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プレスリリース

筋力トレーニングでも筋肉は柔らかくなる-ストレッチングを筋トレへ応用した”筋トレッチング"-

2024年7月18日 更新

本研究の知見は、筋力トレーニングでも筋肉が柔らかくなることを明らかにした初の介入研究であり、“筋力トレーニングをやりすぎると筋肉が硬くなる”という実践現場での一部の理解を変え、筋力トレーニングに新たな価値を提供します。これまで実践現場では、筋肉の硬さを減少させるための代表的なアプローチとして静的ストレッチングが実施されてきましたが、それは、筋力を急性的に減少させ、筋力や筋サイズへのトレーニング効果を減少させることが指摘されています。本研究のトレーニング法は筋力や筋サイズを増加させながらも筋肉の硬さを減少させることから、実践現場で長年用いられてきた筋肉を柔らかくするためのアプローチを”ストレッチング”から”筋力トレーニング”へと変える可能性も秘めています。

筋力トレーニングは、筋力向上や筋量増加を目的としてスポーツ・リハビリテーションの現場で広く使用されています。しかし、実践現場では“筋力トレーニングをやりすぎると筋肉が硬くなってしまう”という迷信が存在しています。一方、我々のこれまでの研究では、筋力トレーニングでもストレッチングのように筋肉を大きく且つ長時間伸ばすこと(“筋トレッチング”と命名)で、大腿部後面のハムストリングスにおける特定の筋肉(半膜様筋)が急性的に柔らかくなることを示しました。本研究では、この知見を発展させるべく、筋肉を大きく且つ1回あたり長時間伸ばす筋力トレーニングがハムストリングス各筋の硬さに及ぼす長期的影響を検討しました。

36名の一般成人男性を12名ずつ、週2回のトレーニング群(W2)、週3回のトレーニング群(W3)、コントロール群(CON)にわけました。W2およびW3の対象者は、筋肉を大きく且つ1回あたり長時間伸ばす筋力トレーニングを10週間実施しました。CONの対象者は、介入期間を通してストレッチング・筋力トレーニングを一切行いませんでした。介入期間の前後に、超音波せん断波エラストグラフィを用いてハムストリングス各筋の硬さ(剛性率)を、MRIを用いて各筋のサイズ(筋体積)を、筋力計を用いて膝関節屈曲の最大筋力(関節トルク)を測定しました。その結果、W3において半膜様筋の硬さが慢性的に減少した一方、W2とCONではいずれの筋の硬さも慢性的に変化しませんでした。また、W2とW3では、半膜様筋のサイズと最大筋力も慢性的に増加していました。


本研究の結果は、筋肉を大きく且つ1回あたり長時間伸ばす“筋トレッチング”を週あたり比較的高い頻度で長期間実施することで、筋力トレーニングにおいても筋サイズや筋量を増加させながら特定の筋肉における硬さを減少させることができることを示しています。


本研究は、研究開発推進機構特別任用助教 川間羅聖とスポーツ健康科学部准教授 若原卓他によって実施されました。


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論文情報

  • 雑誌名: Medicine & Science in Sports & Exercise
  • 掲載日: 2024年7月16日
  • 論文タイトル: Can Eccentric-only Resistance Training Decrease Passive Muscle Stiffness while Increasing Size and Strength of Hamstrings?
  • 著者: Raki Kawama, Katsuki Takahashi, Haruki Ikifune, Hironoshin Tozawa, Takafumi Obata, Ryo Ito, Tatsuya Hojo, Taku Wakahara

https://journals.lww.com/acsm-msse/abstract/9900/can_eccentric_only_resistance_training_decrease.577.aspx



本件に関するお問い合わせ

同志社大学 研究開発推進機構 特別任用助教 川間 羅聖

TEL:090-7545-7389
E-mail:rkawama@mail.doshisha.ac.jp

取材に関するお問い合わせ

同志社大学 広報部広報課

TEL:075-251-3120
E-mail:ji-koho@mail.doshisha.ac.jp


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