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感情をうまく認識できず、表現できない。その悩みに、どう介入するか?
~同志社大学 若き研究者の挑戦~(中編)
感情をうまく認識できず、表現できない。その悩みに、どう介入するか?
~同志社大学 若き研究者の挑戦~(中編)
同志社大学は臨床と研究の両方を目指すことができる環境
現在の研究に取り組む原点となったのは、言葉への興味です。私は小学生の頃から本を読むことが好きでした。英語を学んで理解できるようになると、和訳された海外文学の原文を読んでみたくなりました。すると、日本語とは違った表現がされていることや、「なるほど。だからこういう日本語にしたのか」と興味深く思える翻訳に出会うことができました。このような体験を通して、私たちが世界をどのように見つめ、どのように切り取っているかを表しているのが言葉なのだと知りました。
大学に入学後の学びでは、レポート課題に引用できる文献を探す機会がしばしばありました。そんなとき、課題には直接関係ないにもかかわらず、無意識のうちに読んでしまっている論文がありました。その多くが失感情言語化症に関するものであることに気づき、自分の興味を認識。3年次生のときに研究テーマを失感情言語化症に定めました。
心理学には、生理指標と呼ばれる心拍や呼吸、発汗など身体の生理的反応を測定して分析することがあります。そのための分析機器やソフトといった設備が充実していることが、同志社大学への進学を決めた大きな要因です。また、さまざまな領域の「心理学」を専門にしている先生が在籍しているなど、指導体制にも魅力を感じました。入学してみて、設備の充実ぶりや先生との距離の近さなど、期待通りの環境に非常に満足しています。入学前には目を向けていなかったのですが、先輩とのつながりの深さも同志社大学の魅力です。特に大学院生は専用の部屋が用意されており、そこで学年や研究テーマの枠を超えて交流することができます。悩みの相談に乗ってもらったり、アドバイスをしてもらえたりという先輩との関係性は、非常に心強いです。
高校時代には、大学で心理学を学んだうえで、臨床の現場で働くという将来像を漠然と描いていました。そして学部3年次生のときに失感情言語化症というテーマに出会い、「博士前期課程に進んだら失感情言語化症について深く研究しよう」と考えるようになりました。ただ、思い描いていた実験をするには、その前段階として取り組んでおくべき実験があることがわかりました。そこで博士前期課程で前段階の実験を行い、予定していた実験を行うために博士後期課程へ進むことにしました。
SPRINGの支援は2025年度から受けています。現在私は、26歳です。同級生の多くは社会人になり、自分で収入を得て生活しています。それに対して大学院生の私は収入がなく、親に生活を支えてもらわざるを得ませんでした。心苦しい思いがあったことは否定できません。それに対してSPRINGに採択されてからは、仕送りなしで生活費をまかなえるようになりました。この違いは非常に大きいです。
学会に参加しやすくなったことも、SPRINGのおかげです。以前は遠方での学会となると、交通費などが気になって参加をためらってしまうこともありました。それが今では、SPRINGによる研究費が活用できるので迷うことなく参加できています。より多くの学会に参加できるようになった結果、新しい人や情報との出会いも広がっています。
SPRINGでは研究発表会をはじめとして、他の研究科に所属する学生と交流する機会が設けられています。私も自分の研究について発表を行ったのですが、思いもよらない質問をしてもらったり、研究の進め方についてアイデアをもらったりと、心理学研究科の中にいるだけでは得られなかった刺激や学びを得ることができています。他研究科の学生は私たち心理学研究科の学生とは物事に対する考え方や着眼点が違うこともあります。それらに触れることで、私自身の視野が広がっています。
2025年夏に行った実験の成果は、2026年7月の国際学会で発表する予定です。海外で行われる学会なのですが、渡航費などの費用にSPRINGからの支援を充てる予定をしています。