2025年度に重点的に取り組んだ課題の達成状況
2026年4月10日
「同志社大学ビジョン2025 -躍動する同志社大学-」中期行動計画(第3版)の着実な実行及びその他の課題に対応するため、2025年度は重点的に以下の課題に取り組んだ。
1.150周年とその先へ──未来に向けた基盤づくり
同志社創立150周年という節目の機会に、同志社の歴史を振り返り、学生・教職員・卒業生が誇りを持って活動ができるよう、150周年以降を展望する新たなビジョンを確立し、中期行動計画を策定する。150周年を迎えることのできる喜びや新たな使命を共有するために、本学構成員が一体となって「同志社創立150周年記念事業(大学事業)」を着実に進め、社会における本学のプレゼンスを向上させる。また、急速な人口減少をはじめ、高等教育を取り巻く状況が急激に変化する中、未来に向けた基盤づくりのために、企画・立案機能の強化や職場環境の改善等を目指して組織改編に取り組む。
2024年度にネクスト・ビジョン策定部会から最終答申を受け、新たな大学の指針となる『同志社大学ビジョン「共に知る、共に変わる -With a Good Conscience」』を、第5回大学評議会(2025年10月9日)において制定した。続いて、2026年度から2030年度を対象とする「同志社大学中期計画2030」を第8回大学評議会(2026年1月29日)にて決定し、ビジョン実現に向けた方針を明確にした。ビジョンの社会的発信にあたっては、同志社創立150周年記念式典(2025年11月29日)において学長より公表し、あわせて特設ホームページ及び紹介パンフレットを作成した。パンフレットは校友会各支部総会等で広く配布し、ビジョンの理念と今後の方向性について深い理解を得るよう努めた。
創立150周年記念事業(大学事業)としては、記念シンポジウム第3弾「地球と宇宙を展望する―宇宙時代における大学の使命」(2025年6月27日、毛利衛氏招聘)、第4弾「デジタル社会における自由と多様性の未来 ― オードリー・タンと語り合う」(2025年10月13日、オードリー・タン氏招聘)を開催した。さらに、新図書館建設事業、スポーツ・コンプレックス建設事業、京田辺キャンパスリニューアル建設事業といった大規模建設事業についても、計画に沿って着実に実施し、それぞれの特設サイトを通じて本学の未来像を広く社会へ提示した。
また、事務局の設置、総合企画部の新設及び京田辺校地総務部の移管による学長室の機能強化、さらに、各機構への事務部の設置を決定した。加えて、多様な学術的営みを結合し新たな知と社会的価値を創出する使命を明示するため、研究開発推進機構のリサーチ・イノベーション推進機構への組織改編を決定した。あわせて、課外活動団体の支援組織と学生個人を支援する組織の機能的再編を目的として、学生支援機構の組織改編も決定した。
2.「新たな教育」のための基盤強化
教育の質をより向上させるため、2024年度に導入した新学年暦を多面的に評価し、必要な改善を加える。また、学生の主体的・自律的な学びを促し、自ら成長を実感できるよう、学生調査の回答率の向上をはじめとする学修成果の把握・可視化に取り組む。数理・データサイエンス・AI教育については、これまで先導的に取り組んできた「同志社データサイエンス・AI教育プログラム」(DDASH)等の裾野を広げ、データ分析能力を身に付ける学生層の拡充を目指す。大学院においては、研究科等連係課程による新学位プログラム(データ科学・AI)の検討を進める。また、知・徳・体の適切なバランスをはかるため、「同志社大学スポーツ憲章」に基づき、同志社スポーツにおける施策を検討する。
新学年暦は、前年度に実施したガイドラインの改定やシステム整備により、大きな混乱なく安定的に運用できた。オンデマンド授業や遠隔授業、面接授業の更なる質の向上を目指し、その質の評価に資するデータ収集、指標設計を進めている。
