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同志社大学中期計画2030

同志社大学ビジョン
「共に知る、共に変わる -With a Good Conscience」
同志社大学中期計画2030


Ⅰ.良心に基づいた総合知の展開と「智徳並行」教育の深化

ビジョンⅠ.良心に基づいた総合知の展開と「智徳並行」教育の深化

 本学は、様々な問題や困難に直面する世界にあって、未来社会を切り拓くための総合知を育む大学である。基礎的・俯瞰的な教養と専門知を組み合わせ、新たな価値を生み出す総合知を、本学が独自の形で展開していくためには、徳育の基盤としてのキリスト教主義や良心を本学の強みとして活かす必要がある。科学技術の進展のスピードに対し、倫理規範のアップグレードが追いつかない状況下で、同志社教育の核心とされてきた「智徳並行」教育が、今、新たな輝きを放つことになる。
 分断と対立が深まる世界の中で、社会の課題に向き合い、困難の中にある人々を支えるためにも、自ら考え自ら行動する「自治自立」の精神、常識にとらわれず、現状に甘んじることのない「倜儻不羈(てきとうふき)」の精神をもつ学生を育てる場として、本学は在り続ける。「共に知る」良心(conscience)によって、対立する価値観をとりなし、世界の人々の良心を鼓舞することのできる、深い思考力と実践力を備えた人物を本学は輩出する。また、学ぶ意欲のあるすべての人々に対して門戸を開き、世代を超えた学びの場を提供する。

Ⅰ-1):総合知を育む教学設計と運用

Ⅰ-1)-①:科目モジュールによる総合知教育の促進

 全学共通教養教育科目において、総合知教育のコア科目を設定し、学部・研究科科目との連携により、教育内容とその機能を集約したモジュールを形成する。これにより、基礎的かつ俯瞰的な教養と専門知を有機的に結びつけ、学びの活力を育む。

Ⅰ-1)-②:数理・データサイエンス・AI教育の強化

 同志社データサイエンス・AI教育プログラム(DDASH)を総合知学習の基盤として位置づけ、学生の数理・データサイエンス・AIの運用力を強化する。加えて、研究科等連係課程による新学位プログラム(データ科学・AI)の開設と発展に向けて取り組む。

Ⅰ-1)-③:良心を育むサービスラーニング型教育の推進

 学生が地域社会との協働を通じて課題解決力と実践力を培うサービスラーニング型教育を推進し、実社会に根ざした体験を通じて主体的な思考力と協働力を育成すると共に、「智」として得た隣人愛のキリスト教精神と良心を実践のレベルにまで昇華させる。

Ⅰ-1)-④:大学院教育の質的・量的向上

 学士課程から大学院前期・修士課程までを一体的に捉えた5年一貫の教育展開も視野に入れ、大学院教育の充実を図り、より高度な専門知を備えた人物の養成を強化する。また、博士後期課程修了者の多様なキャリア形成を支援し、次世代の大学を支える人物の養成を図る。

Ⅰ-2):世代・立場の違いや地域を超えて、他者と共に学ぶ学習機会の創出

Ⅰ-2)-①:リカレント・リスキリング教育の強化

 社会人の学び直しを支援するリカレント・リスキリング教育の一環として、目的に応じた学習機会の提供を通じて、専門性の再構築やキャリア形成を支援し、キャンパスを生涯学習の場として機能させる。またマイクロクレデンシャルを活用したリカレント・リスキリング教育を、企業や官公庁等の組織や卒業生との接点とすることで、社会連携活動を一層推進する。

Ⅰ-2)-②:学びのコミュニティ形成と広域的な発信による知的資源の共有

 学内の公開講座等を整理し、地域と連携した学びのコミュニティを形成すると共に、学外プラットフォームやオンデマンド機能を活用し、受験生も含めた幅広い層に向けて本学の知的資源の広域的な発信と共有を図る。

Ⅰ-3):自治自立・倜儻不羈の精神をもって自由に挑戦する学習への支援

Ⅰ-3)-①:オンライン授業の利点を活かした新たな学習スタイルの創出

 より意欲的に4年間を過ごそうとする学生の学びを後押しするため、「13+2」の学年暦の先導的運用やオンデマンド型教育の拡充等を通じて、柔軟かつ多様な学位課程の編成・運用を可能とする。

