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新年のご挨拶

'23年1月1日 更新
 平素は同志社大学の教育研究活動に深いご理解とあたたかいご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。同志社創立148回目の新春を迎えました。
 2023年の年頭にあたり、謹んで新春のお慶びを申し上げるとともに、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

 世界を混乱の渦に巻き込んだ新型コロナウイルスの最初の感染者が確認されてから、三年が経過しました。現在も予断を許さない状況ではありますが、社会・経済は徐々に回復の兆しを見せ始めております。

 新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、本学は現在、対面授業とネット配信授業を併用して授業を行っており、対面授業については、教室収容定員を学期末試験時の定員である試験定員で実施しておりますが、2023年度については、教室収容定員の8割程度まで増やします。これにより、ほとんどの授業科目を対面形式で実施できる見込みです。大学教育は知識を提供することだけがすべてではありません。五感を活用した学び、そして実空間を共有する学生同士の白熱した議論の場を設けること、さらにいえば正課との両輪である正課外活動の場を提供することも、大学の重要な役割です。本学は、コロナ禍で学んだICT活用の利点を活かしつつ、キャンパスで学ぶ機会を積極的に提供いたします。

 本学は、1875年に同志社英学校として誕生して以来、創立者・新島襄が『同志社大学設立の旨意』で宣言しているとおり、自治自立の精神に富み、自由を尊び、良心を手腕に運用する志高き人物の育成を目指して、教育研究活動を展開してまいりました。
 コロナ禍の中でも、創立150周年に向けて進むべき指標として策定した中期計画「同志社大学ビジョン2025 ~躍動する同志社大学~」に沿って、改革を進めております。

 2016年に策定したビジョンの初期には、他学生の模範となるロールモデル人材を育成することを目指した新島塾、本学初の海外キャンパスである同志社大学テュービンゲンEUキャンパスにおける教育プログラム、継志寮におけるレジデンシャル・ラーニング・プログラムなど、意欲あふれた学生に特別な教育プログラムを提供し、学内に知的活気をもたらすことに力を入れました。
 
 その成果の上に、現在は全ての学生に直接、知的刺激を与える段階として、全学にまたがる教育プログラムの新設および改革を進めています。たとえば、英語教育については、多様化するニーズに対応した新カリキュラムの展開、学術・留学・職業など次のステージを意識した科目設置、習熟度別による徹底したきめ細やかな指導等を目的に30年ぶりとなるカリキュラム改革を実施し、2022年4月から新しいプログラムが始まりました。また、AI、データサイエンス社会に対する対応として、2022年度から、「同志社データサイエンス・AI教育プログラム(DDASH)」を開始いたしました。今後のAI社会で、AIを使いこなすリテラシーを教育する目的で設置しています。基本となる「リテラシー」を学んだあとは、希望者は「応用基礎」レベル、そして「副専攻パッケージ」を履修し、最終的には「エキスパート」レベルまで到達することができるプログラムとしています。このように、今後の、グローバル化社会、データ社会を様々な分野から牽引していく人材を育成してまいります。
 さらに2024年度からは、全15回の授業を教室13回+オンデマンド2回で実施することを基本形とする、新たな学年暦の導入を予定しています。夏期休暇期間といわゆる春休み期間が長くなり、フィールドワーク、各種実習、インターンシップ、ボランティア活動等新たな主体的な学びの機会がうまれ、海外留学プログラムの充実や本学で展開される留学生プログラムへの参加機会の増加が期待できます。本学はこうした改革を通して、学修者本位の新しい学びを実現してまいります。

