プレスリリース
混雑環境における複数動物の姿勢を正確に追跡する新手法を確立
ポイント
- 従来のマーカーレス複数個体姿勢トラッキング手法には、複数個体が密集する環境においてトラッキング精度が著しく低下するという課題があった。
- 複数個体を識別するためのバーチャルマーカーを導入したトラッキング手法(vmTracking)を確立し、従来手法に見られた課題を大きく克服した。
- 動物種を問わずあらゆる生物のマーカーレス複数個体のトラッキングに適用可能であり、幅広い分野の集団行動研究への活用が期待される。
従来の複数個体マーカーレス姿勢トラッキング技術には、複数の個体が密集したり重なったりする「混雑場面」では、姿勢トラッキング精度が大きく低下してしまうという課題がありました。今回、そのような混雑環境でも複数個体の正確な姿勢トラッキングを行うことができる「バーチャルマーカートラッキング(vmTracking)」の手法を構築しました。
この手法は、既存のマーカーレストラッキングツールを活用したもので、マーカーレス動画にバーチャルマーカー(virtual marker: vm)を付けるステップと、バーチャルマーカーを付けた動画を追跡するステップから成ります。最初に既存の複数個体トラッキングツールを使って動画をトラッキングし、追跡マーカーの付いた動画を作成します。この追跡マーカーがバーチャルマーカーとなります。次にこの動画をトラッキングしますが、その際、バーチャルマーカーを個体識別の手掛かりとし、複数個体を1つの個体と見なして、単一動物トラッキング用のマーカーレストラッキングツールの1つであるDeepLabCutを用いてトラッキングします。この手順でトラッキングすることで混雑環境でも劇的なトラッキング精度の改善を実現しました。
vmTrackingは動物や人間の集団行動をトラッキングするための強力な手法として、幅広い分野での活用が期待されます。

論文情報
Azechi H, Takahashi S (2025) vmTracking enables highly accurate multi-animal pose tracking in crowded environments. PLoS Biol 23(2): e3003002.
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