Ⅰ-3)-②:学習成果可視化の推進と個別最適化支援

 学習成果の可視化や学位課程におけるアセスメントの活用を通じて、学びの質の向上と教育の高度化を図り、より効果的な学習支援体制を構築する。さらに、生成AIを活用し、学生一人ひとりの状況やニーズに応じた支援のパーソナライズを推進する。

Ⅰ-3)-③:アントレプレナーシップ教育の推進

 同志社イノベーション・ゲートウェイ(DIG)のさらなる展開として、アントレプレナーシップ養成教育の充実を図る。学生が自ら課題を発見し、社会に働きかける力を育む学びの場を創出し、創造的思考と実践的行動力を兼ね備えた人物を養成する。

Ⅰ-4):学修者本位の教育環境の構築と教学運営体制の強化

Ⅰ-4)-①:質的向上が連動する学位課程の運用と科目精選の推進

 学修者本位の教育を実現するために、幅広い視野と深い専門性の両立を目指す学位課程の運用に取り組む。全学規模での科目精選を通じて、学生には自律的かつ探究的な充実した学びの時間を提供し、教員には質の高い教育・研究活動を可能とする時間を創出する。

Ⅰ-4)-②:教務システムを中心としたエビデンス型教学運用体制の構築

 教務システムを中心とした教学システムの統合的運用を実現するための改革に取り組む。学生調査や基礎データ等のエビデンスに基づく内部質保証体制を全学的に確立することで、教育の質のさらなる向上を図り、ディプロマ・ポリシーの達成度を高める。

Ⅰ-4)-③:学生・卒業生・企業の声を活かした大学運営の質的向上

 内部質保証の推進にあたり、外部評価委員会からの指摘や、学生・卒業生・企業から寄せられた多様な声を受け止め、大学運営の質的向上に向けた継続的な改善と制度の充実を図る。

Ⅱ.京都との共創から生み出される新たな社会貢献

ビジョンⅡ.京都との共創から生み出される新たな社会貢献

 京都は歴史と文化が息づく都市であり、最先端の取組を行う企業を数多く生み出してきた「革新の気風」が根づく地でもある。本学は、京都の特質と結びついた「伝統と革新」を併せ持った教育・研究・社会貢献のフロンティアとなる。地域社会およびグローバル社会が抱える複雑な課題に真摯に向き合い、産官学連携を通じて地域社会の活性化を図ることにより、日本のみならず世界に対して新たな社会形成のモデルを提示する。そのために、京都の地から日本全国さらには世界へと羽ばたき、各地で活躍している卒業生との絆を一層深めるとともに、そのネットワークを活かす。また、学生が正課および正課外活動を通して、地域の文化や人々と新鮮な出会いをなし、社会に貢献する喜びを経験できるような場を作っていく。

Ⅱ-1):京都の特性を活かした教育・研究・活動機会の提供

Ⅱ-1)-①:京都にあることを活かした多角的な大学活動の展開

 本学が有する知的資源と、京都が培ってきた地域性および産業特性を連携させ、教育・研究・社会貢献の各領域において多角的な取組を行う。さらに、京都府・京都市・京田辺市をはじめ、文化庁や地域企業等との連携を一層強化し、大学の社会的価値の向上を図る。

Ⅱ-1)-②:地域社会との協働による学生参画型まちづくりと文化資源の活用

 学生主体による地域貢献活動を一層推進するために、地域連携コーディネーターの専門的知見を活用し、行政機関との連携強化を図る。京都に息づく歴史・文化・産業等の豊かな地域資源を活用することで、地域の活性化を図ると共に、学生の人間的成長を促す学びの場を創出する。

Ⅱ-1)-③:京田辺市と連携した産官学連携プロジェクトの推進

 ゼロカーボンシティを目指す京田辺市との協働のもと、環境をテーマとした産官学連携事業を推進する。併せて、市民によるキャンパスの多目的活用を促進し、地域交流の深化と学び・文化の拠点形成を通じて、地域活性化に寄与する。

Ⅱ-2):学生の共感力・実践力を育む社会貢献活動・正課外活動を支援する取組の強化

Ⅱ-2)-①:学生参画型キャンパスの創出

 学生支援センターの伴走のもと、新たに同志社大学学生委員会(仮称)を結成し、大学運営への建設的提言、地域連携活動、学内イベントの企画・運営等を通じて、学生の主体性と社会性を涵養し、学生参画型のキャンパスを創出する。