学修成果の把握にかかる取組として、「学びの実態調査」の学部平均回答率が30%超を達成するなど、公表する情報の信頼性を高めることができた。加えて、文部科学省の全国学生調査に正式参加した。また、学修成果の可視化として、DPの達成状況を単位数やGPAから把握できる「DO-MAP(Doshisha Outcome Mapping Progress System)」を2026年4月にリリースする。あわせて、教務システム(DUET)を中核に据えた教学システムの統合的な運用・管理体制を確立するため、2025年10月、教務部の下に「教学システム運用管理課」を新設した。これを機に、教学関連データの計画・統合的な蓄積と活用が進み、内部質保証や自己点検・評価の一層の高度化が期待できる。
データサイエンス・AI教育では、「同志社データサイエンス・AI教育プログラム(DDASH)」と「同志社イノベーション・ゲートウェイ(DIG)」の相互連携により、従前にない実践的な学習の機会として、「DDASH Hacks」を提供した。生成AI活用に関しては、推進と抑制のバランスに努め、全面禁止ではなく適切な利用を促す方針をもって、使用ルールを見直すとともに、AIライティング検知ツールの全学導入に向けた評価と予算措置を講じた。
研究科等連係課程による新学位プログラム(データ科学・AI)に関しては、設置決定には至らなかったものの、必要な事務体制や運営方法について検討を重ねており、今後の再挑戦に向けた知見を蓄積した。
同志社スポーツの質的向上に向けて、デイヴィス記念館地下トレーニングルームの改修工事、同室の管理・運営方法を変更した。また熱中症対策としての正課用更衣室及び器具庫の改修計画を策定した。加えて、法人の一貫教育探求センターと連携し、法人内4中・高等学校を対象とした大学体育会の競技体験教室「2025同志社スポーツアカデミー」を実施した。
3.境界を越える次世代教育の展開
多様なライフステージにある人々を受入れるべく、本学の教育理念に立脚したリカレント教育の展開を目指す。学ぶ志を持つすべての人に、魅力的な教育コンテンツを開発するとともに、オンデマンド動画の配信をはじめとする社会人が学びやすい学修環境の構築を検討する。リカレント教育を展開する場として、東京サテライト・キャンパスの活用も検討する。
また、既存の教育システムを前提とする様々な境界、すなわち、高校と大学、学部と大学院、学生と社会人、国内学生と留学生、キャンパスと地域社会の境界を越える取組を推進する。特に大学院教育を充実する上では、学部と大学院の境界を越える連続的な教育の展開が有効であり、その先端的取り組みの一つとして、理系と文系の学問領域をつなぐ、新たな大学院共通プログラムの具体的な検討を進める。
リカレント教育の新たな展開として、株式会社島津製作所との連携により、サイエンスコミュニケータの養成に取り組むこととし、多忙な社会人が学びやすいオンデマンド型講座の作成に着手した。この取組を起点として、組織間連携を基軸としたより柔軟な教育・学修形態をつくり出す。
学部と大学院の境界を越える連続的な教育の展開に関しては、本学の学部教育の量的課題を認識し、「同志社大学中期計画2030」において、科目モジュールによる総合知教育促進や科目精選による資源再配分の方向性を示した。同時に第5期機関別認証評価の動向を踏まえたカリキュラム及び教学運営の構造改革による簡素化が必要になると捉え、本学の教育の基盤とも言える教務システム(DUET)更新計画の立案に向けた取組を進めた。
大学院教育の具体化としては、学部共通の副専攻のアドバンストとなる大学院共通「サイエンスコミュニケーションコース」を株式会社島津製作所と共同運用する。学部副専攻等の教育プログラム拡充が大学院の活性化に繋がる可能性を見出すべく、「同志社大学中期計画2030」において、学士課程と修士課程を通貫する5年一貫教育プログラムの検討を、大学院教育強化の一手段として位置づけた。
高校と大学の境界を越える取組に関しては、「大学を知る」を目的とする「授業公開」「卒業生からのメッセージ」は高い満足度を得たが、「在学生との交流」「学生アンバサダー」は検討段階に留まった。「探求学習サポート」は平日開催のため参加人数が伸びず、教員負担の課題も明確となった。
