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トピックス

同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」3日目

2023年9月11日 更新

同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」3日目


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 新島塾の合宿「合宿で鍛える知的基礎体力」が3日目を迎えました。本日は礼拝の時間からスタートしました。本学神学部の小原克博教授より、新約聖書「マルコによる福音書4章35節から41節」の朗読に続き、お話しをいただきました。1864年に国禁を冒してまで大海を渡り、様々な困難を乗り越えた末に本学を開校した創始者・新島を例に、同志社びわこリトリートセンターの眼前に広がる琵琶湖を大海になぞらえ、目標に向かって「向こう岸へ渡ろう」と突き進む大胆さと立場が弱い人や困難な状況に置かれた人たちを見逃さない繊細さの両面をもって学び続けるようにと激励をいただきました。塾生たちは神妙な面持ちで聞き入っていました。

 礼拝を終え、午前のセッションが開始されました。「『本と学問』とのつきあい方」というテーマで、株式会社文藝春秋で編集者をされている西泰志先生に2日目に引き続き講師を担当いただきました。現役の編集者として数多くの本に触れられている先生に、実際に本を読むときにご自身が気を付けていること、学問と向き合うときに気を付けなければいけないことを具体例とともに紹介いただきました。その中でも「本を“正確”に読み、その読んだ内容について自分なりに評価し、謙虚に受け止めることで自身の思考が深まる」というものが特に印象に残りました。西先生は「本の意味が全部分かるなら、読む意味はありません。読書は分からないものや異質なものと出会うことで、自分の世界を広げる行為です。これは大学時代にしかできないことで、大学生だからこそできることです。」「未熟な自分を受け入れ、自分で考えることが大事です。」「『自分で考える』というのは、終わりのない問いです。だからこそ問いかけ続けることが大事です。」というメッセージをくださいました。自分で考え、その内容について他人と共有することの重要性や、新島塾の仲間と共に読書することの意義を改めて考えることができました。

 午後は2つのパートに分かれて講義が進みました。前半は「食の安全保障、国として何ができるか?」というテーマで、当初予定していた元農林水産事務次官の末松広行先生に代わり、佐藤優先生によるセッションが行われることとなりました。はじめに末松先生から預かったメッセージを代読いただきました。「この合宿に参加できなくなってしまったことを大変残念に思っている。国家公務員は入省すれば大学に関係なく活躍できる。ここ数年、同志社大学出身者が入省する事例が増えてきている。是非目指して欲しい。」という本学学生や新島塾生への期待が込められたもので、塾生たちは真剣に聞き入っていました。

 続いて、課題図書「日本の食料安全保障-食料安保政策の中心にいた元事務次官が伝えたいこと」を実際に速読で読み進めながら、およそ90分で著書の内容理解を深めました。新型コロナウイルス感染症の流行やウクライナ戦争により、各国が食料輸出規制を行った結果、世界的な食料不足が現実の問題となりつつあります。それは、現在の日本においても決して他人事ではありません。日本の現状は、カロリーベースの食料自給率換算でわずか38%しかありません。これは食料安全保障という観点において大いに危惧されるものです。私たちはこの問題を解決する一つの案として、食生活の変化によってピーク時から約半分の摂取量となっている米(コメ)の生産能力拡大と備蓄体制の構築に可能性があることを学びました。また、佐藤先生は「一緒に要点を読み解きながら、皆さんも90分でこの本の要旨が理解できた。年間何百冊も読むには、速読しないと時間が足りない。速読をするということは、精読すべき本とそうではない本とを選別するという行為である。しかし、速読にはその分野においてある程度の知識が必要だ。」とおっしゃいました。

 午後の後半は、「日本国家とインテリジェンス」というテーマで、再び佐藤優先生がセッションを行われました。インテリジェンスオフィサーが実際に行っている情報収集の方法などについて、実際の事例を用いてお話しいただきました。どれも初めて聞くことばかりで驚きの連続でした。佐藤先生からは「巷に流れるニュースや報道、そこに散りばめられた事実のひとつひとつを合理的に見ていけば、隠された現実がおのずと見えてくる。」と、情報に触れる際の注意点をアドバイスいただきました。最後にお話しになった「インテリジェンスオフィサーは、国家を情報の力で守る存在。国家を守るために絶対に必要な存在である。また、なぜ学知が必要なのか。それは、日本が二度と戦争に巻き込まれないようにするためのものだからだ。」という発言には、国家のために尽力してこられたインテリジェンスオフィサーとしての重みと凄みが溢れていました。

 最後に本日の課題として、レポート作成が課されました。「12月までの4か月間の読書計画を立てること」です。所定の様式や文字数、本の冊数や作成方法についての指定は何もありません。塾生たちがこの3日間の合宿での講義を振り返りつつ、現時点での自身の能力いわば現在地をよく理解した上で、ありたい姿の実現に向けて着実な目標を立てることが求められるものです。自由度が高い分、ある意味で難易度の高いものです。

 さて、長かった合宿もいよいよ明日で最終日です。この合宿では、自身に足りないと自覚した能力や、どのような学びと向き合う姿勢が必要か気付くだけでなく、この合宿を契機に「学習を継続すること」が大事です。最終日も有意義な時間を過ごせるよう、最後まで気を抜かずに臨みます。

(事務局・高等研究教育院事務室)



今回のトピックスは、新島塾第3期修了生・チューターの山本さんが作成しました。


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