Ⅱ-2)-②:新たな文化系正課外活動支援体制の確立

 文化系正課外活動の再活性化に向け、ジャンル別の支援体制を整備すると共に、講習会や表彰制度の導入を通じて、学生のライフスキルや自主性を育む機会を創出する。

Ⅱ-3):同志社大学スポーツ憲章に基づくスポーツ活動の推進と社会連携

Ⅱ-3)-①:同志社スポーツの更なる振興と支援体制の充実

 スポーツを通じた教育、競技・安全を統合的に支援する体制の構築、および専門的知見に基づく支援の充実を図るため、スポーツ活動を統括する専門組織を設置する。また、京田辺キャンパスにおけるスポーツ施設整備計画を策定し、計画的な施設・整備の更新を図る。

Ⅱ-3)-②:同志社スポーツの力でつなぐ地域・産官学連携

 地域社会・産官学・マスメディア・卒業生等との多様な連携を通じて同志社スポーツのブランド価値を一層高めると共に、学生が競技活動を通じて主体的に思考し、他者と協働する力を涵養する環境を創出する。

Ⅱ-4):産官学、地域市民・卒業生連携を強化する体制の整備

Ⅱ-4)-①:共創による社会連携モデルの構築と展開

 環境推進パートナー制度や新構想のDDX(Doshisha Digital Transformation)推進パートナー制度(仮称)を軸に、企業・自治体・市民・卒業生との連携を深化させる。教育・研究・地域貢献が連動する社会連携モデルを構築し、地域課題の解決と知の共創を通じて、持続可能な社会の実現を目指す。

Ⅱ-4)-②:重点協定大学との共同事業の推進と連携の強化

 アーモスト大学・テュービンゲン大学・早稲田大学・立教大学等、協定大学との連携を一層深化させ、教育・研究の相互協力を図ると共に、共同事業の推進を通じて広域的な知を創出する。学生交流や教育資源の共有を通じて学修機会の多様化を促進し、国際的かつ実践的な学びの場を充実させることで、グローバルな視野と課題設定・問題解決力を育む。

Ⅱ-5):卒業生と共に築く持続可能な大学・地域連携モデルの構築

Ⅱ-5)-①:卒業生との生涯にわたる連携

 最新の専門知知見やキャリア支援等の大学のリソースを提供することにより、卒業生が生涯にわたり母校との結びつきを保ち、相互に成長し続ける関係を構築する。加えて、リカレント教育や共同研究の機会を増加させ、講演・行事への参画等を通じて知的交流を促進することにより、連携の深化を図る。

Ⅱ-5)-②:卒業生との協働による大学基盤の強化と価値創出

 卒業生の知識・経験・人的ネットワークを大学の基盤強化に資する形で活用し、大学として産官学連携のハブ機能の形成に寄与する。広報・入試・就職・募金・地域連携等においても同志社校友会と連携して卒業生の力を結集し、大学の社会的価値向上を図る。校友連携コーディネーター制度の機能を高度化し、卒業生との絆を深め、双方向の関係を築くことで大学運営を持続的に支える基盤を構築する。

Ⅲ.隣人愛に基づく「国際主義」の実践

ビジョンⅢ.隣人愛に基づく「国際主義」の実践

 欧米によって先導されてきた国際秩序が揺らぐ中、本学は、国や文化の違いを超え「共に知る」能力を備えた真の国際人を育てる。偏狭な愛国心から自由になって、世界の一人ひとりを愛することの大切さを訴えた新島にとって、キリスト教に基づいた隣人愛と「国際主義」は一体的なものであった。このような伝統を、紛争や対立がなおも止むことのない現在の国際社会の中で活かすことにより、困難な状況にある人々に目を向け、確かな歴史認識をもって平和のために協働できる人物を育成する。また、国際通用性のある質の高い教育を提供するとともに、中核的拠点を定めながら、幅広い国や地域から多様な人々を迎え入れた世界の縮図となる多文化共生キャンパスを形成する。

Ⅲ-1):グローバルな視座をもって「共に知る」力を育む対話型・協働型の機会と環境の整備

Ⅲ-1)-①:留学・国際共修の促進に向けた学修環境の再構築

 国際共修環境の充実に向け、教育制度改革と先導的組織の整備を段階的に推進する。授業のクォーター制運用や留学先での科目履修も視野に入れ、短期集中型プログラムや柔軟な留学制度を整備し、多様な学生が自身の修学計画に応じて国際的な学びに挑戦できる環境を構築する。