 研究面においても新たな取組を重ねています。たとえば、新しい技術で産学連携を推進する拠点形成を行う取組として、2021年6月に「同志社大学カーボンリサイクル教育研究プラットフォーム」を設置いたしました。世界的に進む温暖化に対して、産学連携でカーボンリサイクルに取り組むという点だけではなく、大学が社会実装を視野に入れた実験を大掛かりに進めようとしている点が、もう一つの大きなチャレンジです。産学連携は研究面に焦点が当たりがちですが、本学は人材育成事業にも力を入れ、教育・研究両輪での連携を進めているところです。
 また、研究創出のため、大学がテーマを指定して研究力を結集する取組も新たに始めました。本学では、従来から現代社会の諸課題を解決するために、様々な領域・分野の研究者の個々の研究、そして研究センター等を活用した共同研究など、本学の特色を発揮できる研究活動を支援してきましたが、2020年度には、特定課題に向けて全学の研究力を結集する「All Doshisha Research Model」という新たな研究スキームを構築しています。そこではコロナをテーマとして第1弾の研究募集を行い、77の課題が採択されました。研究成果は5回のシンポジウムとしてHP上に公開しています。ぜひご視聴いただき、本学の研究の今にふれていただければ幸いです。2022年度は、SDGsをテーマに研究課題の探索を行い、SDGsの目標数と同じ17課題が採択されています。

 以上のように、教育研究面での改革が進んできたことにより、キャンパス整備のあるべき姿も見えてきました。そこで、創立150周年に向けての教育研究環境の整備計画を2020年12月に策定しました。主な整備計画は、寧静館と育真館建設事業、今出川図書館建設事業、新学生寮建設事業、京田辺キャンパスリニューアル建設事業、スポーツコンプレックス建設事業等で、総額250億円を超える「新・大規模建設事業」です。このうち、新たな学生寮・継志寮はすでに完成し、2021年9月に入居が開始されました。寧静館と育真館は、今年中に完成を迎えます。

 大学の顔である今出川図書館は、1973年12月に竣工し、以来、半世紀にわたって活用されてきましたが、一方で施設・設備の老朽化、書籍所蔵スペースの狭隘化等の課題も抱えていました。そこで、新図書館を構想することとし、①学習・研究の入口となり、探求の世界に誘う、②学習・研究に没頭する場となり、探求を支える、③知の入手拠点となり、知の生産に貢献し、知の集積を後世に伝える、という基本理念のもと、委員会での議論を重ね、基本設計を固めているところです。本学にはラーニング・コモンズという、さまざまなヒト・モノ・コト・情報と出会った利用者が仲間とともに議論し展開していく場がありますが、図書館は、利用者が書物と出会い、書物との対話を通して考察を深める静謐な時間を過ごす場です。本学は、学生の多様な学びのために、多様な場、多様な方法を提供したいと考えています。

 開校後37年を経過した京田辺キャンパスについてはリニューアルを行い、また新たなスポーツ活動の拠点となるスポーツコンプレックスの建設を行います。リニューアルについては、教室棟を中心に現代の教育ニーズに対応できるような最新の技術等を導入するとともに、緑あふれる環境の中で学生の交流を活性化できるような仕組みを取り入れる方向で検討を開始しています。また、研究成果を発信できるよう国際会議やシンポジウムのための施設整備を行うことも検討しています。スポーツコンプレックスについては、正課の授業での利用だけでなく、学生、教職員などを含む広範な人々が利用しやすいものとなるような方向で検討を進めています。現在は、学生、教職員に対して実施したアンケートの結果を整理しているところで、委員会における今後の検討に活かしていきたいと考えています。

 コロナ禍によって、人と人との触れ合いが禁じられた時を経て、私たちは、その大切さに改めて気づかされました。今年の夏の高校野球で優勝した仙台育英高校の須江航監督が、試合後のインタビューで、「青春ってすごく密なので、でもそういうことは全部「だめだ、だめだ」と言われて、活動していても、どこかでストップがかかって、どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で、でも本当に諦めないでやってくれた」と発言されたことが大きな話題になりましたが、学生たちが「密な」青春を謳歌できるように、人と人との交流によって豊かな多様性に輝くキャンパスを創っていくべく、教職員一同、力を尽くしてまいります。

 校友の皆様はじめ関係各位におかれましては、日頃より幅広いご協力を賜っておりますが、本学の教育理念とビジョン2025および募金活動にご理解をいただき、大規模建設事業を進めるためにも、いっそうのお力添えをいただけましたら幸甚に存じます。

