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新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容に関する ガイダンス文書を発表

'23年2月22日 更新
 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:池田 雅一、以下MURC)と、同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター(京都府京都市、センター長:瓜生原 葉子)は、今般、「新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容に関するガイダンス文書(以下、本ガイダンス)」を発表しました。
 本ガイダンスは、日本経済新聞社が主催する「日経・FT感染症会議」における検討部会の主要構成メンバーとしてMURCと同志社大学ソーシャルマーケティング研究センターが作成したもので、過去3年間の日本政府・自治体の新型コロナウイルス感染症対策への取組や、感染対策に関する市民の主体的な参画を促進するための戦略立案・施策実行のあり方を、行動科学・ソーシャルマーケティングの視点を踏まえてまとめ、次なる感染症(ネクスト・パンデミック)への準備を目的としています。

「新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容に関するガイダンス文書」
https://www.jsocialmarketing.org/research-achievements (ワーキングペーパー2023-01)


1. 趣旨・背景

 2019年12月の新型コロナウイルス感染症発生以来、約3年にわたって政府主導で感染対策が行われ、市民は政府・自治体等が発信する情報を頼りに感染対策を行ってきました。緊急事態宣言や飲食店への営業時間短縮の要請等が実行され、さまざまな場面において行動自粛が求められました。社会経済活動と感染対策の両立について多くの社会的な葛藤が生じ、市民にとって難しい判断が求められることも少なくありませんでした。
 このような状況下では、市民が納得感を持って主体的に感染対策に取り組み、また政府・自治体が市民に対して染対策への参画を促すことが重要になると考えられますが、日本そして世界の多くの国・地域の指導者が、このような行動変容の難しさを痛感することになりました。結果的に、新型コロナウイルス感染症の発生を契機として、行動科学・ソーシャルマーケティングに基づいたコミュニケーション戦略・政策立案の重要性が世界的に再認識されるようになっています。
 WHOでは新型コロナウイルス感染症発生以前より、ワクチン接種と行動科学に関する検討が進められていましたが、新型コロナウイルス感染症発生以降はワーキンググループが設立され、より積極的な取組が進められています。また各国政府も同様の動きを進めており、今後、政策立案等にも行動科学・ソーシャルマーケティングに基づいたコミュニケーション戦略が反映されていくと想定されています。日本でも「内閣感染症危機管理統括庁」(仮称)が新設され、ネクスト・パンデミックへの備えが行われると期待されています。国内の検討においても上記の行動科学・ソーシャルマーケティングに基づいた取組が検討されていくものと考えられます。
 上記のような背景をうけ、国内外の企業、行政機関・団体、アカデミア等が一堂に集まる日本経済新聞社主催「日経・FT感染症会議」参加関係者有志が設立した検討部会(主要構成メンバー:MURC Center on Global Health Architecture、同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター)が本ガイダンスを作成しました。
本ガイダンスは我が国がネクスト・パンデミックへの備えを検討するにあたり、極めて有益なものと期待されています。

 また本ガイダンスの発表記念イベントとして、2月28日(火)19:00~21:00に「新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容ウェビナー」を開催します。ウェビナー内では、本ガイダンス作成に関わった関係者等の講演、パネルディスカッションを予定しています。
 ご興味のある方は、以下よりお申し込みのうえ、是非ご参加ください。
 イベント詳細