Ⅲ-1)-②:国際的なリベラルアーツ教育の機能強化

 国際教育インスティテュート(ILA)、国際教養教育院がこれまで果たしてきた役割を積極的に活かして、全学的なリベラルアーツ教育の発展と多様な学びの実現に向けた新たな施策を通して、国際的視野と批判的思考力を備えた人物を養成する。

Ⅲ-1)-③:多文化共創による実践的国際教育の推進

 外国人留学生と国内学生が協働する共修科目を新設し、異文化理解と協働力、母語以外の言語でのコミュニケーション能力を育成する。また、留学生と共に行う多文化イベントや異文化交流、地域課題発見、京都の伝統文化の学習等を通じて、言語運用の実践力を養成する。

Ⅲ-2):多文化共生キャンパスの形成と受入支援体制の強化

Ⅲ-2)-①:優秀な外国人留学生(正規)の積極的受入の促進

 18歳人口の減少も踏まえ、国際競争力と通用性の向上を目指し、優秀な外国人留学生(正規)の受入を拡大する。教育の国際化と英語による専門教育の拡充を推進し、海外指定校推薦制度を含む留学生入試制度の見直しと受入体制の強化を通じて、学部留学生比率を向上する。

Ⅲ-2)-②:留学モビリティを促進する経済支援策の再検討

 本学学生の海外派遣留学を国際化推進の戦略的投資と位置づけ、短期、中期、長期留学の奨学金制度の見直しを図る。また、留学生への経済支援制度の再構築を検討する。

Ⅲ-2)-③:外国人留学生および海外からの研究者の受入を支える環境の整備

 外国人留学生および海外からの研究者の受入を促進するため、快適で安全な居住環境を整備し、効率的な宿舎管理体制を構築する。

Ⅲ-3):海外協定校との連携推進と海外拠点の基盤形成

Ⅲ-3)-①:協定校の精選による実効性ある国際展開の推進 

 海外協定校との連携において、量から質へと重心を移し、相互に実質的な協力関係を構築できる大学を精選した戦略的な協定方針を立案する。

Ⅲ-3)-②:国際展開戦略の再構築とアジアにおける新拠点の設置

 海外展開に関する戦略を明確化し、アジアにおける新拠点の設置を含めた国際展開の再構築を図る。また、各拠点の機能強化と連携体制の整備、安定的な運営基盤の構築を通じて、国際的な教育・研究活動の持続可能性と実効性を高める。

Ⅳ.多元的イノベーションを引き起こす研究基盤の形成

ビジョンⅣ.多元的イノベーションを引き起こす研究基盤の形成

 本学は、人類の知の地平を広げる基礎研究と、現代社会が直面する課題の解決を目指す応用研究を共に推進することにより、多様な研究リソースを有機的に結びつけ、新たなイノベーションをもたらす。さらに、学内の知的資源を生かして、自然科学を主とした科学技術イノベーションと人文・社会科学を軸とした社会的・倫理的イノベーションの結合による「多元的イノベーション」を生み出し、社会に変化を促す中核となる。
 産官学連携の文理融合的教育プログラムの拡充などによって、研究と教育の高次の循環の中に学生を招き入れ、良心を備えた新しい時代の担い手を輩出する。また、オープンサイエンスの推進を通じて、本学の研究成果の共有と再利用を促進し、さらに、世界レベルの研究者との交流を活性化することにより、本学の研究レベルの向上を図る。加えて本学ならではの革新的な研究を通じて、次世代社会に必要な新しい価値を創造する。

Ⅳ-1):新たな価値創出と社会変革を目指す知の融合

Ⅳ-1)-①:ミッション領域の設定と多元的イノベーションの創出

 人文・社会科学と自然科学における本学の多様な基礎研究の活動成果が、社会への貢献につながるよう、本学が未来社会と本学の研究シーズに基づき中期的に取り組むべき社会的課題(ミッション領域)を掲げる。またミッション領域に参画する研究者は社会的課題に対応した研究課題を設定のうえ研究者コミュニティ形成を図り、多様な視点と専門性が交差する場を通して、分野横断的な知の融合を実現し、革新的かつ持続可能な多元的イノベーションを創出する。

Ⅳ-1)-②:本学発スタートアップの創出支援

 社会課題の解決や持続可能な未来社会創造に資する大学発ベンチャー企業を支援するため、同志社大学インパクトファンド(仮称)を設立し、研究成果を活かした社会的・環境的インパクト(革新的な変化)の創出を目指す。