 皆様お一人お一人にとって2023年が幸せな年となりますよう、衷心よりお祈り申し上げます。

 平素は同志社大学の教育研究活動に深いご理解とあたたかいご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。同志社創立148回目の新春を迎えました。
 2023年の年頭にあたり、謹んで新春のお慶びを申し上げるとともに、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

 世界を混乱の渦に巻き込んだ新型コロナウイルスの最初の感染者が確認されてから、三年が経過しました。現在も予断を許さない状況ではありますが、社会・経済は徐々に回復の兆しを見せ始めております。

 新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、本学は現在、対面授業とネット配信授業を併用して授業を行っており、対面授業については、教室収容定員を学期末試験時の定員である試験定員で実施しておりますが、2023年度については、教室収容定員の8割程度まで増やします。これにより、ほとんどの授業科目を対面形式で実施できる見込みです。大学教育は知識を提供することだけがすべてではありません。五感を活用した学び、そして実空間を共有する学生同士の白熱した議論の場を設けること、さらにいえば正課との両輪である正課外活動の場を提供することも、大学の重要な役割です。本学は、コロナ禍で学んだICT活用の利点を活かしつつ、キャンパスで学ぶ機会を積極的に提供いたします。

 本学は、1875年に同志社英学校として誕生して以来、創立者・新島襄が『同志社大学設立の旨意』で宣言しているとおり、自治自立の精神に富み、自由を尊び、良心を手腕に運用する志高き人物の育成を目指して、教育研究活動を展開してまいりました。
 コロナ禍の中でも、創立150周年に向けて進むべき指標として策定した中期計画「同志社大学ビジョン2025 ~躍動する同志社大学~」に沿って、改革を進めております。

 2016年に策定したビジョンの初期には、他学生の模範となるロールモデル人材を育成することを目指した新島塾、本学初の海外キャンパスである同志社大学テュービンゲンEUキャンパスにおける教育プログラム、継志寮におけるレジデンシャル・ラーニング・プログラムなど、意欲あふれた学生に特別な教育プログラムを提供し、学内に知的活気をもたらすことに力を入れました。
 
 その成果の上に、現在は全ての学生に直接、知的刺激を与える段階として、全学にまたがる教育プログラムの新設および改革を進めています。たとえば、英語教育については、多様化するニーズに対応した新カリキュラムの展開、学術・留学・職業など次のステージを意識した科目設置、習熟度別による徹底したきめ細やかな指導等を目的に30年ぶりとなるカリキュラム改革を実施し、2022年4月から新しいプログラムが始まりました。また、AI、データサイエンス社会に対する対応として、2022年度から、「同志社データサイエンス・AI教育プログラム(DDASH)」を開始いたしました。今後のAI社会で、AIを使いこなすリテラシーを教育する目的で設置しています。基本となる「リテラシー」を学んだあとは、希望者は「応用基礎」レベル、そして「副専攻パッケージ」を履修し、最終的には「エキスパート」レベルまで到達することができるプログラムとしています。このように、今後の、グローバル化社会、データ社会を様々な分野から牽引していく人材を育成してまいります。
 さらに2024年度からは、全15回の授業を教室13回+オンデマンド2回で実施することを基本形とする、新たな学年暦の導入を予定しています。夏期休暇期間といわゆる春休み期間が長くなり、フィールドワーク、各種実習、インターンシップ、ボランティア活動等新たな主体的な学びの機会がうまれ、海外留学プログラムの充実や本学で展開される留学生プログラムへの参加機会の増加が期待できます。本学はこうした改革を通して、学修者本位の新しい学びを実現してまいります。

