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【新島塾】「読書から始まる知の探究」林田先生セッション 第2回学習

'23年2月28日 更新

新島塾「読書から始まる知の探究」
林田先生セッション 第2回学習

 1月14日(土)3・4講時に林田明教授(理工学部)による「読書から始まる知の探究」第2回セッションが今出川キャンパスで行われました。今回のセッションでは課題図書『歴史のなかの地震・噴火 過去がしめす未来』と淡路島・神戸へのフィールドエクスカーションを踏まえた上で、第1回セッションで決めたグループ毎にそれぞれのテーマについて発表しました。発表後は、質疑応答や批評がなされ、問題点を明確にしたり、用語の詳しい解説をしたりすることで発表内容への理解を深めることができました。その後、全体でディスカッションを行い、最後に林田先生よりコメントと事後レポート課題の説明がありました。

グループ1
◆選択図書:
『活断層地震はどこまで予測できるか-日本列島で今起きていること』遠田晋次(ブルーバックス新書、2016年)
◆発表テーマ:「活断層地震とその予測」
 まず、断層についての基礎知識の確認をし、地震発生の予測方法(確率モデル)を紹介しました。その中では、塾生の地震の予測について理解を深めるために、地震の発生確率を求める演習問題も取り上げました。そして、現在公表されている地震発生確率を紹介するとともに、その確率をどのように捉えるか、また日本に住む私たちが活断層地震に対して持つべき心構えを述べました。


グループ2
◆選択図書:
『大惨事(カタストロフィ)の人類史』ニーアル・ファーガソン(東洋経済新報社、2022年)
◆発表テーマ:「震災の被害を最小限にとどめるには?」
 惨事の規模を決める要因には「人口密度」と「被害の波及度合い」があるとし、特に災害被害の波及度合いを下げる方法に注目して考察した内容を報告しました。そして、選択図書をもとに大惨事の歴史研究から得られる五つの一般的教訓について説明し、それらを踏まえた「自助(リテラシーを身に付ける)」「共助(地域コミュニティの強化)」「公助(組織体制の強化と人材育成)」に関するアクションプランを提案しました。

グループ3
◆選択図書:
『方丈記』鴨長明・浅見和彦訳(ちくま学芸文庫、2011年)、『方丈記私記』堀田善衛(ちくま文庫、1988年)、『京都の災害を巡る』大邑潤三、加納靖之・橋本学監修(小さ子社、2019年)
◆発表テーマ:「記憶の保存は必要か否か」
 まず、鴨長明の略歴と『方丈記』の内容について、「河合神社」「方丈石(庵跡)」といったゆかりの場所の写真とともに説明しました。加えて、『方丈記私記』の内容も絡めつつ、天災や人災についての記憶の保存や思想の変遷をまとめ、災害の記憶を保存することの必要性について問いました。

全体ディスカッション
 各グループの発表を踏まえ「偏向報道と地震の発生確率を提示する意味はあるのか」「減災・防災のためのアクションプラン」「災害についての記憶を残すことは必要か否か」という3つのテーマを決めました。そして、テーマごとにグループをつくってディスカッションを行い、その内容を全体に報告しました。
 「偏向報道と地震の発生確率を提示する意味はあるのか」というテーマについては、具体的な数字を使うことは国民に危機感を抱かせるという意味においては必要なことであり、防災・減災意識が高い状態を保てるような報道を行うことが必要だという見解が述べられました。
 「減災・防災のためアクションプラン」については、国民の意識として災害が起こり得るという危機感を与え、緊張状態にすることも必要だが、その状態が長く続くと逆に危機意識が下がってきてしまう。そのため、それらのバランスを保てる状態をめざすべきだと主張されました。
 「災害についての記憶を残すことは必要か否か」というテーマについては、記憶を残すことは必要であるとした上で、次の指摘がありました。記憶に残し、感情に訴えることで、教訓として減災・防災意識に繋げることができること。そして、時には記憶を政治においても利用することで1つのダイナミズムを作り上げることができること。ただし、それを行う為政者にモラルが必要であることも重要です。
 林田先生による総括では、各塾生が参考図書をよく読み込んで議論を行い、報告会の進行方法にも工夫が見られたという評価とともに、相手の発表をより深く理解し議論を深めるための質疑応答のやり方についてもアドバイスをいただきました。


 最後に林田先生から、求められていることを考えることは大事だが、常に広い視野を持ち、「たまたま見たもの」に興味を持って考えることも大切にして欲しいというメッセージをいただきました。これには、新島塾がリーダー養成を目指していることと関連して、不確実性が増している世の中で予想できないことにさらされる時代のリーダーは、平常時の課題に対してだけでなく、特別なことが起こったときにどのように行動するのかが問われる、という意味が込められています。自然災害など非日常の出来事が発生した際の対応を日常においても危機感をもって考えて備えておくこと、興味関心を広げながら学び続けることの重要性を再認識しました。
 本セッションはこの報告会をもって区切りとなります。今後は、この日の報告会で学んだことを踏まえ、各自で事後課題レポートに取り組みます。

今回のトピックスは、以下の塾生が中心となって作成しました。
新島塾4期生 平山さん
新島塾4期生 武田さん
新島塾4期生 谷口さん

(事務局・高等研究教育院事務室)
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会場風景1
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新島塾「読書から始まる知の探究」
林田先生セッション 第2回学習