Ⅳ-2):次世代研究とイノベーション創出を支える制度・環境の整備

Ⅳ-2)-①:研究支援業務の効率化・高度化の推進

 教員が基礎研究、応用研究にかかわらず各々の研究活動に専念できる環境を整備するため、研究支援体制を抜本的に見直すと共に、業務フローや各種手続きの簡素化、ペーパーレス化を促進する。また、研究戦略、研究企画、産官学連携、起業支援等に精通した専門人材の戦略的配置・育成を進め、研究力の持続的強化を図る。

Ⅳ-2)-②:次世代研究やイノベーション創出を促進するインフラと空間の整備

 研究装置の整備・充実のため、老朽化した教育研究施設を改築し、企業との連携を通して企業が所有する研究装置を設置する。また、これら研究装置の自動化・リモート化により、その共同利用を促進する。新たな教育研究施設は、企業との協創を促進する拠点としての機能も備えることとし、さらには既存施設と連関させたイノベーション・コモンズ(仮称)を構築するべく、その基本計画を立案する。

Ⅳ-2)-③:オープンサイエンスの推進による知の共有と環境整備

 オープンサイエンスの理念に基づき、誰もがアクセス可能な知的基盤を構築するため、学術論文等の研究成果のオープンアクセス化を推進する。オープンアクセスジャーナルへの学術論文掲載支援のほか、機関リポジトリでの学術論文や研究データの公開促進に対応できる情報環境や業務体制等を整備する。

Ⅳ-3):研究者の自由な発想に基づく学術研究の振興支援

Ⅳ-3)-①:創造的な知の展開に向けた研究基盤の再構築

 研究費の学生納付金収入への依存を抑えつつ、学術研究の持続的発展を目指すため、競争的研究資金、産官学連携、民間や財団の助成制度等の活用による研究費収入の多様化を図る。そのために、基礎から応用までの学術研究を支援する科学研究費助成事業への申請と採択件数の向上を重点課題とすると共に、競争的研究費を補完する企業との共同研究も推進する。

Ⅳ-3)-②:研究基盤を支える学術資料の充実とその活用支援

 図書館を研究インフラの中心的存在として再定義し、ICTや生成AI等の先端技術を活用した柔軟な支援体制を構築する。オンラインレファレンスや電子資料の横断的活用、WEB型ILLシステムの導入等により、時間・空間を超えた知的アクセスを実現する。

Ⅳ-4):研究と教育の高次循環による次世代研究者の養成

Ⅳ-4)-①:大学院学生・次世代研究者の挑戦的研究とキャリア形成支援

 大学院学生を含む次世代研究者による挑戦的かつ独創的な研究活動を支援する制度を確立し、研究費の支給や海外での活動の支援、論文のオープンアクセスや国際広報等の研究成果の発表・発信支援を通じて研究者としてのスタートアップを後押しする。また、社会で広く必要とされるスキル習得のための機会を提供し、アカデミアに限定しない多様なキャリアの形成支援を推進する。

Ⅴ.新たな時代へのゲートウェイとなるキャンパスの創造と連携

ビジョンⅤ.新たな時代へのゲートウェイとなるキャンパスの創造と連携

 新島が大学の理想像として強調した「深山大沢」は、様々な個性を生かし育む、多様性と驚きに満ちた場所であり、また、未知の世界へのゲートウェイともなる場所であった。本学は、かつて新島が描いた「深山大沢」としての大学の理想を現代において実現する。そのために本学は、「人」「自然環境」「デジタル技術」が調和する学びの場の整備に取り組む。学生一人ひとりを大切にし、その潜在力を最大限に引き出すとともに、気候変動や多様性の尊重といった地球規模の課題に対応し、未来を切り拓くための知識と実践力を涵養する環境を構築する。さらに、地理的に距離を有する今出川校地と京田辺校地という二つの物理的拠点を有機的に連携させるとともに、バーチャル空間を活用した柔軟で多様な学びの環境を融合させることで、場所や時間を超えた知的交流を実現する。こうした融合から立ち現れる多層的な学びの場が、次世代へのゲートウェイとなる。

Ⅴ-1):「人」「自然環境」「デジタル技術」が調和する学びの環境整備

Ⅴ-1)-①:多様な学びを支える空間の再構築

 学生が主体的に思考し、他者と協働しながら学びを深める場を創出するため、グループワークやディベート等多様な学習スタイルに対応した教室やラウンジ等の多目的スペースを設置する。また、最先端ICTの活用や施設間の連携強化により、二校地間交流の質を高める。