東京サテライト・キャンパスでは、社会連携拠点としての機能強化を図り、「同志社講座」を継続するとともに、新たに土曜開催の「Saturdayゼミ」に取り組んだ。また、首都圏で活動する学生に向けた就職支援を展開し、キャリア形成を後押しした。さらに、地域連携の一環として「中央区民カレッジ」に協力し、同志社の知を地域社会へ還元する取組を推進した。
4.教養と専門の調和した総合知の形成
現代では、基礎的・俯瞰的な教養と専門知を組み合わせ、新たな価値を生み出す「総合知」の創出・活用が求められている。複雑化する現代社会において、新たな価値を創造できる力を養うことを目的として、2025年度から全学共通教養教育科目として始動する「同志社イノベーション・ゲートウェイ」(DIG)を着実に実施するとともに、大学教育と社会貢献活動を統合したサービスラーニングの導入についても検討する。
大学院教育については、アドバンスト・リベラルアーツ科目群等により産学連携の学びをさらに多様化するとともに、「同志社大学大学院博士後期課程次世代研究者挑戦的研究プロジェクト」の活用により、博士後期課程の更なる充実を図る。
教養と専門の調和した総合知の形成を一層推進すべく、全学共通教養教育、サービスラーニング、大学院教育の各領域において、制度設計及び基盤整備を中心とした取組を着実に進めた。まず、全学共通教養教育科目として新たに開講した「同志社イノベーション・ゲートウェイ(DIG)」は、初年度ながら質・量の両面で一定の成果を収めることができた。DIGでは、学生間及び学生と教職員等をつなぐコミュニティ形成を目的にコミュニケーションツール「Commune」を導入し、初年度に設定した目標値をいずれも上回る結果を得た。これにより、教養と専門を横断する学びを支える新たな学習基盤の構築を着実に進展させることができた。また運用面でも情報発信体制の整備が進み、DIGの円滑な実施に大きく寄与している。
次に、サービスラーニングについては、実施にあたっての制度的基盤の確立を必要とすることから、「同志社大学中期計画2030」において取組施策として明確に位置づけ、事業化を目指す。さらに、先行事例として立教大学サービスラーニングセンターの運営体制や科目設計に関する知見を得るなど、実施に向けての調査活動も進めた。
大学院教育における産学連携の多様化については、現行の教育プログラムや体制の範囲で具体的な連携事例の創出を目指した。その結果、株式会社島津製作所との協働を進める過程において、アドバンスト・リベラルアーツ科目群の下に大学院共通「サイエンスコミュニケーションコース」を新設することとなった。リベラルアーツのアップデートと産学連携の学びの多様化は着実に進展しており、これらの取組を大学院教育の活性化に繋げる。
5.新しい価値の創造と社会貢献のための研究基盤の強化・多様化
本学が高等教育機関として新しい価値を創造し続けるべく研究力強化を図り、研究基盤の再構築に取り組む。教員の研究時間の確保に向け、リソース配分を見直して研究支援体制を強化し、全学的なエフォートバランシングを検討する。個人研究や共同研究を基盤として、多様な研究分野が融合するプロジェクト型研究を生み出し、新たな研究課題や研究領域が創出されやすい研究環境を整備する。また、本学の研究力に対する定量的・客観的なデータ収集・分析を通して、大学が主導して取り組む研究領域を設定し、分野横断的に研究力を統合させた特色ある社会貢献を進める。
JST「スタートアップ・エコシステム共創プログラム【拠点都市プラットフォーム共創支援】」を推進して、大学発スタートアップ、アントレプレナーの支援体制・制度を整備する。また、本学と理念を共有できる国内外の大学、企業、国立研究所、自治体等との戦略的な組織連携を進め、質の高い社会貢献のフィールドを拡大する。
