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トピックス

同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」4日目

2023年9月11日 更新

同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」4日目


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 9月4日、新島塾の夏合宿「合宿で鍛える知的基礎体力」は最終日を迎えました。

 午前は、理工学部教授の後藤先生より「モチベーションをどう維持するか」をテーマにお話をいただきました。まず、福島第1原発の処理水放出を取り上げ、数字を正しく理解することの必要性を解説いただきました。多核種除去設備ALPSによって、汚染水中の多くの放射性物質は除去可能ですが、水素の放射性同位体であるトリチウムは水分子の中に存在するため、人為的に除去することができません。これを希釈し、WHOの基準値以下にして、放出するという措置がとられています。講義の中では、アボガドロ数として6.0×10の23乗といった大きな数や、飲料水1リットルに含まれるトリチウムのWHOの基準値は、10の4乗ベクレルであるなどといった具体的な数値を例に、数字の桁数の差値で大小を比較する感覚を教えていただきました。また、速度論的なものの見方の重要性も、放射性物質の半減期を例に説明してくださりました。ある時間における放射性物質の数が増減する速度は、その数に比例するという実験事実をもとに数式を立てて微分、積分を駆使して計算すると、放射性物質の数を時間の関数として求められることを学びました。これは微分方程式と呼ばれる計算手法であり、コロナ禍における感染者数推移の数理モデルなど、数多くの場で用いられています。後藤先生は「このような速度論によるものの考え方は、時々刻々と変化するものを理性的にとらえる際に重要だ」とおっしゃいました。セッションを通して、「桁数を比べる」「微分方程式を解く」という具体例より、数学の基礎知識を用いて物事を合理的に捉えることの重要性を学びました。

 講義の後、佐藤優先生を交えて塾生との質疑応答を行いました。「数学を学ぶ意義とは何か」という塾生からの質問に対して、佐藤先生は、「数字の誤使用を防ぎ、メディアなどに騙されないようになるため」とおっしゃり、また後藤先生からも「日常的に数字に対するアンテナをはっておき、正しく判断できることが必要だ」とコメントをいただきました。

 昼食を挟み、佐藤先生による対話と総括を行いました。そこでは、合宿全体を通して塾生が抱いた疑問や意見について、佐藤先生だけでなく新島塾でお世話になっている多くの先生方を交えて自由に議論しました。塾生からは、講義に関する質問のみならず、新島塾という組織のあり方に関する意見も出ました。これに対し、佐藤先生からは「新島塾が掲げているものは、良心的人間になって社会に出ていくという『個人』に対するものであって『集団』としてのものではない。また、『良心とは何か』という問いもあるが、良心は実体的に定義するものではない。これを考え続ける姿勢こそが重要だ」とコメントいただきました。

 4日間の合宿を通して多くの先生方の講義を聴き、議論することによって、塾生たちは大きな知的刺激を受けました。また、この4日間寝食を共にし、共に語らい、学びあうという大変価値のある時間を過ごすことができました。

(事務局・高等研究教育院事務室)



今回のトピックスは、新島塾第3期修了生・チューターの野村さんが作成しました。


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