Ⅴ-1)-②:図書館サービスの多機能化と知的探究心を促す空間の創出

 学生の主体的な学びを支援するために、図書館サービスの高度化を図り、多様な講習会や動画コンテンツの整備、メインカウンターでのワンストップ化を目指す。加えて、図書館のICT化を一層進め、蔵書管理や座席利用の効率化を図る等、時間・空間の制約を超えて利便性を向上させる。

Ⅴ-2):学生一人ひとりの個性と潜在力を引き出し様々な体験の機会を創出する体制の強化

Ⅴ-2)-①:個別最適化されたキャリア支援体制の構築

 就職活動の早期化・長期化に伴う弊害に対応すべく、大学入学直後から卒業・修了まで、個々の学生の価値観に寄り添った長期的・個別的なキャリア支援体制を構築する。学内外の連携を強化し、卒業生のロールモデル提示や企業協働プログラムの拡充を図ると共に、生成AI等の先端技術を活用した支援手法を導入する。

Ⅴ-2)-②:学生の自己効力感を高める支援モデルの構築

 学生のチャレンジ精神とレジリエンスを育み、自己効力感を涵養させるための学生支援モデルを構築する。カウンセリングセンターによるメンタルケアと保健センターの健康啓発活動を融合し、心身両面からの予防的支援を展開する。また個別支援とフィードバックを通じて、学生が自らの可能性を信じ、主体的に行動できる力を育む。

V-3):学生生活を支える環境整備

Ⅴ-3)-①:福利厚生環境の整備による学生の利便性と満足度の向上

 京田辺キャンパスのリニューアル建設事業にあたり、安定的かつ質の高い食事提供を目指し、学生・教職員の福利厚生を充実させ、利便性と満足度の向上を図る。加えて、広報・学生募集への波及効果も意識し、大学全体の福利厚生環境をより一層充実させる。

Ⅴ-3)-②:寮政策の基本方針見直しと学生寮の再編

 時代の要請と将来を想定した学生寮の基本方針を作成し、既存寮のあり方を見直す。施設の老朽化や運営をめぐる様々な課題に対応し、全国から集う学生の受入を促進する。学生の経済的負担を考慮の上、安心で快適な居住環境の提供をより充実させると共に運営体制を強化する。

Ⅴ-3)-③:柔軟かつ効果的な奨学金制度の構築

 より意欲ある学生が、家庭の経済状況に左右されることなく、本学に進学できるよう、奨学金制度の再構築を図る。経済的困窮学生の支援の充実に加え、社会活動・課外活動・資格取得等に積極的に取り組む学生を対象とした多様な奨学金制度を整備し、個性の伸長を支援する。

Ⅴ-4):ダイバーシティ推進宣言に基づくダイバーシティ&インクルージョンの推進

Ⅴ-4)-①:ダイバーシティ推進に関する課題分析と継続的な課題改善

 「男女共同参画・ライフサポート」、「多文化共生・国際理解」、「障がい者支援」、「SOGI理解・啓発」の4つの重点課題に対し、全学規模での現状分析を行い、継続的な制度の充実へと繋げる。また、自己点検・評価を通じて学部・研究科の取組状況を把握すると共に、個人の意識調査を通じて課題を抽出することで、大学全体の改善へと繋げる。

Ⅴ-4)-②:学生一人ひとりの多様性を最大限に活かす支援体制の強化

 学生一人ひとりの個性と背景を尊重し、公平な機会提供の理念のもと、多様性を最大限に活かす支援体制を強化する。学修・生活・キャリア支援の各領域において、包摂的かつ柔軟な対応を可能とする制度整備を進め、誰もが安心して学び、自己の可能性を伸ばせる環境を創出する。

Ⅴ-4)-③:女性・外国人・障がい者の活躍を支える職場文化の醸成

 現状の教職員構成において比率が低い、女性・外国人・障がい者等の採用に対する理解と尊重の意識を育み、多様な人材が安心して働ける環境の構築を進める。多様性と包摂性を重視した職場文化の形成を通じて、大学全体の活力と創造性の向上を図る。

Ⅴ-5):同志社大学環境宣言に基づく環境負荷の低減および環境保護の推進

Ⅴ-5)-①:カーボンニュートラルロードマップに基づく温室効果ガスの削減

 同志社大学カーボンニュートラルロードマップに基づく中期目標を達成するために、エネルギー使用量の削減に加えて、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入や、学外からの再生可能エネルギー調達の可能性を検討する。

