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【新島塾】「読書から始まる知の探究」服部先生セッション_公開セミナー

'22年8月24日 更新
同志社大学新島塾「読書から始まる知の探究」服部先生セッション_公開セミナー

7月30日(土)14時~16時に、服部篤子教授(政策学部)による「読書から始まる知の探究」セッション(3期生・4期生合同)の公開セミナー「持続可能性とは? フクシマ×2つの図書を通じて」を今出川キャンパスで開催しました。
本セミナーは3月のセッション開始以降、福島県でのフィールドワーク(以下FW)や2冊の課題図書からの学びの集大成であり、企画・広報・運営を全て塾生自身が担いました
また当日はゲストスピーカーとして福島のFWでお世話になった半谷 栄寿氏(一般社団法人 あすびと福島代表理事)、生物の進化論に詳しい田中 正之氏(京都市動物園生き物・学び・研究センター センター長)をお招きし、本学学生や教職員、新島塾OBOGの他、一般の方にも参加いただきました。

本セッションは、都市の持続性を考えるという大きなテーマをもちながら、対話を通じて各自の問いを見出すことを目指してきました。その中間発表としてポスター発表を実施し、塾生にとっては初めての試みを数多く経験してきました。セミナーを企画運営することが多くの塾生にとって初めてのことでしたが、学びあいをオープンにし、また、発信することでより深い学びへと転化していくことに挑戦しました。
セミナーの大まかな流れは以下です。本セッションの概要説明を行い、2冊の課題図書がどのような内容であったかを説明し、どのように分析したのかをポスター発表しました。最後に座談会を行い、都市の持続性を考えてきた結果、どのような社会を目指すのか、ありたい社会について語りました。それぞれが担当を決めて進めていましたが、全体を円滑に進めるために、総合司会担当者やロジスティクス班と称した塾生たちが入念に準備をしました。

セミナーの内容

まずセミナー冒頭で、本セッションのテーマ「都市の持続性を考える―自然、災害、アートを手掛かりに」のねらいやこれまでの活動についての概要説明を行いました。「都市の豊かさとは何か?持続可能性とは何か?都市の未来を描くことができるか?」といった問いかけが行われました。

次に、FWでの学びの紹介を行いました。4月に実施したFWでは、福島県南相馬市を中心とした旧避難指示区域を訪れ、実際に福島県の現状を体感することで様々な学びを得ました。「3月11日の震災」から時間が止まったままの風景や人の手が加えられず生い茂る自然、未だに最終処分場が見つからず除染廃棄物が中間貯蔵場に保管され、廃炉作業が続けられる原発の状況など福島の「停止」した現状があることを説明しました。一方で、原子力発電に代わる発電システムとして太陽光発電が進められていること、行政は駅を中心に復興を進めていることなど動きだした福島の「再生」について報告しました。また、南相馬市で活動する3人のリーダーから聞いた話を紹介しました。若者からビジネスリーダーまで多様な人財育成プログラムを展開している半谷栄寿さんは、憧れの連鎖によって人材が育成されるという考えを持っていました。廣畑裕子さんは唐辛子を用いた地域の再活性化に取り組み、結果として営農の再開を促すことにつながっていました。和田智行さんは地域の課題を解決するため小さな事業の積み重ねを行い地域の100の課題から100のビジネスを創出することを掲げスモールビジネスを支援していました。このような多様なアプローチが人をつなぐことになり、小高区の復興が開始したことを伝えました。

続いて、本セッションで用いた2冊の課題図書の概要を紹介しました。まず第1図書『経済の本質-自然から学ぶ』(ジェイン・ジェイコブス 著)は、経済と自然の仕組みには同じ法則が働いているとし、自然科学の知見をもとに経済を追究している書籍です。各章ごとの内容をまとめたパワーポイントを用いて説明をしました。続いて第2図書『素手のふるまい-芸術で社会をひらく』(鷲田清一 著)は、東日本大震災前後のアートを中心に、アートを通じて社会とは何かを追究するとともに、人が見失ってきたものをアートは気づかせる「術」としてあることを述べたものでした。第1図書同様に各章ごとにその内容をまとめて説明を行いました。