2. 本ガイダンスの要旨

 本ガイダンスは、1)政府や自治体の新型コロナウイルス感染症対策への取組や、KOL(Key Opinion Leader)からのメッセージ、社会生活への影響と市民の認知・行動の変化についてまとめた振り返りパートと、2)9つの観点での提言パートから構成されています。
提言パートでは、ネクスト・パンデミックに備える上で重要と考えられる、感染対策に関する市民の主体的な参画を促進するための戦略立案・施策実行についてまとめました。
提言パートにおける主なメッセージは以下の通りです。
(1)行動科学・ソーシャルマーケティングに基づく行動変容
  • 感染拡大の抑制・パンデミックの収束に向け、市民の行動変容を促し、主体的に感染対策行動を選択できるようにすることが極めて重要
  • WHOや主要各国もこのような認識に基づき、行動科学・ソーシャルマーケティングに基づいた行動変容促進策の導入検討が進んでいる
(2)行動変容の計画と人材育成・予算編成
  • 平時からの備えとして、有事(パンデミック下)の感染対策に主体的な市民参画を促すため、あらかじめ政府が行動変容の計画を策定しておくことが重要
  • 国や自治体に専門人材(ソーシャルマーケッター、サイエンスコミュニケーター、スポークスパーソン)を育成・配置し、十分な予算を編成することが必要
(3)対象者のセグメンテーションとターゲティング
  • 行動変容計画に基づき、働きかける対象者のセグメンテーションとターゲティングに応じたきめ細やかな取組を行うことが重要
(4)感染対策行動に影響を及ぼす因子
  • 行動科学に基づくソーシャルマーケティングのプロセスを用いて感染対策に関する施策を立案するためには、先行研究のレビューから得られた影響因子を整理し、人々の行動の障壁、価値、動機など深層心理を十分に理解することが必要
(5)感染対策行動の阻害要因
  • 行動変容促進に抵抗感をもつ人々の価値観、社会的コンテクストを分析し対策を練る
  • ワクチン接種では、「ワクチン接種反対運動」、「不正確な情報の流布(インフォデミック)」、「ネガティブな社会的規範」、「構造的・経済的要因」などが代表的なポイント
(6)マーケティング・プロモーション戦略
  • セグメンテーションの結果、阻害要因も考慮しながら、特定のターゲットに対して、マーケティング・プロモーション戦略に基づいた効果的なアプローチを実践することが重要
  • メッセージ内容、媒体、メッセンジャー、タイミング等を考えた戦略的なコミュニケーションを行うことが必須
(7)市民の主体的参画を促進するコミュニケーション施策・環境整備の実例
  • 感染対策行動への主体的参画の促進にあたって、政府等による市民向けメッセージや関連施策が納得感をもって受け止められることが重要
  • このような観点からコミュニケーション施策・環境整備における工夫について、実例を紐解きながら検討する
(8)多様なステイクホルダーのエンゲージメント
  • 多様なステイクホルダーが参加するエンゲージメント・共創が、市民の主体的参画を促す。多様なステイクホルダーが連携して市民と共に透明性の高い環境下で取組を進めることで、政府等への信頼醸成(もしくは不信感を増幅させないこと)につながり、市民による主体的な感染対策行動が促進されうる
  • また社会的弱者のインクルージョンに十分配慮することも重要
(9)伝統的マスメディアやソーシャルメディアとの関係構築及び誤情報等への対処等
  • 伝統的マスメディアや新興のソーシャルメディアと連携し、誤情報等に適切に対処し、市民の中に不必要な不安・混乱が広まらぬよう努める。また特定の属性や価値観を持つ市民がより信頼を寄せる媒体について理解した上で対策を取ることも重要

3. 各組織の概要

同志社大学 ソーシャルマーケティング研究センター
 同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター(センター長:瓜生原 葉子教授)は、ソーシャルマーケティング研究の日本の拠点として国際組織に認証された学際的な研究組織です。社会に良い(social good)行動を増やすアプローチ方法を学際的・重層的・創造的に研究し、その知見を社会に実装することで、学術研究の進展と社会課題の解決・SDGsの達成に寄与することをミッションとしています。
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三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のシンクタンク・コンサルティングファームです。東京・名古屋・大阪を拠点に、民間企業向け各種コンサルティング、国や地方自治体の政策に関する調査研究・提言、経営情報サービスの提供、企業人材の育成支援、マクロ経済に関する調査研究・提言など、幅広い事業を展開しています。
本件は、グローバルヘルスの課題解決を図る当社組織Center on Global Health Architectureが担当しています。
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新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容セミナー
 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:池田 雅一、以下MURC)と、同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター(京都府京都市、センター長:瓜生原 葉子)は、今般、「新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容に関するガイダンス文書(以下、本ガイダンス)」を発表しました。
 本ガイダンスは、日本経済新聞社が主催する「日経・FT感染症会議」における検討部会の主要構成メンバーとしてMURCと同志社大学ソーシャルマーケティング研究センターが作成したもので、過去3年間の日本政府・自治体の新型コロナウイルス感染症対策への取組や、感染対策に関する市民の主体的な参画を促進するための戦略立案・施策実行のあり方を、行動科学・ソーシャルマーケティングの視点を踏まえてまとめ、次なる感染症(ネクスト・パンデミック)への準備を目的としています。

