聖書のことば
聖書のことば
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2026年11月
幻がなければ民は堕落する。
教えを守る者は幸いである。
箴言 29:18
《解説》
「幻(ビジョン)のない民は滅びる」(箴言29章18節・英語欽定訳に基づく)
“Where there is no vision, the people perish: but he that keepeth the law, happy is he.”【KJV(欽定訳)】
「幻がなければ民は堕落する。教えを守る者は幸いである。」【新共同訳】
「幻がなければ民はちりぢりになる。教えを守る者は幸いである。」【聖書協会共同訳】
「幻がなければ、民は好き勝手にふるまう。しかし、みおしえを守る者は幸いである。」【新改訳2017】
将来の展望を語る際に用いられる「ビジョン」という言葉には、聖書に根ざした神学的な意味もある。それが「幻」である。幻というと、現実離れした、実体のないものを思い浮かべるかもしれない。しかし、聖書における幻は、神が預言者に示す啓示であり、現実を見つめ直し、進むべき道を示す神からのメッセージである。その意味を解き明かし、人々に語り伝えたのが預言者であった。旧約聖書には、古代イスラエルの民の罪や社会の不正を糾弾し、神に立ち帰るよう呼びかける預言の言葉が数多く記されている。「幻のない民は滅びる」という箴言の警告も、神の導きを失った民の姿を問いかけている。
キング牧師は、信仰に根ざした一つの夢を語った。人種による差別を超えて、人々が共に生きる世界である。あの有名な演説では、「I have a dream…」という簡潔で詩的な言葉が繰り返された。そこに描かれた夢、すなわちビジョンは、聴く人々の心に共有され、社会を変える行動を支える力となった。
「幻(ビジョン)のない民は滅びる」という言葉は厳しい。それは、私たちが何をよりどころとし、どこへ向かって歩むのかを問う言葉でもある。同志社大学において、私たちにはいかなるビジョンが与えられているだろうか。今、問い直したい。
(同志社大学副学長 社会学部教授 : 木原 活信)