3名の塾生がこれらの課題図書を用いた対話を通じて得た学びについてポスター発表を行いました。6月に実施した中間発表では全員がポスター発表を行いました。それらをさらに発展させ、それぞれの塾生が福島県でのFW、課題図書から得た知識と自らの問題意識を絡ませて「問い」を導きました。経済的な側面から持続可能性を見つける難しさに直面した塾生もいれば、具体的に「リーダー」というものを意識しながら、成長を見据えて「より良い社会をつくること」、「ゼロからイチを生み出すことができる人材が必要だ」と、持続可能な都市について自分なりの方向性探った塾生もいました。

その後の座談会では、3名の新島塾生が、どのような社会が「ありたい社会」なのかを話しました。社会で起こっている問題には孤独が蔓延っているという問題提起が行われました。また、ボランティア活動をした際、在日外国人が孤独を抱えていると感じたという発言があり、本座談会は「孤独」をテーマに展開していきました。そして、登壇者の1人が具体的にとった行動について話始めました。2022年3月に行われた塾生プロジェクト「世代を超えて語らおう」で京都の地域の方と知り合ったことから、そこで共有された問題について取り組んでいました。それは、その地域の方の庭先にベンチを設置し様々な方に座ってもらうことや、また、京都で一人暮らしをして孤独を感じている学生に対して、関わりをもつことができる京都のお店、文化を紹介する雑誌づくりを目指していました。ありたい社会を実現するには、助けを求めていたらフォローしあえる姿勢が大事ではないか、と締めくくりました。

参加者との質疑応答にうつり、「中学校の時どのような社会に対する問題意識があったか」という質問がありました。中学校時代に学校に来られなくなった友達がいたという話や、部落差別が残っている環境で差別的な言葉が多少あった、といったことに意識が向いていたかもしれない、という話がでました。

座談会の後は、全員が椅子を円形に並べなおし、参加者も含んだディスカッションを行いました。 ディスカッションの最初に、ゲストスピーカーの田中氏、オンラインで参加いただいた半谷氏のお二方にコメントをいただきました。田中氏からは、「近年セキュリティ意識などから表札を出さず、周囲とのかかわりを避ける学生が多くいる中、塾生が社会の孤独に対して問題意識を持っていることに矛盾があるのではないか」との指摘がありました。これに対して、自分が参加を強制されない、いてもいなくてもよい緩いつながりの重要性を述べた塾生や、コミュニティから距離を置く「孤独」とアソシエーション(同じ趣味の集まりなど)から距離を置く「孤立」を分けて考える必要性を述べた塾生がいました。また、半谷氏からは「小さくても、(行動の)一歩目を踏み出すことが大事」「人は行動するリーダーについていく。今こそリーダーシップが重要。」など、塾生に得た知識をもとに積極的な行動を促す想いのこもった言葉をいただきました。

その後、本セッションを担当した服部教授からのクロージングがあり、今回の公開セミナーは幕を下ろしました。服部教授からは、塾生たちがよく頑張ったとしたうえで、「今回のセミナー発表の評価は期待を込めて半分であるが春セッションで学んだことを秋以降の(他の新島塾)セッションに自信をもって生かせる」との激励をいただきました。また、来場者をはじめ本セッションを支えていただいた多くの方々への謝辞が述べられました。

セミナーの終了後、服部教授やセミナーに参加してくださった新島塾の先輩方からフィードバックをいただきました。「最初の問題提起に対する回答や言葉の定義、そしてまとめがあったほうが分かりやすかったのではないか。」「課題図書の内容発表において、本の内容を理解している発表側と初めて内容に触れる聴衆側の理解度のギャップをもっと意識したほうがよかったのではないか。」「孤独について語ったが、第2図書の結論にあったとおり、他者を思いやる懐の深い町を目指すという記述とつながることを参加者に伝えたらよかったのではないか。」「全体を通して何を伝えたいのか議論する必要があった。自分の発表だけではなく全体を見て指摘しあうことが重要。」など、今後にいかしていきたい指摘でした。

ゲストスピーカーのお二方、ならびに来場いただいた一般の皆様、教職員、学生、先輩方お忙しいなかで新島塾のセミナー発表に参加いただき、本当にありがとうございました。
本セッションは、この日のセミナー発表をもって区切りとなります。このセッションは服部教授をはじめ、多くの方々の協力があって、発表までたどり着くことができました。塾生は関わってくださった方々への感謝の気持ちを忘れずこれからも邁進してまいります。

(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
第3期塾生 島村さん(心理学部)
第2期塾生 武田さん(法学部)、谷口さん(経済学部)