 研究面においても新たな取組を重ねています。たとえば、新しい技術で産学連携を推進する拠点形成を行う取組として、2021年6月に「同志社大学カーボンリサイクル教育研究プラットフォーム」を設置いたしました。世界的に進む温暖化に対して、産学連携でカーボンリサイクルに取り組むという点だけではなく、大学が社会実装を視野に入れた実験を大掛かりに進めようとしている点が、もう一つの大きなチャレンジです。産学連携は研究面に焦点が当たりがちですが、本学は人材育成事業にも力を入れ、教育・研究両輪での連携を進めているところです。
 また、研究創出のため、大学がテーマを指定して研究力を結集する取組も新たに始めました。本学では、従来から現代社会の諸課題を解決するために、様々な領域・分野の研究者の個々の研究、そして研究センター等を活用した共同研究など、本学の特色を発揮できる研究活動を支援してきましたが、2020年度には、特定課題に向けて全学の研究力を結集する「All Doshisha Research Model」という新たな研究スキームを構築しています。そこではコロナをテーマとして第1弾の研究募集を行い、77の課題が採択されました。研究成果は5回のシンポジウムとしてHP上に公開しています。ぜひご視聴いただき、本学の研究の今にふれていただければ幸いです。2022年度は、SDGsをテーマに研究課題の探索を行い、SDGsの目標数と同じ17課題が採択されています。

 以上のように、教育研究面での改革が進んできたことにより、キャンパス整備のあるべき姿も見えてきました。そこで、創立150周年に向けての教育研究環境の整備計画を2020年12月に策定しました。主な整備計画は、寧静館と育真館建設事業、今出川図書館建設事業、新学生寮建設事業、京田辺キャンパスリニューアル建設事業、スポーツコンプレックス建設事業等で、総額250億円を超える「新・大規模建設事業」です。このうち、新たな学生寮・継志寮はすでに完成し、2021年9月に入居が開始されました。寧静館と育真館は、今年中に完成を迎えます。

 大学の顔である今出川図書館は、1973年12月に竣工し、以来、半世紀にわたって活用されてきましたが、一方で施設・設備の老朽化、書籍所蔵スペースの狭隘化等の課題も抱えていました。そこで、新図書館を構想することとし、①学習・研究の入口となり、探求の世界に誘う、②学習・研究に没頭する場となり、探求を支える、③知の入手拠点となり、知の生産に貢献し、知の集積を後世に伝える、という基本理念のもと、委員会での議論を重ね、基本設計を固めているところです。本学にはラーニング・コモンズという、さまざまなヒト・モノ・コト・情報と出会った利用者が仲間とともに議論し展開していく場がありますが、図書館は、利用者が書物と出会い、書物との対話を通して考察を深める静謐な時間を過ごす場です。本学は、学生の多様な学びのために、多様な場、多様な方法を提供したいと考えています。

 開校後37年を経過した京田辺キャンパスについてはリニューアルを行い、また新たなスポーツ活動の拠点となるスポーツコンプレックスの建設を行います。リニューアルについては、教室棟を中心に現代の教育ニーズに対応できるような最新の技術等を導入するとともに、緑あふれる環境の中で学生の交流を活性化できるような仕組みを取り入れる方向で検討を開始しています。また、研究成果を発信できるよう国際会議やシンポジウムのための施設整備を行うことも検討しています。スポーツコンプレックスについては、正課の授業での利用だけでなく、学生、教職員などを含む広範な人々が利用しやすいものとなるような方向で検討を進めています。現在は、学生、教職員に対して実施したアンケートの結果を整理しているところで、委員会における今後の検討に活かしていきたいと考えています。

 コロナ禍によって、人と人との触れ合いが禁じられた時を経て、私たちは、その大切さに改めて気づかされました。今年の夏の高校野球で優勝した仙台育英高校の須江航監督が、試合後のインタビューで、「青春ってすごく密なので、でもそういうことは全部「だめだ、だめだ」と言われて、活動していても、どこかでストップがかかって、どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で、でも本当に諦めないでやってくれた」と発言されたことが大きな話題になりましたが、学生たちが「密な」青春を謳歌できるように、人と人との交流によって豊かな多様性に輝くキャンパスを創っていくべく、教職員一同、力を尽くしてまいります。

 校友の皆様はじめ関係各位におかれましては、日頃より幅広いご協力を賜っておりますが、本学の教育理念とビジョン2025および募金活動にご理解をいただき、大規模建設事業を進めるためにも、いっそうのお力添えをいただけましたら幸甚に存じます。

 皆様お一人お一人にとって2023年が幸せな年となりますよう、衷心よりお祈り申し上げます。