本学の研究基盤を再構築し、研究力の強化を図るための環境整備として、研究の推進や支援を担っている機能の再編に取り組み、2026年4月から研究開発推進機構をリサーチ・イノベーション推進機構に改組することを決定した。この再編では、研究組織間の連携・交流の促進や、事務組織との連関を強化するため、研究推進部とリエゾンオフィスの機能を統合したイノベーション創出クラスターを新たに設けるとともに、研究拠点の枠組みを変更した上で、各研究組織をイノベーション創出クラスターの下に置くこととした。個人研究や共同研究を基盤として多様な研究分野が融合するプロジェクト型研究を創出する環境の醸成等については、新たな機構の下、2026年度から着手する。大学が主導して取り組む研究領域の設定と、分野横断的に研究力を統合した特色ある社会貢献について、2025年度は、新たな教育研究プラットフォームの設置による重点領域の設定、京田辺市及び日産自動車株式会社との包括連携事業に基づく、京田辺スマートモビリティの実証運行、電気自動車を活用した脱炭素化や災害対策強化のための啓発活動への貢献を行い、2026年度以降も継続課題として取り組む。
2026年4月からの組織再編に伴い、事務組織を再編し、産官学連携推進課に起業支援係を設置し、起業・アントレプレナーシップの支援体制を強化する。2025年度は、JST「スタートアップ・エコシステム共創プログラム【拠点都市プラットフォーム共創支援】(KSAC)」の事業推進に加え、INPIT「大学等の研究成果の社会実装に向けた知財支援事業(iAca)」の活用や三菱UFJリサーチ&コンサルティング等の協力を得て、特許活用を検討した。その他、ProduceTrialや中小企業基盤整備機構との共催による起業家教育イベント(Tips)等、各種セミナーを実施した。また、2025年度から企業等の協賛金を活用してベンチャーコンテストを再開し、D-egg内に法人登記が可能なシェアオフィスの新設を決定した。
6.国際主義とキリスト教主義の連携によるグローバル化の推進
同志社創立150周年記念事業(大学事業)である「「国際主義」の深化に向けた「人を植ゆる」の事業」に掲げられたアメリカ系、ヨーロッパ系、アジア系の各事業を着実に遂行するとともに、身近にある地域課題とグローバルな課題を往還し関係づける教育プログラムを検討する。また、2025年度に幹事校を務めるACUCA(Association of Christian Universities and Colleges in Asia)において、全加盟校の関係者を迎える大会と、加盟校の学生を集める学生キャンプを本学にて開催し、今後の本学のアジア戦略を検討する一助とする。さらに、中長期的な視点から、国際交流の質を高めるべく、現在の海外協定大学との連携状況の再点検を継続する。海外拠点の戦略的強化として、EUキャンパスを擁するテュービンゲン大学と本学との間で教育とともに研究交流を拡充させる。加えて、学校法人同志社150周年記念事業等とも連携しながら、アーモスト大学との関係をより強化する。
同志社創立150周年を記念する諸事業を実施し、多方面において顕著な成果を収めた。まず、同志社大学とアーモスト大学の長年にわたる交流の歩みを紹介する歴史資料展示会「未来を切り拓く―アーモスト大学と同志社の交流史―」(10月1日~12月7日)を開催し、約9,000名が来場するなど、両大学の歴史的絆を改めて社会に発信する機会となった。さらに、台湾初代デジタル発展相であるオードリー・タン氏を招聘し、「デジタル社会における自由と多様性の未来」をテーマとするシンポジウム(10月13日)を実施した。さらに、ACUCA(アジア・キリスト教大学協会)によるStudent Camp(8月18日〜22日)及びManagement Conference & General Assembly(10月14日〜15日)を主催した。香港、インド、インドネシア、日本、韓国、フィリピン、台湾の7か国・地域から学生が参加し、多文化的かつ先端的なテーマに基づく交流が実現した。MC & GAにおいても8か国・地域から学生が参集し、国際的な大学連携の深化に寄与した。また、テュービンゲン大学学長の同志社創立150周年記念式典への参列機会を捉え、11月28日に両大学長による特別対談を開催した。両大学の歴史的な交流と独・日の高等教育の将来展望について語り合った内容を、日本語及び英語の字幕を付して世界の視聴者へ発信するなど、多様な記念事業を計画通りに完遂した。
