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プレスリリース

大学閉鎖時のオンラインでの対人交流は大学生の孤独感の低減には効果的でない可能性

2025年1月7日 更新

ポイント

  • COVID-19の感染拡大時に大学をはじめとした多くの機関はオンラインツールを用いた対人交流機会の確保を孤独感対策として導入していた(せざるを得ない状況だった)
  • しかし、実際にオンラインツールを用いた対人交流が孤独感低減に効果的なのかは不明であった
  • 国内の60大学に所属する約5,000人の大学生を対象に調査を実施
  • 通常時は孤独感を低減する、友人とのオンライン交流は、大学閉鎖時になると孤独感の低減を予測しないことを明らかにした

概要

孤独感は青年の精神的な健康の悪化を予測する要因の1つとされています。COVID-19の感染拡大に伴い各大学は大学閉鎖という措置をとってきました。大学閉鎖は当然ながら大学生の対面での縦のつながり(異なる学年の学生との交流)や、横のつながり(同級生との交流)を断つことになるため、各大学は孤独感が増加するリスクを懸念し、オンラインでの交流を増やすという代替策をとってきました(あるいは、取らざるを得なかった状況でした)。しかし、大学閉鎖という状況があまり例を見ない事態であり、実際にそのような閉鎖状況で、家族や友人とのオンラインでの交流と学生の孤独感にどのような関連があるのかは不明でした。
本研究は、2021年に日本国内における60の大学から計4,949名の学生を対象とした調査を実施し、部活動やアルバイトといった社会的環境、家族や友人との対面あるいはオンラインでの交流頻度、全体的な健康状態、そして孤独感の学生レベルのデータと大学閉鎖の有無という大学環境のデータを収集しました。解析の結果、大学が閉鎖されている場合、オンラインでの交流は孤独感の低減にほとんど効果を示さないことが明らかになりました。
本研究の成果は、従来のようなオンラインでの交流で対面での交流を代替するような孤独感への予防策は不十分であることを示唆しています。本研究は、社会的な環境とのつながりの断絶は孤独感を高めることも示しており、緊急時だけではなく、普段から大学生の孤独感に対する社会的支援のあり方を継続的に検討することが必要といえます。
本成果は学術雑誌Asian Journal of Social Psychologyへ掲載されました。

発表雑誌

  • 雑誌名:Asian journal of social psychology
  • 掲載日:2024年12月12日
  • 論文タイトル:Can online interactions reduce loneliness in young adults during university closures in Japan? The directed acyclic graphs approach.
  • 著者:Kohei Kambara 他
  • DOI:https://doi.org/10.1111/ajsp.12658

研究助成

本研究は、科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発センター(RISTEX)社会技術研究開発事業「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)」におけるプロジェクト名「新生活に伴う孤独リスクの可視化と一次予防」(研究代表者:柳澤 邦昭(神戸大学 大学院人文学研究科 准教授)、研究開発期間:2021年11月~2026年3月)(JPMJRX21K3)の支援を受けて実施しました。
・「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)」https://www.jst.go.jp/ristex/koritsu/


本件に関するお問い合わせ

同志社大学 心理学部 助教 神原 広平

TEL:0774-65-8212
E-mail:kkambara@mail.doshisha.ac.jp

取材に関するお問い合わせ

同志社大学 広報部広報課

TEL:075-251-3120
E-mail:ji-koho@mail.doshisha.ac.jp


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