Ⅴ-5)-②:持続可能な社会の実現に向けた環境施策と人材育成の推進

 学生主体による環境啓発活動と企業との連携を通じて、実践的な教育と情報発信の充実を図る。これにより、環境課題に対する高い意識と行動力を備え、持続可能な社会の担い手となる人物を養成する。

Ⅴ-6):今出川校地と京田辺校地のキャンパス整備の充実と両校地の有機的連携

Ⅴ-6)-①:教育・研究基盤の強化に向けた大規模建設事業の推進

 大規模建設事業(2026~2030年度)を着実に遂行し、教育・研究基盤の充実を図る。加えて、次世代の教育・研究の進展や耐震化等の課題を踏まえ、2031年度からの次期大規模建設事業計画を立案し、持続可能で魅力的な学びと交流の場となるキャンパスを整備する。

Ⅴ-6)-②:今出川・京田辺両校地の融合と連携体制の強化の推進

 今出川・京田辺両校地の融合の促進および学生交流や活動の一体化を図るために、ICT・デジタル環境を向上し、学びの多様性と広がりを創出する。さらに、地域・国際連携の相互補完体制を強化し、教育・研究・社会貢献の各領域において、より豊かな知的交流と協働の場を形成する。

Ⅵ.ビジョンを推進するための大学運営の強化

ビジョンⅥ.ビジョンを推進するための大学運営の強化

 大学の理念を具現化するためには、教育および研究の一層の充実を図るとともに、それらを支える大学運営の基盤を、主体的かつ不断の努力によって強化することが不可欠である。この使命を遂行するにあたり、ブランド価値の向上、ICTを活用した制度改革の推進、防災およびリスク管理体制の整備、持続可能な財政基盤の確立、ならびに教職員の働き方改革と人材育成といった、複合的かつ戦略的な施策を着実に展開することが求められる。これらの取り組みを通じて、社会の変化に柔軟に対応し得る、未来志向の大学運営の構築を目指す。

Ⅵ-1):ブランディングの強化と推進

Ⅵ-1)-①:広報力の強化による大学価値の最大化

 首都圏を中心に大学の認知度とプレゼンスを高めるため、教育・研究の成果を戦略的に発信すると共に、卒業生とも連携し、その活躍と実績を多面的に紹介する広報体制を強化する。また、受験生に対しても、大学の魅力や学びの意義をわかりやすく伝える広報展開を推進する。加えて、国際的な認知度向上を目指し、特にアジアを重点地域として、現地機関や現地卒業生との連携、教育交流、情報発信等を通じて、世界における本学の社会的価値を広く浸透させる。

Ⅵ-1)-②:広報コンテンツの精選と発信

 大学の理念と社会的使命を効果的に発信するため、大学を紹介するという一般的な広報活動に加え、入試・研究・国際分野の広報を集約・連携して発信する。学内データベースに蓄積された教育・研究・国際交流・社史資料に関するコンテンツを精選し、構成・編集を工夫することで、親しみやすく、わかりやすい発信を実現し、良心をもって社会を先導する大学としての姿勢と価値を国内外に示す。

Ⅵ-1)-③:安定的な入学者確保のための入学広報の展開と入試実施体制の検討

 少子化が進行する時代にあって、関西地域を含む全国から安定的に意欲ある志願者・入学 者を確保するため、大学全体の広報と連携し効果的な入学広報を展開すると共に、本学の学びを体感できる多くの機会を提供する。加えて、各種データに基づいた戦略的な入試実施体制の構築を検討する。

Ⅵ-2):DDX宣言に基づくICTを活用した大学改革への基盤整備

Ⅵ-2)-①:DDX中期行動計画の遂行と次期中期行動計画の策定

 DDX中期行動計画(2026~2029年度)を着実に実行し、ICTを活用した大学改革の基盤整備を推進する。急速な技術進展とセキュリティ脅威に対応するため、PDCAに基づく次期計画(2030〜2033年度)を策定し、モバイルファースト設計や事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)・災害復旧を意識したインフラ整備、顔認証等の先端技術導入を図る。

Ⅵ-2)-②:次世代分析基盤とエンロールメントマネジメントシステムの導入

 DDXの推進により多様なデータの生成・集積が進む中、次世代分析基盤とエンロールメント・マネージメントシステムの導入を通じて、情報活用の高度化を促進するための環境整備を進める。情報資産の保全と活用を促進し、EBPM(Evidence-Based Policy Making)を推進するための学内制度改革に取り組み、学内外のコミュニケーション活性化を図る。