テュービンゲン大学との協定事業の深化に向け、両大学間の協力関係の強化を目的とする国際共同シンポジウム(3月11日~12日)に、テュービンゲン大学から代表団が派遣され、研究交流の更なる創出に向けた議論を進めた。また、EUキャンパスにて開催した「Doshisha Week 2025」では、後期課程学生による研究発表を実施し、研究基盤に立脚した国際教育の実践を進展させた。
アーモスト大学からの新たな連携について、同志社新島スカラーの留学費用の永続的な無償化(費用はアーモスト大学側が全額負担)、交換留学生の受入人数の倍増、アーモストフェローへの奨学金増額の提示があった。
グローバル化推進について、留学モビリティ拡充策、国際共修環境の充実策、協定方針の再整理、ACUCA活動の評価等を行い、2026年度以降の基盤整備を進めた。
7.「深山大沢」としてのキャンパスの形成
新島は「深山大沢、龍蛇を生ず」等の言葉によって、大学の理想像を「深山大沢」として示した。様々な個性を生かし育む、多様性と驚きに満ちた環境の創造を意味する「深山大沢」の理想を現代において追求するため、自然環境と人間社会が調和するキャンパスを目指す。
「同志社大学環境宣言」に基づき、同志社大学カーボンニュートラルロードマップに掲げた温室効果ガス削減目標の達成に取り組む。さらに環境推進に取り組む学生のネットワーク構築に向けた施策を検討する。また、「同志社大学ダイバーシティ推進宣言」に基づき、男女共同参画・ライフサポート、多文化共生・国際理解、障がい者支援、SOGI理解・啓発の4つの重点項目に対する具体的対応策の検討・実施と関連部署間の連携を図り、インクルーシブなキャンパスを構築する。
環境推進について、専門業者へのエネルギー管理精査業務委託に基づき、熱源設備・空調照明設備・中央監視盤データ等の運用状況及び図面・機器リスト等の設備情報を調査し、省エネルギーに資する改善点の整理ならびにエネルギーフローを作成した。これまで校地毎に策定していたエネルギー管理標準を統一的かつ体系的な基準として改訂・一本化するとともに、同志社大学カーボンニュートラルロードマップに掲げる温室効果ガス削減目標の達成に向けて空調設備等整備事業及び照明LED等整備事業を開始し、2030年度までに2013年度比46%以上の削減という中期目標の実現に向け、計画的に工事を進めた。加えて、環境推進パートナーとの共同事業の推進として、タイガー魔法瓶株式会社との連携によるステンレスボトル回収事業を新規に展開し、両校地に回収ボックスを設置するなど、環境負荷低減と資源循環を推進する取組を強化した。
ダイバーシティ推進について、2025年度は同志社大学ダイバーシティ推進宣言制定から5年の節目を迎え、教職員の意識変容を測定するため、2021年度と同一項目によるアンケート調査を行い、経年的傾向の分析を通じた施策形成に資する基礎資料を得た。また、6,000名を超える学生が履修する全学共通教養教育科目「同志社の良心とダイバーシティ」が開講3年を終えたことを受け、本学におけるダイバーシティ教育の意義を改めて問い直すことを目的に、基調講演とパネルディスカッションから成るシンポジウム(2026年3月28日)を開催した。
発達障がいのある学生への支援においては、学生同士による体験共有を促進するランチ交流会を開催し、合理的配慮の活用方法や大学生活における工夫を共有する機会を提供した。また、偏見・誤解の除去と支援への理解促進を目的として、障がいの種類、困難の具体像、合理的配慮例を紹介するパネル展を実施し、ニューロダイバーシティの視点も伝えた。
SOGI理解促進については、教員向けリーフレット「LGBTQ+の学生への配慮・対応について」の配付に加え、プライド月間にあわせて映画上映会、感想共有会、講演、学生団体とのトークセッションを行い、多層的な学内啓発を推進した。あわせて、学生が自由に意見を寄せる「シェアボード」を設置したパネル展も開催し、学生の主体的な学びと気づきを促した。さらに、10月には教職員を対象としたオンライン研修会を行い、LGBTQ+学生支援に対する理解の深化を図った。