 1月14日(土)3・4講時に林田明教授(理工学部)による「読書から始まる知の探究」第2回セッションが今出川キャンパスで行われました。今回のセッションでは課題図書『歴史のなかの地震・噴火 過去がしめす未来』と淡路島・神戸へのフィールドエクスカーションを踏まえた上で、第1回セッションで決めたグループ毎にそれぞれのテーマについて発表しました。発表後は、質疑応答や批評がなされ、問題点を明確にしたり、用語の詳しい解説をしたりすることで発表内容への理解を深めることができました。その後、全体でディスカッションを行い、最後に林田先生よりコメントと事後レポート課題の説明がありました。

グループ1
◆選択図書:
『活断層地震はどこまで予測できるか-日本列島で今起きていること』遠田晋次(ブルーバックス新書、2016年)
◆発表テーマ:「活断層地震とその予測」
 まず、断層についての基礎知識の確認をし、地震発生の予測方法(確率モデル)を紹介しました。その中では、塾生の地震の予測について理解を深めるために、地震の発生確率を求める演習問題も取り上げました。そして、現在公表されている地震発生確率を紹介するとともに、その確率をどのように捉えるか、また日本に住む私たちが活断層地震に対して持つべき心構えを述べました。


グループ2
◆選択図書:
『大惨事(カタストロフィ)の人類史』ニーアル・ファーガソン(東洋経済新報社、2022年)
◆発表テーマ:「震災の被害を最小限にとどめるには?」
 惨事の規模を決める要因には「人口密度」と「被害の波及度合い」があるとし、特に災害被害の波及度合いを下げる方法に注目して考察した内容を報告しました。そして、選択図書をもとに大惨事の歴史研究から得られる五つの一般的教訓について説明し、それらを踏まえた「自助(リテラシーを身に付ける)」「共助(地域コミュニティの強化)」「公助(組織体制の強化と人材育成)」に関するアクションプランを提案しました。

グループ3
◆選択図書:
『方丈記』鴨長明・浅見和彦訳(ちくま学芸文庫、2011年)、『方丈記私記』堀田善衛(ちくま文庫、1988年)、『京都の災害を巡る』大邑潤三、加納靖之・橋本学監修(小さ子社、2019年)
◆発表テーマ:「記憶の保存は必要か否か」
 まず、鴨長明の略歴と『方丈記』の内容について、「河合神社」「方丈石(庵跡)」といったゆかりの場所の写真とともに説明しました。加えて、『方丈記私記』の内容も絡めつつ、天災や人災についての記憶の保存や思想の変遷をまとめ、災害の記憶を保存することの必要性について問いました。

全体ディスカッション
 各グループの発表を踏まえ「偏向報道と地震の発生確率を提示する意味はあるのか」「減災・防災のためのアクションプラン」「災害についての記憶を残すことは必要か否か」という3つのテーマを決めました。そして、テーマごとにグループをつくってディスカッションを行い、その内容を全体に報告しました。
 「偏向報道と地震の発生確率を提示する意味はあるのか」というテーマについては、具体的な数字を使うことは国民に危機感を抱かせるという意味においては必要なことであり、防災・減災意識が高い状態を保てるような報道を行うことが必要だという見解が述べられました。
 「減災・防災のためアクションプラン」については、国民の意識として災害が起こり得るという危機感を与え、緊張状態にすることも必要だが、その状態が長く続くと逆に危機意識が下がってきてしまう。そのため、それらのバランスを保てる状態をめざすべきだと主張されました。
 「災害についての記憶を残すことは必要か否か」というテーマについては、記憶を残すことは必要であるとした上で、次の指摘がありました。記憶に残し、感情に訴えることで、教訓として減災・防災意識に繋げることができること。そして、時には記憶を政治においても利用することで1つのダイナミズムを作り上げることができること。ただし、それを行う為政者にモラルが必要であることも重要です。
 林田先生による総括では、各塾生が参考図書をよく読み込んで議論を行い、報告会の進行方法にも工夫が見られたという評価とともに、相手の発表をより深く理解し議論を深めるための質疑応答のやり方についてもアドバイスをいただきました。


 最後に林田先生から、求められていることを考えることは大事だが、常に広い視野を持ち、「たまたま見たもの」に興味を持って考えることも大切にして欲しいというメッセージをいただきました。これには、新島塾がリーダー養成を目指していることと関連して、不確実性が増している世の中で予想できないことにさらされる時代のリーダーは、平常時の課題に対してだけでなく、特別なことが起こったときにどのように行動するのかが問われる、という意味が込められています。自然災害など非日常の出来事が発生した際の対応を日常においても危機感をもって考えて備えておくこと、興味関心を広げながら学び続けることの重要性を再認識しました。
 本セッションはこの報告会をもって区切りとなります。今後は、この日の報告会で学んだことを踏まえ、各自で事後課題レポートに取り組みます。

今回のトピックスは、以下の塾生が中心となって作成しました。
新島塾4期生 平山さん
新島塾4期生 武田さん
新島塾4期生 谷口さん

(事務局・高等研究教育院事務室)
お問い合わせ先
同志社大学新島塾(事務局 高等研究教育院事務室)
TEL:075-251-3259
FAX:075-251-3152
E-mail:ji-ktken@mail.doshisha.ac.jp
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