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同響の音、世界への挑戦(後編)

2026年5月14日 更新
orchestra⑧ (128364)

©Petr Dyrc

orchestra⑤ (128360) ©Petr Dyrc
八木
今回のプラハ公演では実行委員長をつとめました。同響の海外公演は1998年からはじまり、オーストリアやイタリア、ドイツなどヨーロッパのあらゆる都市で、3年に1度の頻度で実施しています。実は前回の公演もチェコ・プラハで、その時に「もう一度ここでやりたい!」という声がとても多く、今回もプラハで実施することになりました。日本人の学生の公演にもかかわらずチケットは完売し、当日1100人以上の来場者に音楽を届けることができました。
倉橋
プログラムの一つに、プラハ出身のドヴォルザークの曲がありました。日本人学生がプラハ現地でそれを演奏する、ということでとても緊張しましたが、演奏が終わったあと、温かい拍手をいただいただけではなく、最後はスタンディングオベーションまでになり、本当に夢のような時間でした。
orchestra⑫ (128368) オーボエの藪本さん
籔本
海外のホールは日本のホールとは楽器の響き方が異なります。私はオーボエなのですが、音がホールを包み込むような感じがして、とても感動しました。リハーサルから緊張していましたが、「せっかくの機会、楽しみたい!」の一心で本番に臨みました。終わってみて改めて思うのは、観客あってのホールだなということです。私たちと観客がひとつの音楽を共有して、一体になるような感覚は、なにものにも代えがたいです。本番後に、来場者から「良かったよ」と声をかけていただいたこともあり、この貴重な機会に演奏できてよかったな、と心から思いました。
ヴァイオリンも残響がすごく残る印象で、響き方が日本とは異なると感じました。音楽のいわば“本場”で演奏することのプレッシャーはありましたが、みなさんが温かく、集中して演奏を聴いてくださり、感動しました。
八木
運営面での苦労もありました。円安ということもあり渡航費がかなり高額になり、また楽器を持っていくので航空会社やホテルも極端に安価なものにはしにくく、学生の負担がそれなりに大きくなる悩みもありました。響友会のお声がけもありクラウドファンディングを実施するなど、皆さんに支援していただき実現した海外公演だったと強く感じています。渡航前から、練習中も換気を行うなど体調管理は万全にして、成功裏に終われたことを本当に嬉しく思います。
籔本
海外なので湿度や温度が日本と異なることがあり、楽器のコンディションにも気を使いました。手持ちのリード(※1)を全部持っていきましたね(笑)。


※1 リード:管楽器に使う薄い「振動板」のことで、サックスやクラリネット、オーボエなどの吹き口に取り付けて息を吹き込むと振動し、楽器全体に音を響かせます。

音楽の楽しさを胸に 多彩な未来へ

orchestra⑩ (128366) コンサートミストレスとなる原さん
先ほどもありましたが、同響の最大の魅力は個性豊かなメンバーです。その個性は今後も活かしていきたいと思います。自分はコンサートミストレス(※2)という立ち位置になることもあり、自分の技術はもちろん、指導力も磨き、「背中で語る」先輩を目指したいなと思います。
籔本
海外公演で得た経験は他には代えがたいものがあり、絶対に忘れることのできない思い出です。音楽の楽しさを改めて実感したので、一人ひとりがその経験を糧に、より高みを目指すような楽団であってほしいなと思います。卒団生に言われた言葉なのですが、「まずは自分自身が楽しむこと、そして周りを巻き込んで楽しむこと」。私もこの通りだと思うので、この言葉を胸に今後も活動していきたいです。


orchestra⑪ (128367) プラハ公演で実行委員長を務めた八木さん
八木
海外公演を実現できたのは本当に多くの人の協力があったからだと思っています。私は卒団し、大学卒業後は就職しますが、同響での経験を活かして、今後も何らかの形で音楽に関わっていきたいと思っています。
倉橋
私も卒団し、大学院に進学します。今回、経済的な理由から、どうしても海外公演に参加できなかった団員もいます。全員が同じ感動、体験を分かち合うことが大切だと思うので、そうした機会を与えられる立場になりたいと思います。楽団の運営は本当に大変なこともたくさんありますが、大変なことも、楽しいことも、みんなで分かち合ってお互いに高め合っていく、そんな楽団であり続けてほしいと願っています。


※2 コンサートマスター/ミストレス:オーケストラにおける第1ヴァイオリンの首席奏者であり、指揮者に次ぐ楽団のリーダー的存在。

orchestra⑦ (128363)
©Petr Dyrc
orchestra⑥ (128361)
©Petr Dyrc