Ⅵ-2)-③:業務のBPRと電子化の推進

 教職員の業務負担軽減と大学運営の効率化を図るため、生成AI等のICTを活用して、事務処理全般のBPR(Business Process Re-engineering)に取り組む。これにより、業務の正確性・生産性を高めると共に、ガバナンス強化と働きやすい環境を構築する。

Ⅵ-3):防災・事業継続計画・リスクへの対応

Ⅵ-3)-①:自然災害・大規模災害に備えた防災体制の強化と事業継続の確保

 地震・台風・大雨・感染症等の自然災害に備え、防災ワーキンググループを設置し、中期行動計画を策定する。産学連携による避難環境整備や通信・物資確保、地域との緊急時の受入体制構築を進め、BCPの整備と実践的訓練を通じて、人命と教育・研究の継続性を守る堅牢な体制を整備する。

Ⅵ-3)-②:危機管理と事業継続体制の強化

 人的・制度的リスクから施設・情報インフラに至るまで、予防・即応・回復を統合した危機管理体制を構築する。キャンパス・ハラスメントの防止や安全教育、設備のデジタル管理、BCPに基づく事業継続体制の整備を通じて、安全性と信頼性を兼ね備えた教育・研究環境を実現する。

Ⅵ-3)-③:安全教育の充実と管理体制の構築

 安全・安心な教育・研究環境の確保に向け、リスクアセスメントの実施、安全教育の充実、設備管理の強化を推進する。これらの取組を通じて、法令遵守と環境配慮の両立を図り、持続可能かつ信頼性の高い学術活動を可能とする基盤整備を行う。

Ⅵ-4):教員のマネジメント人材育成と職員のキャリア形成支援

Ⅵ-4)-①:教員の創造的時間確保に向けた各種方策の推進

 教員の教育・研究活動における創造的時間の確保を目指し、業務の効率化支援や会議体の見直し、科目精選による授業負担の適正化を図る。加えて、教育・研究・入試・社会貢献・大学運営等におけるエフォートバランシングの導入を通じて、教員の役割と時間配分の最適化を目指す。併せて、教員役職者の役割や人数の在り方についても、検討を進める。

Ⅵ-4)-②:大学運営を支えるマネジメント人材の育成

 将来を見据えた人材育成戦略として、大学運営を支えるマネジメント力を備えた教職員の育成を目指す。研修プログラムの整備や実務経験の提供機会を通じて、大学マネジメントに関する総合的かつ実践的な能力を涵養する。

Ⅵ-4)-③:職員のキャリア形成支援体制の整備とモチベーション向上の促進

 大学事務の高度化・複雑化に対応し得る人材の育成に向け、求める職員像と必要なスキルを明確化し、採用・育成・組織のマネジメントまで一貫したキャリア形成の支援体制を構築する。加えて、働き方改革を推進し、健全なワークライフバランスを実現することで、職員のモチベーションとエンゲージメントの向上を図る。

Ⅵ-4)-④:大学運営の効率化に向けた事務組織の再構築

 教育・研究を支える基盤として、事務組織の質的向上と業務の効率化を図る。組織の大括り化に加え、生成AIをはじめとする先端ICTの活用を通じて、人材配置と業務内容の最適化を図り、持続可能な運営体制を構築することで、大学全体の機能強化を実現する。

Ⅵ-5):更なる強固な財政基盤の確立と未来への投資

Ⅵ-5)-①:中・長期財政計画(2026年度~2030年度)の着実な遂行

 財務健全性の確保と教育研究環境の充実の両立を図るべく、2026年度から2030年度を対象とする中・長期財政計画に基づき、財務関係比率上の指標・目標の達成を目指す。持続可能な財政運営を通じて、大学の使命遂行と発展を力強く支える。

Ⅵ-5)-②:2026年度以降の新たな募金事業の展開

 「同志社大学 2025 ALL DOSHISHA募金」の募集終了を受け、その経験値を踏まえて、募金施策の見直しと寄附金に拘らない柔軟な外部資金獲得の構成により、2026年度以降の募金活動を再構築する。恒常的支援と重点事業を組み合わせると共に、各種寄付・ふるさと納税・ネーミングライツ制度等、多角的な資金獲得策を戦略的に展開する。