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プレスリリース

オートファジーによる新たなタンパク質分泌メカニズムを発見

2025年5月23日 更新

ポイント

  • パーキンソン病原因遺伝子PARK7がコードするタンパク質PARK7/DJ-1が分泌性オートリソソームによる非典型的な分泌機構により細胞外へ分泌された。
  • 分泌性オートリソソームと細胞膜の融合に必要な膜融合タンパク質である特定のSNARE複合体を見出した。
  • オートファジー機構を介して分泌されるタンパク質が関連する疾患に対して、治療戦力の構築に役立つ可能性が期待される。

概要

通常、水溶性のタンパク質が脂質で出来た細胞膜を超えて細胞外に分泌されるためには、小胞体や分泌小胞を経由して分泌されます。一方、細胞質に存在するタンパク質が分泌される経路は非典型的分泌経路と呼ばれますが、どのような機構で分泌されるかは不明な点が多く残されていました。

今回、同志社大学大学院生命医科学研究科 教授 浦野泰臣、教授 野口範子、助手Biplab Kumar Dashらの研究グループは、パーキンソン病やがん患者で血液中に分泌されることが知られるPARK7/DJ-1というタンパク質が、酸化ストレス下においてオートファジー機構を利用して分泌されることを示しました。特にリソソームオートリソソームの融合がPARK7の細胞外への分泌に重要であることを新たに発見し、“分泌性オートリソソーム”という概念を提案しました。またシャペロン介在性オートファジーと呼ばれる機構によりPARK7はリソソーム内に運ばれることや、分泌性オートリソソームと細胞膜の融合に必要な膜融合タンパク質であるSNARE複合体の新しい組み合わせも見出しました。

これらの成果は、オートファジーによるタンパク質の分泌機構に着目した神経変性疾患やがん等の新規治療法への応用に役立つことが期待されます。

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【図1 オートファジーを介したPARK7/DJ-1の分泌機構の概略図】

論文情報

  • 掲載誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
  • 論文タイトル:Unconventional secretion of PARK7 requires lysosomal delivery via chaperone-mediated autophagy and specialized SNARE complex
  • 著者:Biplab Kumar Dash, Yasuomi Urano, Yuichiro Mita, Yuki Ashida, Ryoma Hirose, Noriko Noguchi
  • DOI:10.1073/pnas.2414790122

研究者プロフィール

Biplab Kumar Dash
同志社大学大学院 生命医科学研究科 外国人留学生助手
研究分野:神経変性疾患 / 細胞内輸送 / オートファジー

浦野 泰臣(ウラノ ヤスオミ)Yasuomi URANO
同志社大学大学院 生命医科学研究科 教授
研究分野:神経変性疾患 / 細胞死 / 脂質代謝

野口 範子(ノグチ ノリコ)Noriko NOGUCHI
同志社大学大学院 生命医科学研究科 教授
研究分野:酸化ストレス/ ビタミン / 生活習慣病


本研究に関するお問い合わせ

同志社大学大学院 生命医科学研究科 教授 浦野 泰臣

TEL:0774-65-6260
E-mail:yurano@mail.doshisha.ac.jp

取材に関するお問い合わせ

同志社大学 広報部広報課

TEL:075-251-3120
E-mail:ji-koho@mail.doshisha.ac.jp


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