「新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容に関するガイダンス文書」
https://www.jsocialmarketing.org/research-achievements (ワーキングペーパー2023-01)


1. 趣旨・背景

 2019年12月の新型コロナウイルス感染症発生以来、約3年にわたって政府主導で感染対策が行われ、市民は政府・自治体等が発信する情報を頼りに感染対策を行ってきました。緊急事態宣言や飲食店への営業時間短縮の要請等が実行され、さまざまな場面において行動自粛が求められました。社会経済活動と感染対策の両立について多くの社会的な葛藤が生じ、市民にとって難しい判断が求められることも少なくありませんでした。
 このような状況下では、市民が納得感を持って主体的に感染対策に取り組み、また政府・自治体が市民に対して染対策への参画を促すことが重要になると考えられますが、日本そして世界の多くの国・地域の指導者が、このような行動変容の難しさを痛感することになりました。結果的に、新型コロナウイルス感染症の発生を契機として、行動科学・ソーシャルマーケティングに基づいたコミュニケーション戦略・政策立案の重要性が世界的に再認識されるようになっています。
 WHOでは新型コロナウイルス感染症発生以前より、ワクチン接種と行動科学に関する検討が進められていましたが、新型コロナウイルス感染症発生以降はワーキンググループが設立され、より積極的な取組が進められています。また各国政府も同様の動きを進めており、今後、政策立案等にも行動科学・ソーシャルマーケティングに基づいたコミュニケーション戦略が反映されていくと想定されています。日本でも「内閣感染症危機管理統括庁」(仮称)が新設され、ネクスト・パンデミックへの備えが行われると期待されています。国内の検討においても上記の行動科学・ソーシャルマーケティングに基づいた取組が検討されていくものと考えられます。
 上記のような背景をうけ、国内外の企業、行政機関・団体、アカデミア等が一堂に集まる日本経済新聞社主催「日経・FT感染症会議」参加関係者有志が設立した検討部会(主要構成メンバー:MURC Center on Global Health Architecture、同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター)が本ガイダンスを作成しました。
本ガイダンスは我が国がネクスト・パンデミックへの備えを検討するにあたり、極めて有益なものと期待されています。

 また本ガイダンスの発表記念イベントとして、2月28日(火)19:00~21:00に「新型コロナウイルス感染症対策と市民参画・行動変容ウェビナー」を開催します。ウェビナー内では、本ガイダンス作成に関わった関係者等の講演、パネルディスカッションを予定しています。
 ご興味のある方は、以下よりお申し込みのうえ、是非ご参加ください。
 イベント詳細