同志社大学新島塾「読書から始まる知の探究」服部先生セッション_公開セミナー

7月30日(土)14時~16時に、服部篤子教授(政策学部)による「読書から始まる知の探究」セッション(3期生・4期生合同)の公開セミナー「持続可能性とは? フクシマ×2つの図書を通じて」を今出川キャンパスで開催しました。
本セミナーは3月のセッション開始以降、福島県でのフィールドワーク(以下FW)や2冊の課題図書からの学びの集大成であり、企画・広報・運営を全て塾生自身が担いました
また当日はゲストスピーカーとして福島のFWでお世話になった半谷 栄寿氏(一般社団法人 あすびと福島代表理事)、生物の進化論に詳しい田中 正之氏(京都市動物園生き物・学び・研究センター センター長)をお招きし、本学学生や教職員、新島塾OBOGの他、一般の方にも参加いただきました。

本セッションは、都市の持続性を考えるという大きなテーマをもちながら、対話を通じて各自の問いを見出すことを目指してきました。その中間発表としてポスター発表を実施し、塾生にとっては初めての試みを数多く経験してきました。セミナーを企画運営することが多くの塾生にとって初めてのことでしたが、学びあいをオープンにし、また、発信することでより深い学びへと転化していくことに挑戦しました。
セミナーの大まかな流れは以下です。本セッションの概要説明を行い、2冊の課題図書がどのような内容であったかを説明し、どのように分析したのかをポスター発表しました。最後に座談会を行い、都市の持続性を考えてきた結果、どのような社会を目指すのか、ありたい社会について語りました。それぞれが担当を決めて進めていましたが、全体を円滑に進めるために、総合司会担当者やロジスティクス班と称した塾生たちが入念に準備をしました。

セミナーの内容

まずセミナー冒頭で、本セッションのテーマ「都市の持続性を考える―自然、災害、アートを手掛かりに」のねらいやこれまでの活動についての概要説明を行いました。「都市の豊かさとは何か?持続可能性とは何か?都市の未来を描くことができるか?」といった問いかけが行われました。

次に、FWでの学びの紹介を行いました。4月に実施したFWでは、福島県南相馬市を中心とした旧避難指示区域を訪れ、実際に福島県の現状を体感することで様々な学びを得ました。「3月11日の震災」から時間が止まったままの風景や人の手が加えられず生い茂る自然、未だに最終処分場が見つからず除染廃棄物が中間貯蔵場に保管され、廃炉作業が続けられる原発の状況など福島の「停止」した現状があることを説明しました。一方で、原子力発電に代わる発電システムとして太陽光発電が進められていること、行政は駅を中心に復興を進めていることなど動きだした福島の「再生」について報告しました。また、南相馬市で活動する3人のリーダーから聞いた話を紹介しました。若者からビジネスリーダーまで多様な人財育成プログラムを展開している半谷栄寿さんは、憧れの連鎖によって人材が育成されるという考えを持っていました。廣畑裕子さんは唐辛子を用いた地域の再活性化に取り組み、結果として営農の再開を促すことにつながっていました。和田智行さんは地域の課題を解決するため小さな事業の積み重ねを行い地域の100の課題から100のビジネスを創出することを掲げスモールビジネスを支援していました。このような多様なアプローチが人をつなぐことになり、小高区の復興が開始したことを伝えました。

続いて、本セッションで用いた2冊の課題図書の概要を紹介しました。まず第1図書『経済の本質-自然から学ぶ』(ジェイン・ジェイコブス 著)は、経済と自然の仕組みには同じ法則が働いているとし、自然科学の知見をもとに経済を追究している書籍です。各章ごとの内容をまとめたパワーポイントを用いて説明をしました。続いて第2図書『素手のふるまい-芸術で社会をひらく』(鷲田清一 著)は、東日本大震災前後のアートを中心に、アートを通じて社会とは何かを追究するとともに、人が見失ってきたものをアートは気づかせる「術」としてあることを述べたものでした。第1図書同様に各章ごとにその内容をまとめて説明を行いました。

3名の塾生がこれらの課題図書を用いた対話を通じて得た学びについてポスター発表を行いました。6月に実施した中間発表では全員がポスター発表を行いました。それらをさらに発展させ、それぞれの塾生が福島県でのFW、課題図書から得た知識と自らの問題意識を絡ませて「問い」を導きました。経済的な側面から持続可能性を見つける難しさに直面した塾生もいれば、具体的に「リーダー」というものを意識しながら、成長を見据えて「より良い社会をつくること」、「ゼロからイチを生み出すことができる人材が必要だ」と、持続可能な都市について自分なりの方向性探った塾生もいました。

