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学長挨拶

同志社大学テュービンゲンEUキャンパスについて

President  (88744) 同志社大学
学長 小原 克博

 EUキャンパスは、同志社大学にとってもっとも重要な海外拠点の一つです。EUキャンパスが置かれているテュービンゲン大学と本学は、教育・研究にかかわる信頼関係を構築し、これまでも様々なプログラムを共同で実施してきました。本学の学生、教員・職員は、EUキャンパスを拠点として、ドイツさらにはヨーロッパへと活動を広げていくことが期待され、EUキャンパスは今後も大きな可能性を秘めています。
 本学の創立者・新島襄は米国で学び、岩倉使節団と共に米国やヨーロッパにおける教育機関等を視察しました。彼の国際的な視野や経験は、その後の同志社教育の中に生かされています。新島は講演の中で「一人一人を愛するの説は大いに愛国よりは狭きに似たれども、人を愛するは、一国に限らず世界の人をも人と見なしてこれを愛せば、決して区域の狭き者にあらず」と語っています。愛国主義(ナショナリズム)が高揚する時代の中で、偏狭な愛国心から自由になって、世界の一人ひとりを愛することの大切さを新島は訴えています。新島の願いは、本学の国際主義の精神に受け継がれています。
 「一人一人を愛する」ことは簡単ではありませんが、世界の現実に触れるには、海外での生活や学びが大きな役割を果たします。私自身、ドイツで学びました。1989年、私は「西ドイツ」に降り立ちました。1991年、私は統一された「ドイツ」から帰国の途につきました。ドイツ滞在中、目の前でベルリンの壁が崩れるのを見ました。冷戦時代を象徴する「鉄のカーテン」が人々の手によって壊されるのを見て、「世界は変わり得る」という実感を強く持ちました。この経験は、今の私に大きな影響を与えています。
 ドイツやEUは決して理想社会ではありません。しかし、かつてのようにヨーロッパの隣国同士が戦争をすることはないでしょう。EUは、人類にとっての大きな実験場であるとも言えます。移民・難民問題、気候変動、財政問題、エネルギー問題、ウクライナ危機等、EUは多くの問題を抱えています。これらの諸問題に、ドイツやEU諸国がどのように取り組んでいるのか、ぜひ学び、経験していただきたいと思います。それは、皆さんの人生に影響を与え、これからの日本社会を考えるヒントになるはずです。
 EUキャンパスが、同志社の国際主義をさらに深める拠点として活用されることを願っています。