2. 本ガイダンスの要旨

 本ガイダンスは、1)政府や自治体の新型コロナウイルス感染症対策への取組や、KOL(Key Opinion Leader)からのメッセージ、社会生活への影響と市民の認知・行動の変化についてまとめた振り返りパートと、2)9つの観点での提言パートから構成されています。
提言パートでは、ネクスト・パンデミックに備える上で重要と考えられる、感染対策に関する市民の主体的な参画を促進するための戦略立案・施策実行についてまとめました。
提言パートにおける主なメッセージは以下の通りです。
(1)行動科学・ソーシャルマーケティングに基づく行動変容
  • 感染拡大の抑制・パンデミックの収束に向け、市民の行動変容を促し、主体的に感染対策行動を選択できるようにすることが極めて重要
  • WHOや主要各国もこのような認識に基づき、行動科学・ソーシャルマーケティングに基づいた行動変容促進策の導入検討が進んでいる
(2)行動変容の計画と人材育成・予算編成
  • 平時からの備えとして、有事(パンデミック下)の感染対策に主体的な市民参画を促すため、あらかじめ政府が行動変容の計画を策定しておくことが重要
  • 国や自治体に専門人材(ソーシャルマーケッター、サイエンスコミュニケーター、スポークスパーソン)を育成・配置し、十分な予算を編成することが必要
(3)対象者のセグメンテーションとターゲティング
  • 行動変容計画に基づき、働きかける対象者のセグメンテーションとターゲティングに応じたきめ細やかな取組を行うことが重要
(4)感染対策行動に影響を及ぼす因子
  • 行動科学に基づくソーシャルマーケティングのプロセスを用いて感染対策に関する施策を立案するためには、先行研究のレビューから得られた影響因子を整理し、人々の行動の障壁、価値、動機など深層心理を十分に理解することが必要
(5)感染対策行動の阻害要因
  • 行動変容促進に抵抗感をもつ人々の価値観、社会的コンテクストを分析し対策を練る
  • ワクチン接種では、「ワクチン接種反対運動」、「不正確な情報の流布(インフォデミック)」、「ネガティブな社会的規範」、「構造的・経済的要因」などが代表的なポイント
(6)マーケティング・プロモーション戦略
  • セグメンテーションの結果、阻害要因も考慮しながら、特定のターゲットに対して、マーケティング・プロモーション戦略に基づいた効果的なアプローチを実践することが重要
  • メッセージ内容、媒体、メッセンジャー、タイミング等を考えた戦略的なコミュニケーションを行うことが必須
(7)市民の主体的参画を促進するコミュニケーション施策・環境整備の実例
  • 感染対策行動への主体的参画の促進にあたって、政府等による市民向けメッセージや関連施策が納得感をもって受け止められることが重要
  • このような観点からコミュニケーション施策・環境整備における工夫について、実例を紐解きながら検討する
(8)多様なステイクホルダーのエンゲージメント
  • 多様なステイクホルダーが参加するエンゲージメント・共創が、市民の主体的参画を促す。多様なステイクホルダーが連携して市民と共に透明性の高い環境下で取組を進めることで、政府等への信頼醸成(もしくは不信感を増幅させないこと)につながり、市民による主体的な感染対策行動が促進されうる
  • また社会的弱者のインクルージョンに十分配慮することも重要
(9)伝統的マスメディアやソーシャルメディアとの関係構築及び誤情報等への対処等
  • 伝統的マスメディアや新興のソーシャルメディアと連携し、誤情報等に適切に対処し、市民の中に不必要な不安・混乱が広まらぬよう努める。また特定の属性や価値観を持つ市民がより信頼を寄せる媒体について理解した上で対策を取ることも重要

3. 各組織の概要

同志社大学 ソーシャルマーケティング研究センター
 同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター(センター長:瓜生原 葉子教授)は、ソーシャルマーケティング研究の日本の拠点として国際組織に認証された学際的な研究組織です。社会に良い(social good)行動を増やすアプローチ方法を学際的・重層的・創造的に研究し、その知見を社会に実装することで、学術研究の進展と社会課題の解決・SDGsの達成に寄与することをミッションとしています。
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三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のシンクタンク・コンサルティングファームです。東京・名古屋・大阪を拠点に、民間企業向け各種コンサルティング、国や地方自治体の政策に関する調査研究・提言、経営情報サービスの提供、企業人材の育成支援、マクロ経済に関する調査研究・提言など、幅広い事業を展開しています。
本件は、グローバルヘルスの課題解決を図る当社組織Center on Global Health Architectureが担当しています。
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三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
ソーシャルインパクト・パートナーシップ事業部/Center on Global Health Architecture 小柴・小山
〒105-8501 東京都港区虎ノ門5-11-2オランダヒルズ森タワー
E-mail: ath-ch@murc.jp

同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター 瓜生原 葉子
〒602-8580 京都市上京区今出川通烏丸東入
E-mail:yuryuhar@mail.doshisha.ac.jp

【報道機関からのお問い合わせ】
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
コーポレート・コミュニケーション室  
廣瀬・梨子本  
E-mail : info@murc.jp