加えて、合理的配慮としての遠隔授業については、2024年度の制度開始から得られた知見をもとに、学内で統一的に運用できる提供基準を整備した。他大学の事例が少ない中で2年間にわたり課題を検討し、安易な適用を避けつつ学生の学修権を保障する制度的枠組みを確立した。
8.DDX推進とブランディングの強化
「Doshisha Digital Transformation (DDX)宣言」に基づき、教育、研究、事務の各分野の効率化、高度化、新たな価値創出を図る。組織全体のデータ活用を見据え、エビデンスに基づいた合理的な政策立案を行うため次世代のデータ分析基盤及び教学等の分析ツールの導入について検討を開始する。教務系システムと次期インフラ系情報システムの更新及び業務DX推進については、計画に基づき着実に実行する。
また、ブランディング戦略の強化を図るべく、大学公式コンテンツの質をより向上させ、学内外への積極的な情報発信に努める。加えて、学内エンゲージメントの向上を企図し、教職員間でのインターナル・コミュニケーションを促進する基盤を整える。さらに、同志社フェアや同志社校友会支部総会等における交流の機会を活性化させ、本学の発展に資する同志社コミュニティの形成を推進する。
DDX中期行動計画(2026~2029年度)(案)を策定し、情報化推進基本規程及び情報化推進委員会内規を制定して組織的推進体制を整備した。あわせて、情報システム運用基本規程を改正し、DX推進を制度・規程の両面から強固に支える基盤を構築した。
データ活用のあり方について、統合DB・分析基盤システムの高度活用に向けRFI等を実施し、システム柔軟性、データ匿名性、組織的情報活用のコンセンサス不足という課題を把握した。解決策として、インターフェイスとDBの分離調達やデータ匿名化機能の実装案を得たが、エンロールメントマネジメントシステム導入との関係性も含め、情報活用のあり方は多面的な検討を要し、2026年度以降の重要課題となる。
教務系システムについて、LMS、証明書発行システムの更新を完了し、いずれも安定稼働を実現した。今後の教務システム更新に向けては、製品調査や学部・研究科事務室等への課題ヒアリングを進め、教学システム運用会議において、カスタマイズを極力回避した形でのパッケージシステム導入と、更新時に一定期間の現行システム並行稼働の方針を打ち出した。
次期インフラ系情報システムについて、リプレース第1期として、ネットワーク・ユーザ管理・サーバ基盤各システムの事業者を選定し、基本設計を完了した。無線LANの使用感向上や全国の大学に先駆けての顔認証方式導入による情報セキュリティ強度と利便性の向上、サーバ基盤の2拠点クラウド構成などによる可用性・完全性の向上を目指す。また、基本仕様を取りまとめた教育研究支援システムにおいては、教卓PCと事務用PCの一括調達によるコスト削減を見込む。
業務DX推進プロジェクトでは、Microsoft Power Platformによるシステム内製化やBIツール活用を進め、成果報告会を開催するとともに、立教大学DXチームとの交流を通じ活動の深化を図った。文書管理の電子署名導入準備や生成AIの業務利用検証を進め、議事録作成や規程類の対話型検索等で実務利用可能な水準を確立した。また、窓口対応管理システムの運用を開始し、問合せ対応の迅速化と質向上に寄与している。
DDX推進人材の育成に向け、業務DX推進プロジェクトにおいてチームリーダー制の導入により主体的参画を促し、システム担当者会を年間12回開催してDX・情報セキュリティへの理解を深化させた。また、学内システム担当者向けのセキュリティ教育の改善を図り、セルフチェックシートをより実効性ある内容へと刷新した。
同志社ブランド力強化に向け、コンテンツの質向上、学内外への積極的発信、150周年記念企画の充実に重点を置いた。「同志社講座」動画や周年事業の各種コンテンツを発信するとともに、オウンドメディア“D”iscoverや公式ホームページ・SNS、デジタルサイネージ等を活用し情報発信を強化した。また、立教大学との連携広告や新聞掲載、プロモーション動画、記者クラブとの懇談会など多面的な広報施策を展開し、本学の魅力を発信した。
