して掲載します。
Q1.
地域の人の悩みを聞き出すための工夫について
A1.
「聴く」しかない。傾聴して受け止めて、フィードバックすること。いかに相手の立場に自分がなれるか。もし、明日、自分が相手の立場になったらどうするか考えて取り組んでいる。対応が難しいことには、今の市ではこれはできるが、これには時間がかかると返答している。
Q2.
どのようにして他の人を巻き込んだのか
A2.
現場で困っている人たちをどうすれば助けられるのか考えただけ。役所だけなく、民間事業者にも仲間がいた。人によって温度差は激しく、最初は役所の中で営業をしていた感じ。最初から断らず、自分できることを受け止め、役所内でも困っている人に手を差し伸べていたら理解者がだんだん増えた。
と、塾生に多くのことを伝えようと長時間対応いただきました。ありがとうございました。

(その2.へつづく)

(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が主に作成しました。
新島塾第2期塾生 西澤さん(生命医科学部)
新島塾第2期塾生 小林さん(文化情報学部)
新島塾第3期塾生 山本さん(生命医科学部)
関連情報
お問い合わせ先
同志社大学新島塾(事務局 高等研究教育院事務室)
TEL:075-251-3259
FAX:075-251-3152
E-mail:ji-ktken@mail.doshisha.ac.jp
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