その後の座談会では、3名の新島塾生が、どのような社会が「ありたい社会」なのかを話しました。社会で起こっている問題には孤独が蔓延っているという問題提起が行われました。また、ボランティア活動をした際、在日外国人が孤独を抱えていると感じたという発言があり、本座談会は「孤独」をテーマに展開していきました。そして、登壇者の1人が具体的にとった行動について話始めました。2022年3月に行われた塾生プロジェクト「世代を超えて語らおう」で京都の地域の方と知り合ったことから、そこで共有された問題について取り組んでいました。それは、その地域の方の庭先にベンチを設置し様々な方に座ってもらうことや、また、京都で一人暮らしをして孤独を感じている学生に対して、関わりをもつことができる京都のお店、文化を紹介する雑誌づくりを目指していました。ありたい社会を実現するには、助けを求めていたらフォローしあえる姿勢が大事ではないか、と締めくくりました。

参加者との質疑応答にうつり、「中学校の時どのような社会に対する問題意識があったか」という質問がありました。中学校時代に学校に来られなくなった友達がいたという話や、部落差別が残っている環境で差別的な言葉が多少あった、といったことに意識が向いていたかもしれない、という話がでました。

座談会の後は、全員が椅子を円形に並べなおし、参加者も含んだディスカッションを行いました。 ディスカッションの最初に、ゲストスピーカーの田中氏、オンラインで参加いただいた半谷氏のお二方にコメントをいただきました。田中氏からは、「近年セキュリティ意識などから表札を出さず、周囲とのかかわりを避ける学生が多くいる中、塾生が社会の孤独に対して問題意識を持っていることに矛盾があるのではないか」との指摘がありました。これに対して、自分が参加を強制されない、いてもいなくてもよい緩いつながりの重要性を述べた塾生や、コミュニティから距離を置く「孤独」とアソシエーション(同じ趣味の集まりなど)から距離を置く「孤立」を分けて考える必要性を述べた塾生がいました。また、半谷氏からは「小さくても、(行動の)一歩目を踏み出すことが大事」「人は行動するリーダーについていく。今こそリーダーシップが重要。」など、塾生に得た知識をもとに積極的な行動を促す想いのこもった言葉をいただきました。

その後、本セッションを担当した服部教授からのクロージングがあり、今回の公開セミナーは幕を下ろしました。服部教授からは、塾生たちがよく頑張ったとしたうえで、「今回のセミナー発表の評価は期待を込めて半分であるが春セッションで学んだことを秋以降の(他の新島塾)セッションに自信をもって生かせる」との激励をいただきました。また、来場者をはじめ本セッションを支えていただいた多くの方々への謝辞が述べられました。

セミナーの終了後、服部教授やセミナーに参加してくださった新島塾の先輩方からフィードバックをいただきました。「最初の問題提起に対する回答や言葉の定義、そしてまとめがあったほうが分かりやすかったのではないか。」「課題図書の内容発表において、本の内容を理解している発表側と初めて内容に触れる聴衆側の理解度のギャップをもっと意識したほうがよかったのではないか。」「孤独について語ったが、第2図書の結論にあったとおり、他者を思いやる懐の深い町を目指すという記述とつながることを参加者に伝えたらよかったのではないか。」「全体を通して何を伝えたいのか議論する必要があった。自分の発表だけではなく全体を見て指摘しあうことが重要。」など、今後にいかしていきたい指摘でした。

ゲストスピーカーのお二方、ならびに来場いただいた一般の皆様、教職員、学生、先輩方お忙しいなかで新島塾のセミナー発表に参加いただき、本当にありがとうございました。
本セッションは、この日のセミナー発表をもって区切りとなります。このセッションは服部教授をはじめ、多くの方々の協力があって、発表までたどり着くことができました。塾生は関わってくださった方々への感謝の気持ちを忘れずこれからも邁進してまいります。

(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
第3期塾生 島村さん(心理学部)
第2期塾生 武田さん(法学部)、谷口さん(経済学部)
関連情報
お問い合わせ先
同志社大学新島塾(事務局 高等研究教育院事務室)
TEL:075-251-3259
FAX:075-251-3152
E-mail:ji-ktken@mail.doshisha.ac.jp
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