9.安定的財政基盤の確立
特色ある教育研究活動の推進及びその環境充実のためには、財政基盤の安定が必須であるため、引き続き予算編成大綱を基軸とした財政運営を行う。2025年度は、2027年度入学生以降の学費について、財務部会において検討する。また、法人及び大学の財務関係比率上の指標・目標の達成を目指し、明確な財政規律による財政計画に基づき、収入面では、入学定員の確保を重要事項とし、収入の多様化への検討も行う。一方、支出面では、事業計画の成果検証を進めるなど、効果的な財政運営を行う。2026年度予算においても収支均衡を目指した予算編成を行うとともに、この5年間で進展した繰越支出超過額の解消に取り組む。
また、「同志社大学2025 ALL DOSHISHA 募金」の検証を行うとともに、2026年度以降の新たな募金事業について検討する。
2026~2030年度を対象とする「学校法人同志社中期財政計画」を策定し、2030年度までに「事業活動収支差額比率8%(将来的には10%)の達成」と「減価償却額の累計額に対する自己資金の充足率90%を目標」とすることを決定した。
2025年度からの私立学校法及び学校法人会計基準の改正に対応するため、賞与引当金を含む勘定科目の新設や、新様式による計算書類作成の準備を進め、法人内各学校が円滑に移行できる体制を整えた。また会計監査人と綿密に協議を重ね、2026年度予算及び2025年度決算承認に向けた学内審議と手続きを滞りなく進めるための環境を整備した。
「同志社資金運用基本方針」に基づき、2020年度に開始した後、2024年度までの5年間に毎年60億円を拠出し、合計300億円となった委託運用の資産配分や運用商品構成、運用実績等について、運用助言会社の助言の下で点検した。点検結果及び2024年度に承認した2026~2030年度の委託運用の骨子を踏まえ、運用額の拡大や新たな運用利回り目標に基づく基本ポートフォリオの更新及びオルタナティブ資産の導入等について定めた資金運用中期計画を策定し、あわせて「同志社資金運用基本方針」を改正した。
2027・2028年度入学生の学費については、2025年度の財務部会における答申結果を報告した。また、国家公務員等の旅費制度見直しを受け、法人「旅費規程」の改定に伴う大学での運用変更について、交通費・日当・宿泊費の取扱いや旅費計算の起点・終点、旅行代理店への直接手配等を見直した。
現状の財政状況と将来の収支見通しを踏まえ、第3号基本金(同志社大学奨学金基金)及び第2号基本金(研究装置設備等整備資金、大学教学施設設備整備資金)の組入方針を検討した。その結果、第3号基本金については2025年度より組入額を1億円増額し6億円とした。第2号基本金については、学研都市キャンパス売却収入やALL DOSHISHA募金(使途指定なし)を教学施設整備資金へ充当するとともに、今後の大規模改修需要を見据え、2026年度から経常勘定からの組入額を2億円から5億円へ増額する方針を決定した。
私立大学等経常費補助金の増収を目指し、前年度実績の維持を前提に各指標の改善に取り組んだ。一般補助では、「教育の質に係る客観的指標」の増減率が1%改善する見込みとなった。また、特別補助においては、改革総合支援事業のタイプ2(特色ある高度な研究の展開)、タイプ3(地域社会の発展への貢献・プラットフォーム型)、タイプ4(社会実装の推進)の選定を目標として申請を進めた。
2026年2月末時点で「同志社大学ALL DOSHISHA募金」は累計27.2億円(達成率54.4%)となり、校友会との連携強化や企業訪問の推進により支援基盤を拡大した。特に、寄付未経験の卒業生向けに導入したコンビニ払込み方式が奏功し、新規寄付者は2,900名超、卒業生支援者は1万人に到達した。企業からは新たに55社が加わり累計476社となり、さらにダイキン工業株式会社、TOYO TIRE株式会社、株式会社ロゴスコーポレーション等との包括連携協定を締結し、研究・教育・採用に資する企業連携の深化と外部資金獲得の拡大に繋がる基盤を形成した。